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2001年の国連総会で「障害者の権利条約」決議が採択(2002.2.13)


 2001年12月19日、国連総会第56会期において、「障害者の権利及び尊厳の保護及び促進に関する包括的かつ総合的な国際条約」と題する決議56/168が採択された。この決議は、障害者権利条約を検討する特別委員会を設置することを決定したため、「条約提案検討委員会の設置決議」と呼ぶこともできるだろう。50年以上に及ぶ国連の歴史において障害者権利条約を検討する委員会が設置されるのはこれが初めてである。
 これまで知られているかぎりでは、1987年のイタリア、1989年のスウェーデン、2000年の中国、スウェーデンが、国連総会や国連人権委員会において、障害者権利条約ないし障害者差別禁止条約の作成を提起したが、いずれも失敗に終わっている。ちなみに、1989年の条約失敗の結果、1993年には障害者の機会均等化に関する基準規則が採択され、それは今日の国際障害法(International Disability Law)の中心をなしている。
 このたび条約提案をしたのはメキシコ政府である。メキシコ政府が、条約提案に動いた背景には、障害者の機会均等化に関する基準規則の専門家パネルのメンバーの一人がメキシコ大統領府の障害者オフィスに勤め、影響力を強く持っていたことなど、いくつかの要因が指摘されている。なお、メキシコは1998年のDPI第4回世界会議の開催国でもある。
 今回のいわゆる「条約提案検討委員会の設置決議」は、国連総会の議題119(b)「人権問題」のもとで採択された。これまで一般に、障害者問題は、議題108「社会開発」の中で取り扱われており、今回も「社会開発」と題する議題のもとで障害者問題の決議が一通採択されているのだが、その一方で、「人権問題」と題する議題のもとで、この「条約検討委員会の設置決議」は採択された。
 条約検討委員会は、目下作成中の人権委員会の報告書のほか、社会開発委員会第40会期(2002年2月11から2月21日)と国連人権委員会第58会期(2002年3月18日から4月26日)とによる勧告を考慮し、今年の国連総会第57会期が開催される前までに、10日間の作業を行う会合を少なくとも1回開催する予定である。


* 長瀬修「障害者の権利条約実現を」『発言席』(2002年1月20日 毎日新聞朝刊)を参照。長瀬修氏のホームページは、http://ehrlich.shinshu-u.ac.jp/tateiwa/0w/no01/0.HTM
* 上記の日本語訳は、川島聡訳『季刊福祉労働』94号(2002年3月25日刊行予定)を参照。

人権フォーラム21事務局 川島聡


 

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