前号でおしらせしたとおり、10月28日午後、衆議院議員会館会議室で、市民政調(市民による政策調査会)主催の市民政策円卓会議が開催され、国会議員・市民団体・マスコミ関係者・各省関係者ら50名が参加。この「パブリック・コメント円卓会議」は、人権フォーラム21の申し入れで実現したもので、当日は、人権フォーラム21から中村義幸・明治大学教授と事務局の前川 実、大河原康隆らが参加し、パブリック・コメント手続のあり方をめぐり政府各省関係者と2時間にわたって論議を展開しました。 当日の「パブリック・コメント円卓会議」は、民主党参議院議員の江田五月さん(明日の内閣の司法長官)の司会で進められ、法務省、総理府、総務庁の担当者が出席し、それぞれ40分程度のやり取りを行った。まず法務省との意見交換では、人権フォーラム21からの5点の問題提起に対し、法務省人権擁護局の山鋪総務課長が答弁。「人権擁護推進審議会の意見募集手続は閣議決定のパブリックコメント手続に準じて実施したが、そもそも審議会の意見募集は閣議決定の対象範囲ではなく審議会の独自の判断」と強弁したものの、「今回の意見募集について批判があることは承知している」と実施に当たって不十分さがあった点は認めた。 なお人権フォーラム21からの5点の問題提起は、(1)パブリック・コメント募集の期間が短すぎる、(2)募集期間中の広報が決定的に不足している、(3)公聴会など国民の意見を直接に聞く機会がない、(3)意見提出の字数が不当に制限された、(5)提出された意見18,303通の整理、考慮の期間が不当に短く、考慮されていない。 次に総務庁との論議では、中村義幸・明治大学教授が現在のパブリック・コメント手続(閣議決定)はきわめて不十分であり、ぜひアメリカの行政手続法(次ページ)などを参照して、新たに「パブリック・コメント法」(仮称)を制定すべきだ、と提案。その内容としては、市民のアクセス権(行政参加と知る権利)の保障の理念のもとに国の行政機関ならびに各種審議会の意思決定に関わる手続すべてを対象とし、かつ地方自治体にもこれに準じた行政意思決定への市民参加ルールの策定義務を明示すべき、としました。 これに対し総務庁の明渡・規制改革委員会室長補佐は、現在のパブリック・コメント手続の内容について説明。「あくまでも国の行政機関の規制の設定又は改廃に関わるもの一般に関する意思決定の手続であり、検討段階では審議会も対象にしていたが、最終的には審議会は除外されている。また閣議決定後半年しか経っておらず、各省庁が行う個々の事例についての集約や評価活動は現在のところ実施していない」、と主張。 続いて総理府と男女共同参画審議会の実施したパブリックコメントをめぐり論議。総理府男女共同参画室の田河・企画官らは、男女共同参画審議会の場合は、委員の多くが国民の声を聴きたいとの声があり、パブリック・コメント手続が閣議決定される前であったが数回のパブリック・コメントを実施。集まった意見の集約に3ヶ月をかけるなど事務当局としては、作業が増えて大変だったが、いろいろな意見を集約できてよかったと考えている。政府関係の審議会共通のルールづくりは、それぞれの審議会の特徴があるのでいろいろむずかしさがあると思う、と発言。 若干の討論の後、座長の江田五月(民主党参議院議員)さんが、次のようなまとめを行った。閣議決定されたパブリック・コメント手続に関しては、総務庁が主管するものであり、総務庁として過去半年間に各省庁の実施したすべてのパブリック・コメント手続の集約や評価活動を進めるべき。この点は、今後、国会の中でも継続的に取り上げられると思う。われわれとしても、今日、問題提起のあったことがらをふまえ、パブリック・コメント手続をめぐる法的な整備についても積極的に取り組んでいきたい、と集約。 今回のパブリック・コメント円卓会議は、時間が全体で2時間、各省庁は40分程度と限られていたため、十分に論議を深めることはできませんでしたが、報道関係者や市民団体、NGOなど各方面に現行のパブリック・コメント手続の問題点への関心を高めた点で、大きな成果がありました。人権フォーラム21としては、ひきつうき「パブリック・コメント法」(仮称)の制定問題について、取組みを進めていきたいと考えます。 <今回のパブリック・コメント円卓会議を報じる神奈川新聞10/29付記事> (Webでは省略させていただきます。ご了承ください。) |
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