人権擁護推進審議会は「論点整理」を公表し、開かれた審議運営を!


◎ ご承知のとおり政府の人権擁護推進審議会の「救済」審議も、内部に設置された小委員会の報告を受け、「論点整理メモ」を中心とした審議へと移行し、審議は1つの山場に来ています。去る5月26日の第43回会議以来、第44回会議(6月6日)、第45回会議(6月30日)、第46回会議(7月18日)、第47回会議(7月28日)、と論点整理メモにもとづき審議が展開される予定だと伝えられています。
 しかしながら人権擁護推進審議会(塩野宏会長)は、あいかわらずの秘密主義で密室審議を繰り広げています。人権フォーラム21では、去る3月1日に人権擁護推進審議会に対し「救済施策の審議の論点についての要望」を提出しましたが、回答のないままで、かたくなに日本国内での人権侵害の現地実態調査や地方公聴会に取り組むことを拒否し、法務官僚が敷いた路線に乗って、駆け足の海外調査とヒアリングで集めた情報をもとに、「救済」答申づくりに奔走しつつあるように思わます。

◎ 一方、政府の他の審議会では、われらが人権擁護推進審議会とは対照的に審議経過の公開度をますます高め、国民に開かれた審議会運営をめざす努力を進めています。たとえば、昨年12月に詳細な「論点整理」を公開した司法制度改革審議会は、大阪での第1回公聴会に引き続き、6月17日に第2回公聴会を福岡で開催しました。また男女共同参画審議会では、さる5月15日に基本問題部会が「男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向に関する論点整理―21世紀の最重要課題―」という詳細な論点整理を公表し、広くこの論議に参加するよう呼びかけています。
 同じ政府の審議会でありながら、この運営姿勢の違いはいったいどこから生じているのでしょうか。昨年7月の教育・啓発施策に関する人権擁護推進審議会の答申はさまざまな立場から、種々批判された。中でも、国民相互の人権意識が高まれば日本の人権状況は良くなるという「お上(かみ)」の立場からの人権論は、審議会の基本姿勢を端的に示したものとして国内外から手厳しい批判を浴びたばかりです。人権擁護推進審議会は今こそ「論点整理」を公表し、開かれた審議を推進すべきです。

◎ 一方、審議会の外では、「政府から独立した国内人権機関」設立にむけた論議が、いよいよ高まりつつあります。日本弁護士連合会は来る10月に岐阜で開く「日弁連人権大会」で、国内人権機関設立をテーマにしたシンポジウムを開く準備を進めています。またそれに先立って大阪弁護士会(7/15)や東京弁護士会三会(9/13)が国内人権機関の設立についてプレシンポジウムを行う予定ですし、自由人権協会(JCLU)もアジア人権小委員会作成の「人権委員会案」を公表しています。人権フォーラム21としても、この間の規制・救済部会の論議を集約し「よりよい日本の人権保障制度をめざしての提言」づくりを夏をメドに進めます。乞うご期待下さい。


 

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