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グローバル・コンパクトに関する20の質問:企業が知るべきこと
(仮訳)


グローバル・コンパクトのイニシアティブ
参加資格(Eligibility)
参加約束vs署名(Engaging vs. Signing)
実施
グローバル・コンパクトのウェブ・サイト上へのケース・スタディーの掲載
グローバル・コンパクトにおける労働組合及びNGOの役割
グローバル・コンパクトの構造
統治(Governance)


グローバル・コンパクトのイニシアティブ

1.国連のグローバル・コンパクトのイニシアティブは国連によるものか、それとも事務総長によるものか、すなわち、公的なものか又は個人的のものか?もし前者の場合ならば、加盟国政府はグローバル・コンパクトを支持したことになるのか。またその際に政府の役割とは何か?もし後者の場合ならば、事務総長の任期の終了時においてグローバル・コンパクトはどうなるのか?

国連憲章の「機関」の一つとして、事務総長は、国連がとりわけ日常業務上の責任を負わない新奇性のある挑戦に直面した場合にリーダーシップを発揮しかつ擁護する責任を負う。この責任を現事務総長は極めて真摯に果たしたのであり、その努力を加盟国は大変評価している。

グローバル・コンパクトは、事務総長のイニシアティブ(発案)として産み落とされた。当初、そのイニシアティブは1999年1月のダボス会議におけるスピーチに過ぎなかった。だが、そのスピーチは、グローバリゼーションが世界の全ての人々に資するよう、グローバルなビジネス社会に対して訴えるものであった。このイニシアティブに対してビジネス社会は賛同し、グローバル・コンパクトはプロジェクトとなって、国際商業会議所に加え、その他多くの国際的な事業協会及び個別商社並びに、国際的な労働組織及び市民社会組織によって先導されていった。

昨年9月の国連ミレニアム・サミットに集結した159カ国の国家元首及び政府首脳は、このサミットにおいて事務総長が行った国連の展望に関する声明(「我々人民:21世紀における国連」)を一律に讃え、政治的宣言を採択した。この宣言は事務総長の声明をしっかりと反映し、とりわけ「民間セクター、NGO及び市民社会に対して、国連の目的及び計画の実現に貢献するための・・・より一層大きな機会を」与えるよう要請した。その後、国連総会はそのコミットメントを再確認した決議を2000年秋に採択し、当該決議を実施する最良の方策について提案を行うよう事務総長に対して求めた。事務総長が提出する報告書において、グローバル・コンパクトは重要な特徴を有するだろう。

事務総長はグローバル・コンパクト事務所(GCO)を設置した。また、事務総長のイニシアティブは国連人権高等弁務官事務所、ILO、UNEP、UNDPといった国連諸機関においても確実に制度化された。これにより、グローバル・コンパクトはその発展的な目的において民間セクターの支援を得ることを意図した新たな計画のための包括的な枠組となるだろう。

2001年3月に、事務総長は第2期目の5年の任期(2002年−2006年)を務めるか否かを明示するだろう。しかし既に、グローバル・コンパクトは国連ファミリー内で少なからぬ牽引力を生成している。


参加資格(Eligibility)

2.誰が又は何が、グローバル・コンパクトへの企業の参加資格を判断するのか?グローバル・コンパクトに加わった後、企業は離脱するよう求められうるのか?非企業の参加者に対して、そのような基準及び手続は存在するのか?

(グローバル・コンパクトへの)参加は、その9原則の向上に資するという意思と能力による。グローバル・コンパクトは学習の場として存在するため、実行を評価するものではなく、良き実行を明確化しかつ促進することを求めるものである。しかしながら、(グローバル・コンパクトは、)そのイニシアティブを保護しかつ潜在的な濫用を避けるために参加者を受け入れない権利を留保する。もし濫用が生じるならば、グローバル・コンパクトに関連する全ての当事者を交えた拡大協議会を経た後、その濫用を妨げるための決定が下されることが想定される。


参加約束vs署名(Engaging vs. Signing)

3.グローバル・コンパクト事務所によれば、グローバル・コンパクトのための「署名」は存在せず、またその参加企業は「署名者(signatories)」ではない。しかしながら、企業を代表して最高経営責任者(CEO)が事務総長へ書簡(letter)を提出することは「署名」に等しいものである。その区別はどのようなものか?

企業からの最初の通達が企業の最高経営責任者(CEO)からのものであるよう求めた主たる理由は、その通達が最も見込みのある意思を表す宣言となることを確保することにある(同じことが労働及びNGOの参加者についても求められる)。書簡はグローバル・コンパクトへの完全な参加に向けた第1歩であるが、具体的な行動基準と関連した拘束力ある誓約ではない。

4.もし企業が署名者ではなく、グローバル・コンパクトの掲げるリストが守られないのならば、書簡の目的は何であるか?公的な声明で十分であるか?もしそのリストが守られないのならば、参加約束をした多くの企業の成功が評価されるのは何故か?

質問の前半部については上記参照。後半部については、グローバル・コンパクトが三つの分野において、またより広く国連の目的(すなわち、貧困根絶と発展)を促進するという点において有する純粋な影響力から、企業の成功は最終的に評価される。グローバル・コンパクトに参加する企業が増えれば増えるほど、それだけ大きく(またより急速に)グローバル・コンパクトは進歩していくだろう。


実施

5.グローバル・コンパクトの主目的は、その諸原則が企業内活動へ統合されることにある。だが、この努力は、活動基準と成功基準のいずれとも具体的な関連性を持たない。どのようにして、グローバル・コンパクト事務所(GCO)は、書簡及び年次ケース・スタディーの受領以外に、諸原則を企業内活動へ統合していくのか?

我々は、学習の場を設置した。そこで蓄積された個別的なケース・スタディーが、企業の経験を十分に参加者の間で共有させるための基礎を提供する。またそこでは、補完的な調査・研究結果と共に、「良き実行(good practices)」の情報が蓄積される。良き実行に関する実体例が明確化され、かつ広まった程度によって、その進歩状況が評価される。

同時に、個別的な良き実行を促進することをもって、グローバル・コンパクトが企業、その製品及び全ての活動を推奨するものではないことを想起することが重要である。

6.企業は、グローバル・コンパクトの原則を実施するために、既存の計画や活動を用いることができるだろうか?国連は、一般に、OECD多国籍企業行動指針やグローバル・サリバン原則のようなグローバル・コンパクトに先行する努力を含むグローバル・コンパクトと等価的なアプローチを承認するだろうか?

グローバル・コンパクトは幅広い枠組である。グローバル・コンパクトは、それに限定されずに、積極的な変革を奨励しようとする。我々の政策文書「グローバル・コンパクトとは何か――また何でないか?」で示したように、グローバル・コンパクトは、他のアプローチに取って代わるものではない。


グローバル・コンパクトのウェブ・サイト上へのケース・スタディーの掲載

7.企業がグローバル・コンパクトのウェブ・サイト上にその実例を載せるための手続とは何か?企業は特定のテンプレートを用いなければならないか?企業は、その他の対内的又は対外的な報告イニシアティブのために作成した資料を用いることができるか?

我々は一般的な指針を与える一方で、適当なケースの選択は企業に大きく委ねている。我々は、他のイニシアティブを参照することを歓迎する。我々が共通の「テンプレート」を奨励する程度までそれが蓄積されるにつれて、共通のテンプレートは諸ケースの比較可能性を高め、その結果、学習経験を最大化することができるだろう。

8.企業がその経験をウェブ・サイト上に載せなければならない時期はいつか?国連事務総長へ書簡を提出してから365日以内か?満一年以内か?あらかじめ決定された特定の日か?

我々は、少なくとも一年に一度提出することを求める。すなわち、最高経営責任者(CEO)が事務総長に最初の書簡を提出してから一年以内である。具体的な日時については企業に委ねる。

9.グローバル・コンパクトのウェブ・サイトに向けて提出された全ての情報は掲載されるのか?もし掲載されないのならば、掲載されるものを決定するのは誰か、また、どのようにしてこの決定はなされるのか?企業が提出した資料は国連によって編集されるのか?もし国連が編集するのならば、企業は変更点を再検討する機会を有するか?ウェブ・サイト上の掲載は、それを提出した企業名を明らかとするのか?

グローバル・コンパクト事務所は、最初に(非公開の)審査を行うことになる。それに基づいて、同事務所は、企業に対して、その提出物に関する提案を行うことができる。しかし、企業の提出物は改変されることはない。最終的に掲載するに際して、ケース・スタディーの出所が明示される。企業はその後の対話において最終的な回答を得ることになる。

10.企業は、グローバル・コンパクトの原則の全てについて事例を提出しなければならないか、又は、企業が選ぶいくつかの事例のみか?その原則に種々の解釈が可能である場合、国連はその解釈を明らかにしようとするのか、又は、その解釈は企業の責任となるのか?

企業は、グローバル・コンパクトの諸原則の全て又は一つ以上を選ぶことができる。さらに、我々は諸原則の意味について論争することに興味があるのではなく、諸原則により触発されかつ諸原則に基づいて行動するよう努める良き実行を促進することに関心がある。

11.国連は、企業のウェブ・サイト上の掲載について外部から評価又はコメントを求めたり、又は受け入れたりするのか?もしそうならば、そのような評価/コメントもまた、グローバル・コンパクトのウェブ・サイト上に掲載されるのか?グローバル・コンパクト事務所は、そのような評価の正確性を実証する努力をするか?

当初から、企業にではなく、特定の具体的な実行に焦点を合わせ、グローバル・コンパクトの全ての参加者間の対話として、学習の場は計画されてきた。最大限に我々が良き実行を明確化しかつ促進しうることが唯一の目的である。この対話を切り盛りしかつ情報バンクを構築する場合、University of Warwick(UK) Corporate Citizenship Unitがコーディネートする南北のいくつかの主要なビジネス・スクール(経営学大学院)が我々を手助けする。グローバル・コンパクトに関するその他の活動面として、我々は、全てのグローバル・コンパクトの関係者と共同で、学習の場の目的が全てのものの満足を満たすものとなるよう、これらの手続を評価・検討することもあるだろう。

12.グローバル・コンパクト事務所が追加的なケース・スタディーを求める場合、事務総長に書簡を提出していない企業はこれらのケース・スタディーの対象となるのだろうか?書簡を提出した企業はこれらの追加的なケース・スタディーの対象となることが想定されているのだろうか?もしそうだとしたら、企業は求められているケース・スタディーに優先して連絡をとることになるのか?

我々のウェブ・サイトは二つの型の情報を含む。一つは、企業の提出及び構造的対話の確保である。二つめは、グローバル・コンパクトによって生じた主要な問題及びジレンマと関連した主要な学問的な調査・研究の成果の要約である(例えば、ハーバードとMITのアメリカ調査グループが、グローバル・コンパクトの諸原則に関する事業例のような補足的問題について、厳密で経験的な研究を行う意思があると表明した)。我々は、ウェブ・サイト上の二つの形態の情報の間に明確な区別を設け続けるつもりである。


グローバル・コンパクトにおける労働組合及びNGOの役割

13.グローバル・コンパクトにおけるNGO及び労働組合の役割は具体的にどのようなものであるか?それらの役割は企業のそれとどのように異なるのか?そのようなグループは、9原則を促進するために独自に関与するよう求められるのか?

我々の政策文書は種々のアクターの役割について描く。それぞれのアクターは学習経験を高めようとする独自の専門的知識を有している。また、何が良き実行を構成するかについて全てのアクターの間で得られたコンセンサスは、何が役に立つかまた何が役に立たないかに関して、全ての関係者に対して積極的なシグナルを送るだろう。


グローバル・コンパクトの構造

14.新たな原則はグローバル・コンパクトに付け加えられるか?どの基準が、そのような追加を満たすのに必要か?グローバル・コンパクトにあらかじめ関与している企業の義務とは何か?

新たな原則を付け加える計画はない。現存する原則が、確固たる国際的な法的かつ政治的基盤となる。また、現存する原則は、9原則を実施する際の進歩を妨げる障害のような困難な問題を含む、企業社会責任に関連した広範囲の問題をカバーするのに十分な大きさである。

15.グローバル・コンパクトに参加している企業について報告しかつ審査することは付け加えられるか?もしそうならば、どのような形態か?

我々はそうするマンデートも能力もない。しかしながら、我々はGRIを並行的な自発的なイニシアティブとして支持する。

16.グローバル・コンパクト事務所は、自発的でテーマ別の対話がもたらす成果の中には、行動のためのガイドライン(Guidelines for Action)が含まれると指摘した。グローバル・コンパクトに参加した全ての企業は、これらのガイドラインが発展されたならば、それらに従うことが期待されるか?これらのガイドラインの地位は何か?

我々は、こうした対話がなされることによって、行動の指針として用いられうる共通の眼識や理解が生み出されることを当然に期待している。また、それらに対して、全ての関連する主体が注意を払うよう、我々は勧告するだろう。しかし、我々は「ガイドライン」それ自体を発表する予定はない。グローバル・コンパクトは法定立機能を有しない。


統治(Governance)

17.グローバル・コンパクトの資金はどのように供給されるか?

支援を行う政府及び基金からの自発的な寄付による。

18.グローバル・コンパクトに参加約束をした企業は、そのイニシアティブの運用及び活動について発言するか?グローバル・コンパクトに参加する他のグループは、そのイニシアティブの運用及び活動について発言するか?もしそうならば、それらは企業の役割とどのように違うのか?

今日までのケースにあるように、我々はそうするための集団的意思があるところにむけてのみ前進している。自発的なイニシアティブにおいて成功する基礎はほかにない。イニシアティブを維持するために要求される極めて重要な通信機能を含む日々の活動は、事務総長の直接的な権限が及ぶグローバル・コンパクト事務所によって営まれる。

19.進歩を評価、検討しかつ全般的な方向性を定めるために、「民間セクター、労働者及び市民社会の諸組織のリーダー」はどのようにして年次会議に選出されるのだろうか?そうしたリーダーは、「参加している」企業及び組織の代表に限定されるのだろうか、又は、いかなる者にも開かれているのだろうか?「リーダー」が選出されない企業は、どのようにしてその過程に関わることができるのだろうか?決定は、全ての参加者、すなわち「リーダー」間のコンセンサスによってなされるのだろうか、又は、コフィー・アナンのみに委ねられるのだろうか?

グローバル・コンパクトの全ての参加者のリーダーは、2000年6月26日の場合のように、招待されるだろう。我々は、関連する前年の経験を事務総長が共有することを期待している。というのも、その経験はどのような決定がなされなければならないか、ということと関連しているからである。また、我々は、事務総長がどのように行動することが最良かについて提案を求めることを期待する。

20.グローバル・コンパクト事務所と関連国連機関との間に相違が生じた場合、それはどのように解決されるのか?

これは、単一の答えを提供することのできない抽象的な問題である。しかし、つまるところグローバル・コンパクトの世話役係りの地位にある事務総長がその責任を負う。全ての機関の長はそれを理解した上でグローバル・コンパクトに参加している。


*原文(英文)は以下のところから入手可能です。
http://www.unglobalcompact.org/gc/unweb.nsf/content/questions.htm

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