-------------------------------------------------------------
第1期国内人権システム国際比較プロジェクト(NMP研究会)の概要
-------------------------------------------------------------
1998/4/1
○ 代表など
代表 山崎公士(新潟大学法学部教授)
研究主任 川村暁雄(神戸大学大学院後期博士課程)
○ 研究の趣旨目的
21世紀を「人権の世紀」にするべく国際社会では「人権教育のための国連10年」のとりくみが進められている。日本においても1997年3月に人権擁護施策推進法が施行され、法務相らが事務局を担当する人権擁護推進審議会が発足し、今後の日本における人権擁護のシステムを検討している。
国内人権システム国際比較プロジェクト(NMP研究会)では、日本政府のこの動きを視野におきつつ、市民社会の側からの提案・問題提起を行うため、各国の人権保護システム、民間の人権保障のとりくみについての国際的な比較研究を行う。研究成果については、反差別国際運動日本委員会、人権フォーラム21などの人権NGOなどと協同で広く日本社会への還元を図る。
○ 研究項目
@ 研究会による検討
・ 海外調査項目の検討:1)これまでの先行研究の検討、
* 2)日本における独立行政機関(公正取引委員会、労働委員会など)の実態把握、
* 3)国連等における国内人権保障制度に関する議論の把握を行い、各国の現地調査のための調査項目の洗い出しを行う。
A 現地調査:
・ 調査対象国としては、人権委員会・オンブズマンなど人権保障制度を設けている国を中心に地理的配分を考慮。
* アジア・オセアニア(インドネシア、インド、スリランカ、フィリピン、タイ、香港、オーストラリア、フィジー、ニュージーランド等)
* 北米、ヨーロッパ(イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデン、デンマーク等)、
* アフリカ(南アフリカ)を対象とする。
・ 方法:検討に当たっては、人権機関の担当者への聞き取り、文献調査、NGOによる評価、当該国の研究者による評価などを聞き取りもしくは文献調査を行う。
B 検討項目:各国の人権保障制度について以下の項目に添って検討する。
1)背景 人権保障制度形成の歴史的経緯、人権保障制度の国内法制度における位置づけ(人権状況の概要、管轄範囲、他の類似機関(オンブズマンその他)との関係等)
2)根拠法・関連法 法制度の詳細、国際人権法との関係、地方部における活動
3)組織 行政・司法・立法機関と人権保障機構の関係、人権委員会等の構成、選出方法、男女比、民族的多元性、事務局、実務スタッフの構成、任務、雇用方法、資格等
4)財政 財政的独立性、予算編成の権限、財源、報告義務
5)機能 人権侵害申し立て処理機能(申し立ての当事者的確、管轄権、受理の条件など)、調査機能(証人喚問権限、文書提出命令、手続き制定の権限など)、救済の形式・実態(どのような救済が提供されているか。賠償、刑罰的損害賠償、慰謝料、謝罪命令、中止命令等)、人権状況一般に関する調査(活用の事例など)、人権教育の概要、政策提言、司法参加などの権限・実態
【結論】
各国の人権保障制度を独立性・効率性などの視点から評価し、日本での人権機構設立の可能性を展望する。
○ 研究日程(98年11月〜2000年11月)
研究会を開催、調査項目、先行研究、日本における類似機構の実態について検討
1999年夏に「中間報告」を公表
2000年秋に「最終報告」を公表
|
|