永岡会長の講話
 
 これからわたしの経験談をお話しします。息子はオウム真理教の信者でした。そして脱会させることに成功しました。その経験をお話しします。まず、『何をなすべきか心より考えよ』です。みなさまがいつもエホバの証人はおかしいと思い続けるのが大切です。そして自分の苦しい思いを奥さん、子供さん、あるいは夫(親族)にはさせられないのです。活動にどういう思いをして参加しているのか考え続けていただきたいと思います。我々の運動は15年かかりました。
 経験談を申し上げます。物事を決めつけて行わない、語らない。人に迷惑をかけているとは決めつけて言わない。なぜなら聞く耳を持たなくなります。聞く耳を持たせるためには、親が「私はこう思うんだがなあ」という態度で始めることです。なぜならば教祖は必ずやに長けています。一般人は俗人です。宗教を知りません。敵に勝つはずがありません。敵は理解の難しい専門用語を混ぜてきます。そうして世のために尽くそうとか、すばらしいことを語る。ちょっとでも聞く耳を持つようになると、相手はよほどすばらしい人たちだと思う。カルトに興味を持った人たちがひっかかる。それなのに、まっこうから反対だ、間違っていると言ったのでは聞く耳を持たなくなるんです。
 息子は1988年入信しました。そして89年、麻原に会いました。堤弁護士に会いました。とても弁護士には見えなかった。年も若いし、パリッとした印象ではありませんでした。私は開口一番、「いくらかかるんでしょうか」と尋ねました。「何言っているんですか」としかられました。そういう考えだからだめなんですと言われました。なぜそう言われるのか疑心暗鬼でした。「子供を金で救おうとしているのか」と聞かれました。そう思ってはいませんでしたから、「そうでなければそう言わないように」と言われました。感銘を受けました。
 そのころ相続した財産を持っていました。堤先生は「世の中には誰かがやらなければならないことがありますね」と仰いました。前回、確か、1999年のエホバの集会だと思いますが、同じことを申し上げた思いがあります。こうした運動は同じことを繰り返し言ってやらなければならないんです。みなさんもそういう思いで運動を続けていただきたい。元証人が脱会したんであれば、今度は運動に参加してください。それがリハビリだと理解できます。救う人が増えていくのです。数千人が数万人になります。自分の頭で考えられ、聞く耳を持ったと言うことです。これを現役信者に伝えられれば現役信者も聞く耳を持ちます。
 わたしは井上被告にも端本被告にも接見に行きます。そして親の思いを、麻原の間違いを伝えて欲しいと接見に来た現役信者に言います。出版物ではすばらしいことを言っている。すばらしい人たちでした。しかし私は理解できなかった。なぜなら宗教の名を借りて金儲けをしているなと疑うからです。
大人はずるいから……。疑いを持たないで100%信じた人たちが引っかかってしまいました。少なくともエホバの証人も聞く耳を持ってそうなれたらすばらしい世になるだろうなと自分でお祈りして家族を幸せにできるんではないかという、すばらしい心を持ってそんなところに入ってしまう。そう思ってよろしいでしょう。
 ベストを尽くした人間がどれほどいいか。これは元オウム信者の集まりがあります。続けていられるのは、坂元弁護士が「世の中には誰かがやらなくてはならないものがある」のことばがあるからです。
 日航機が御巣鷹山に墜落したとき、メモを書いた人がいると言う。それに加えて、人間は必ず死ぬ、亡くなった人間、亡くならなかった人間、来世は………と、言います。そういう経験はしたくないと人は誰でも思います。そこで麻原が解釈します。段々と引き込むうちに、あなた方の親は理解してますかと信者に尋ねる。理解していない親は現世では敵、前世では敵、本当の親は麻原だと溶いた。聞く耳を持った人は親の言うことを聞かなくなります。入信者は経営者ではない。早川や上祐は経営者でした。経営者は健保に入ってました。そうした状態は宗教では許されません。自分たちの縁者に自分たちと同じ思いをさせてはいけないと思って続けないと、成功できません。人を騙してもうけようとは一般の人なら思いません。信者になろうという人たちはこれっぽちも考えません。人を疑うことを知らないのです。小首を傾けて人の話を聞くことは大切だと思います。
 宗教、霊感商法について意見書を出したけれども期待しているような返答は届きません。それだけ力がなかったかと思うのも事実です。麻原は金儲けしかないと思った。麻原は人間破壊をしている。みなさん方のひっかかってしまった縁者の人たちも人間破壊をされています。それを許しているのが現実です。裁判では敗訴してしまうこともある。腹立たしいのは麻原だけではなくなった。
 行政への腹立たしさを覚える。松本サリン事件も地下鉄サリン事件も起きていなかったはずだ。どこのテレビも、どこの新聞も取りあげてくれない。
 今年八月、井上元警視総監、猪瀬氏、テリー伊藤と一緒にテレビ対談の番組に出た。最初は録画で放送されましたが言いたいことが放映されなかった。それで二回目は出演を断りました。わたしの思いを放送させないからです。それなら言ってくださいとテリー氏が言うから二回目も出ました。それでも元警視総監の前ではなかなかうまくしゃべれなかった。終了後、井上氏から深々と頭を下げられた。そこで会の代表としてお詫びを受けた気がした。もしも行政に聞く耳があったなら、ここまで世界規模で悪い組織ができるわけがない。坂元弁護士がおっしゃったように「世の中には誰かがやらなければならないことがある」のです。これをみなさん方が、特に元信者の人たちは続けてくださいという思いをしてなりません。
 最近、オウム真理教の信者の住む千歳烏山に行くことがある。そこで現役の信者に会う。私はオウム真理教にとってはとんでもない人間です。オウムの信者が私に会うのはカルマを背負うことになる。だから私との接触は禁止されていました。なぜ今会ってくれるのか不思議です。麻原の裁判の傍聴には二百回も出ています。死刑になった元信者の裁判も百回、傍聴しました。その席で現役の信者が話しかけてきます。まじめな顔で、尊師はいつでも空中浮遊できると言います。そこでそれを否定すると付いてこないからそれを理解する。中にはそういう信者もいるのです。現役のエホバの証人の言っていることが決して間違っていないんだという考えのもとに接していただきたい。頭からそれは違うとは言わないこと。それは違うと思うよくらいにとどめる。それは通らないと思うよくらいにとどめる。そうしないと聞く耳すら持ってもらえない。自分の頭で考えられるようになって初めて聞く耳を持つのだと思います。言っていることこと書いてあること間違いではない。それはだますための術だと気がついていないのです。裁判の傍聴では新しい信者もいる。どうしてなのかと思ってしまう。荒木広報部長は病気になった。第一線には居ない。彼は院生だったのに。かように、麻原は金儲けだけではなく人間破壊もする。彼は親から目に不自由な人の真似をして学校に行けと言われた。親からそう言われた男ならそうなると思う。そうした親もいる。暴力で子供を殺す世の中。世界のどっかが狂っている。そういう世界だから何とかしなければと思っていたのが信者だった。理解していない人には分からなかっただけ。そういう思いがあったんだと推測してもらいたい。
 これから後悔のない生き方をしたいと思っています。男は負けず嫌いであるべきだと思う。今後も活動をやり続けたい。
 
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