2001年7月4日
法務大臣 森山眞弓 様
前略。 私どもは、先に行政機関の保有する情報の公開に関する法律第9条2項の規定に基づき、人権擁護推進審議会の議事録など行政文書の開示請求を致しましたが(平成13年5月2日受付第119―120号)、さる5月29日付法務省総第294号「行政文書不開示決定通知書」により、不当な不開示の決定がくだされたことを知りました。 およそ政府の審議会は、国民に開かれたものであるべきであり、その公開性と透明性の確保のため、議事録や配布資料が公開されるべきです。しかるに人権擁護推進審議会においては、議事録や配布資料の公開には、極めて消極的で、密室審議のそしりを免れ得ないものです。 先の法務省総第294号「行政文書不開示決定通知書」には、「この決定について不服があるときは、この決定があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により、法務大臣に対し意義申し立てをすることができます」との記述があり、このことをふまえ、法務大臣に対し異議申し立てをおこなうものです。 ご高配賜りますよう、よろしくお願いします。 (1) 審査請求に係る処分 ・人権擁護推進審議会の議事録など行政文書の開示請求(平成13年5月2日受付第119―120号)に関わる法務省総第294号「行政文書不開示決定」 (2) 審査請求に係る処分があったことを知った年月 ・2001年5月29日付、法務省総第294号「行政文書不開示決定通知書」 (3) 異議申し立ての趣旨および理由 ・人権擁護推進審議会の議事録など行政文書の開示請求(平成13年5月2日受付第119―120号)に関わる不開示決定(法務省総第294号)を取り消し、当該文書の開示決定を求める。 ・人権擁護推進審議会に関わる発言者氏名入りの議事録の公開を求めたところ、「開示請求に係わる行政文書が実際に存在しないため」との理由が述べられている。この理由は不当である。 ・通例、政府の審議会では、事務局が記録係をつとめ詳細な議事録メモを作成・保管しており、多くの審議会では、これにもとづき発言者氏名入りの議事録を作成し、公開している。他の審議会でなされていることを、なぜ人権擁護推進審議会ではできないのか、理解に苦しむところである。 ・また人権擁護推進審議会においても、現行の極めて不十分な発言者氏名のない「議事録」の作成にあたっては、発言者の委員にその発言内容を照会・確認するため、記録を担当している審議会事務局が、当日の審議の記録をもとに議事録草稿を作成して委員各位に事前に配布し、記載内容の了解を得てから、「議事録」として公表の手続きを取っているとされている。したがって、各委員に発言内容を照会・確認するための議事録草稿は、当然ながら事務局に存在するものと推定される。 ・さる5月25日に公表された人権擁護推進審議会「人権救済の在り方について」の答申は、「被害者の視点から簡易・迅速・柔軟な救済を行うのに適した、行政による人権救済制度を整備することが是非とも必要である」としている。文字通り「被害者の視点」を大切にするなら、日々人権を侵害されている多くの国民に深くかかわる人権救済制度の政策立案過程をきめ細かく伝える努力こそ実行すべきである。また、発言者の氏名が特定できる審議会議事録の公開は、審議会委員の国民への説明責任を果たす上からも、また国民の知る権利を保障する点からも当然の処置である。 以上
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