＊反人種主義・差別撤廃世界会議のためのアフリカ地域準備会議（African regional preparatory meeting）が、２００１年１月２２日から２４日までセネガルのダカールにて開催された。このアフリカ地域準備会議に関する�@１月１７日付けのプレス・リリース（RD/903）と、�A１月２２日付けのプレス・リリース（HR/4511）の内容を紹介する。




�@１月１７日付け：アフリカ地域準備会議に関するプレス・リリース（RD/903）の抄訳

　２００１年８月３１日から９月７日まで、南アフリカのダーバンで開催が予定されている反人種人主義・差別撤廃世界会議においてアフリカ諸国の共通の立場を明確化するために、セネガルのダカールにて、１月２２日から２４日まで、アフリカ地域準備会議が開催される。

　セネガル政府が主催するこのアフリカ地域準備会議は、セネガル大統領Abdoulaye Wadeにより開催され、セネガル外務大臣Cheikh Tidiane Gadioがその議長を務める。最近開かれた記者会見において、この開催地が選択されたのは、アフリカ大陸の役割とその重要性を強調するセネガルの努力が認められた結果である、とGadioは述べた。もっとも、Gadioは、女性、子ども及びマイノリティーの権利に対して払われた努力を例に挙げつつ、これからなすべきことは「極めて困難なこと」であると指摘した。

　今日のアフリカに直面している緊急の問題についてアフリカのリーダー達に注意を喚起することが、反人種主義世界会議の事務総長でもある国連人権高等弁務官メアリーロビンソンに期待されている。この緊急の問題は、奴隷制度、子どもや女性の売買、グローバルゼーションに起因する貧困現象、障害やHIVを持つ人々の社会からの排除、人種政策の結果としての環境汚染及び退廃、貿易や財・サービスの交換において見られる人種主義にまで及んでいる。

　アフリカ地域準備会議において５００余人が討議する議題には、移民や難民を含む人種主義の犠牲者、アフリカにおけるエスニック・バイオレンス、大陸間の奴隷貿易の遺産、補償等の救済や予防措置などが含まれる。また、この他に、アフリカ大陸の経済的社会的状況やAIDSの蔓延についても討議される。

　三日間の会合における討議の後、代表者達は、次の準備会議に提出される行動計画案と宣言案を採択する。この準備会議は、ジュネーブにおいて５月に開催が予定されており、ジュネーブ国連事務所のセネガル常駐代表であるAbsa Dialloがその議長を務める。

　２００１年８月３１日から９月７日まで、南アフリカのダーバンにおいて、反人種人主義・差別撤廃世界会議が開催されるが、メアリーロビンソンによれば、「この世界会議は、今世紀初頭における最も重要な会議となる可能性がある」。

　アフリカ地域準備会議で代表者達に配布される文書には、今月初めにボツワナで会合を開いた多くのアフリカのNGOによる勧告が含まれている。その最終文書において、NGOは、アフリカ諸国に対して、貧困と不平等との決定的な関連を認識するよう要請した。NGOによれば、「アフリカやその他の地域で今日行なわれている外国人排斥は、移民労働者、亡命者及び難民の排除や暴力が主要なもの」であり、「この点について、アフリカ人は差別を被っている」。また、これらNGOは、アフリカに由来する多文化的及び多民族的な価値を認めるよう要求した。

　アフリカ地域準備会議において、代表者達は、昨年１０月にアディスアベバ（エチオピア）で開催されたアフリカにおける民族的及び人種的な紛争の予防に関する専門家セミナーの報告書もまたレビューする。この専門家セミナーで、専門家達は、奴隷貿易、行政政策及び植民地活動、恣意的な国境画定のような歴史的要因が、アフリカの経済的社会的な発展に対してネガティブな影響を与え、かつ、民族的及び人種的な紛争の温床を生み出している、と述べた。また、専門家達は、アフリカにおける民族紛争は、組織的かつ大規模な人権侵害、民主主義の欠如、並びに、人種、民族及び差別の政治化に由来するものであり、外交的利益が天然資源の搾取や武器取引と結びつく役割を果たしていた、と述べた。さらに、専門家達は、人種主義と政治との癒着は、特権的な少数者（privileged minorities）を生み出すと強く主張した。そして専門家達は、民族紛争が、合法的又は非合法的に、難民やより良い生活を求める人々による他国への大規模な移動をもたらす、と指摘すると共に、「アフリカ内及びアフリカからの強制的な移住（Forced migration）は、受入国における家族離散や差別状況という結果をしばしば招き、それは女性や子どもに対して大きな危険もまた生じさせる」と結論づけた。

＊上記の抄訳の原文（英文）は次のホームページから入手可能。
http://www.un.org/News/Press/docs/2001/rd903.htm
＊また、上記とほぼ同内容の国連のプレス・リリースは以下のホームページを参照。
http://www.unhchr.ch/huricane/huricane.nsf/view01/00E942EDC19DB3E7C12569D9004FDAC4?opendocument





�A１月２２日付け：アフリカ地域準備会議に関するプレス・リリース（HR/4511）の抄訳

　１月２２日、ダカール

　反人種主義・差別撤廃世界会議のためのアフリカ地域準備会議（African regional preparatory meeting）は、アフリカのさらなる民主化を求めるセネガル大統領Abdoulaye Wadeの開会の挨拶をもって、２００１年１月２２日にセネガルのダカールにて開催された。その開会の辞において、アフリカは人権の尊重と真の民主主義に向けて勇敢に闘うべきである、とセネガル大統領は述べた。また彼は、人種主義はもはやグローバルな問題ではないとした上で、「本当の問題は、人権侵害、外国人排斥、エスニシズム（民族性重視主義）及び不寛容である」と述べた。

　国連人権高等弁務官であり反人種主義・差別撤廃世界会議の事務総長でもあるメアリー・ロビンソンもまた、アフリカのさらなる民主化を要請した。彼女は、反人種主義・差別撤廃世界会議の準備における不可欠な要素として、アフリカ地域準備会議でジェンダー的側面を考慮に入れるように求めた。彼女は、女性が被る複合差別（multiple forms of discrimination）を強調し、世界会議におけるアフリカの女性組織の役割を推賞した。

　メアリー・ロビンソンは、アフリカが、継続的に自由な意見を交換し合い、その優先事項を決定し、その勧告を明確にし、市民社会の声を聞いて、そのコミットメントを示すよう、集まったアフリカ人に対して述べると共に、他国に対するアフリカの期待を強調した。彼女が言うところの、アフリカ人民が経験してきた「大規模な悲劇（the sheer scale of the tragedies）」について回顧しつつ、彼女は、多民族・多文化という背景の中で見られる問題について理解を深めることが実際必要になっている、と集まった聴衆に想起させた。

　メアリー・ロビンソンは、アフリカの青年は、アフリカの資源でありかつ未来であると強調した。だが、多くの青年が他国に移住し、そこで人種主義や外国人排斥の犠牲者となっていると述べた。彼女は、議論を成功させるための中心的なテーマとして、教育や意識向上の意義について強調すると共に、紛争の予防及び処理を成功させるためにアフリカ人の価値を行き渡らせるよう主張した。

　アフリカ統一機構（OAU）の事務総長補佐Said Djinitは、アフリカの奴隷貿易の歴史について言及し、正義と平等を求めるアフリカ人民の熱望は政治的闘争の中心であり続けている、と述べた。

　アフリカ地域準備会議は１月２４日に閉幕する。このアフリカ会議には、アフリカ地域における最良の実行について描写し、かつ、人種差別への救済策を提案すること、並びに、政府、国内人権機関及びNGOのための行動計画案を作成することが期待されている。アフリカ地域準備会議には、政府、国内組織、政府間組織、NGO並びに学界から２００人以上が参加している。このアフリカ会議は、２００１年８月３１日から９月７日に南アフリカのダーバンで開催される反人種主義・差別撤廃世界会議に向けた第３回目の地域会議である。

＊上記の抄訳の原文（英文）は次のホームページから入手可能。
http://www.un.org/News/Press/docs/2001/hr4511.htm





＊反人種主義・差別撤廃世界会議（ダーバン２００１）については、IMDAR-JCのホームページに最新の情報が掲載されています。
http://www.imadr.org/japan/2001/news1.html

＊IMDAR-JCへの問い合わせは以下を参照してください。

**〜*〜**〜*〜**〜*〜**〜*お問い合せ*〜*〜**〜*〜**〜*〜**
　　反差別国際運動日本委員会（IMADR-JC）
　　?担当：伊藤衆子?CERD＆WCRプロジェクトチーム・ボランティアスタッフ
　　〒106-0032　東京都港区六本木3-5-11　Tel/Fax：03-3568-7709
　　E-mail: imadrjc@ff.iij4u.or.jp　Home Page: http://www.imadr.org
　　　　　　　人権文化。それが地球のキーワード
**〜*〜**〜*〜**〜*〜**〜*〜**〜*〜**〜*〜**〜*〜**〜*〜**〜*〜**