人権擁護法案の抜本的修正に関する提言
本日から臨時国会が始まった。この国会では先の通常国会で継続審議とされた人権擁護法案が実質審議される。人権侵害の禁止を明確に定め、市民にとって利用しやすい人権救済制度を確立するため、この法案は極めて重要な内容を含んでいる。しかし、設置予定の人権委員会の独立性や機能等に関し、法案は重大な欠陥を抱えており、抜本的な修正が不可欠である。 人権フォーラム21はこれまで積み重ねてきた人権政策提言を踏まえて、以下に改めて人権擁護法案の抜本的修正に関する提言を公表する。国会審議においては、以下の提言を真摯に踏まえた実質的審議を切に希望する。 1.人権擁護法案の基本的理念に関する抜本的修正案 (1) 「人権」を明確に定義すべきである 法案第2条1項では、「人権侵害」の定義はされているが、「人権」そのものの定義はなされていない。新設される人権委員会の判断基準を明確にし、また人権の範囲が恣意的に矮小化されることを防ぐためにも、明確な「人権」の定義が必要である。そのため、たとえば、韓国で昨年制定された「国家人権委員会法」第2条などを参照し、「人権」を明確に定義すべきある。 (2) 差別禁止事由を拡充すべきである 法案は第2条5項で、差別禁止事由として「人種、民族、信条、性別、社会的身分、門地、障害、疾病又は性的指向」を挙げている。しかし、これだけでは日本社会の人権問題に十分に対応できない。ここに掲げられた差別禁止事由以外に、とりわけ、民族的・国民的出身、皮膚の色、国籍、妊娠・出産、年齢、言語、性的自己認識(=肉体的・生物学的な性にかかわらず、当人が自分の性を男女いずれと認識しているか)、婚姻上の地位(=既婚か未婚か、法律婚か事実婚か、世帯主か否かなど)、家族構成(子どもの有無、親との同居など)などを加えるべきである。 また、上記の修正に加えて、新たに付け加えられた「婚姻上の地位」、「家族構成」、「性的自己認識」の定義を条文中で明らかにしておく必要がある。 (3) 「不当な差別」の内容を明確にすべきである 法案2条1項では、「不当な差別」を「人権侵害」の一種と位置づけているが、不当か否かの判断基準は何も示していない。この規定では、結局のところ、当不当の判断が全面的に人権委員会に委ねられることになる。しかし、「差別」の定義は、これを受けた者にもわかりやすいものでなければならない。 (4) 「人権侵害」を明確に定義すべきである 法案第2条1項は下記のように、「人権侵害」を定義するにあたり、差別について「不当な」なという形容詞をつけただけで、不当か否かの判断基準は何も示していない。この規定では、結局のところ、その判断は全面的に人権委員会に委ねられていることになる。しかし、「人権侵害」の定義は、これを受けた者にもわかりやすいものでなければならない。 (5) 性的指向の定義を明確にすべきである 法案第2条では「人権侵害」、「社会的身分」、「障害」、「疾病」、「人種等」の定義を明らかにしているが、これに加えて「性的指向」の定義も定めておくべきである。性的指向という用語は、日本の法令上これまで存在しなかったもので、定義が確定していない。法律成立後、定義の広狭によって混乱が生じるのを避けるためにも、「性的指向」の内容を明確にしておくべきである。 (6) 労働関係特別人権侵害及び船員労働関係特別人権侵害に関する特例を削除し、縦割り行政の弊害を排除すべきである 法案では、人権委員会の権限が及ぶ範囲が法務省の所管事項の枠内に置かれ、他の省庁の所掌事務には口出しできないことになっている。その端的な例が、労働関係の人権侵害に対する救済権限を厚生労働大臣に委ね、船員労働関係の救済権限を国土交通大臣に委ねたことである。また、人権委員会の所掌事務に「人権教育」が含まれていないことも、文部科学省との棲み分けを図った結果である。 このような省庁割拠主義的な枠組みに基づいていては、当事者の納得のいくような人権救済を図ることはできず、従来のように、縦割り行政の狭間で被害者に泣き寝入りを強いることになる。人権問題に関する独立行政委員会として人権委員会を立ち上げる以上、人権委員会の所轄範囲を限定すべきではない。すべての人権問題は第一次的には人権委員会に委ねるべきである。ましてや、国務大臣と、独立行政委員会としての人権委員会を同列視し、厚生労働大臣などに人権委員会同様の調査権限や救済権限を与えることは、国内人権機関の地位に関する国連パリ原則に照らしても、認められない。 2.人権委員会の組織体制に関する抜本的修正案 (1) 人権委員会の独立性を確保するため、人権委員会は内閣府の下に置くべきである 法案では、人権委員会は法務省の下に置かれることになっており、その事務局は既存の人権擁護局および地方法務局の人権擁護部(課)を改組して組織することになっている。しかし、この組織体制では、縦割り行政の中で人権委員会の権限行使が抑制される可能性がある。さらに、人権委員会を法務省所管とすれば、公権力による人権侵害を実効的に救済できない。なぜなら、暴行・虐待等が問題視されている刑務所・拘置所や入管施設など被拘禁施設の多くは、法務省の入国管理局や矯正局の管轄下に置かれており、人権委員会を法務省所管とすれば、これら機関と同じ組織体系に属することになるからである。そうなれば、被拘禁施設内での公権力による人権侵害について、人権委員会が効果的な調査権限や救済権限を及ぼすことができないことは、火を見るより明らかである。 したがって、人権委員会は法務省ではなく、他の省庁よりも一段上位にあって、総合調整機能を果たす内閣府の下に設置すべきである。 (2) 地方人権委員会を設置すべきである 法案によって設置される人権委員会は、中央に一つしか置かれず、その委員会が全国の人権問題を一手に処理し、すべての意思決定を行うことになっている。この制度設計では、自治体が人権委員会の救済手続に関与できる余地はほとんど無く、また地方事務局の事務を地方法務局長に委任することを認める規定(第16条3項)が置かれるなど、集権的な事務運営を行うことが予想されている。しかし、人権問題は地域に根ざした人々の日常生活の中で、その土地の地域性や慣習、歴史などを背景として生じる場合が多いことを考えれば、このような中央集権的な組織体制は効率的でないばかりか、非現実的でさえある。 全国各地で生起する人権問題を効果的に解決していくためには、各都道府県及び政令市ごとに人権委員会を設置し、独立した救済権限を与えるべきである。これは分権化の推進という時代の要請や、人権問題の実情に適合する現実的な制度設計である。 なお、中央人権委員会と地方人権委員会の所掌に関しては、前者が@複数の都道府県・政令市にまたがる人権侵害・差別事案、A国家公務員又は国の行政機関による公権力の行使に伴う人権侵害・差別事案、およびB深刻で重大な人権侵害・差別事案等を扱うこととし、後者は、@中央人権委員会の所掌する事案以外のすべての人権侵害・差別事案、A当該都道府県又は政令市住民のかかわる事案、およびB当該地方で生じた事案、をそれぞれ扱うこととするのが妥当である。 (3) 人権委員会の独立性を確保するため、人権委員会の構成に関する規定を修正すべきである 法案第7条では、「人権委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行う」と定められているものの、人権委員会の組織や権限行使の独立性を担保するような仕組みは規定されていない。これを確保するため、以下の修正が必要である。 (3-1)人権委員会委員の資格要件と多元性確保 法案では、人権委員会の委員は「人格が高潔で人権に関して高い識見を有する者であって、法律または社会に関する学識経験のあるもの」(第9条1項)から任命すると規定しているが、識見や学識だけでなく、「人権に関する活動に従事した経験」を要件に加え、被差別の当事者団体や人権NGO/NPOのメンバーなどを積極的に委員に登用すべきである。 (3-2)人権委員会委員の人数 法案は5人の委員のうち3人が非常勤であり、独立性の観点から問題がある。なぜなら、このような委員構成では、結局のところ委員会の運営は事務局任せとなり、法務省の意向に沿って委員会が運営されかねないならである。そこで、委員会の独立性の確保、及び可能な限り多くの意見を委員会の意思決定に反映させるために、委員(委員長を含む)の人数は7人以上とし、非常勤委員は半数以下に抑えるべきである。 (3-3)人権委員会事務局職員の資格要件・任命手続 法案が想定する人権委員会は中央一元的な組織であり、また5人の委員しか配置されていない。したがって、人権委員会における救済手続の多くは、事務局職員、人権擁護委員、及び人権調整委員によって担われることになる。そこで、人権委員会の独立性・実効性を高めるには、特に事務局職員の資質を高め、その多元性を確保することが必須である。 3.人権擁護委員制度に関する抜本的修正案 (1) 「人権擁護委員」から「人権相談員」へ 人権委員会を中心とした新たな人権救済制度においても、人権に関するさまざまな相談の窓口として人権擁護委員制度が果たすべき役割は小さくない。しかしながら、現行の人権擁護委員制度を実効的な制度とするためには、法案における以下の問題点の修正に加えて、現行制度の基本的理念を示しているともいえる制度の名称を再検討する必要がある。具体的には、「人権擁護委員」という名称は、人権保障に関する現在の国内外の状況からは必ずしも適切なものとは言えない。法案自体の名称も含め、「擁護」という語の主体(主語)は行政組織(制度)であり、人権を侵害された当事者ではない。また、「上からの恩恵的な人権救済」、あるいは「受動的な人権救済」の印象を与える言葉である。こうした点から、本来の期待される機能を適切に表し、当事者が主体(主語)となる「人権相談員」へ名称を修正すべきである。 (2) 多様な人材から人権相談員を選任すべきである 法案では、市町村長の推薦に基づいて人権委員会が人権擁護委員を委嘱することになっているが、推薦の要件は「人格が高潔であって人権に関して高い識見を有する者」であること、又は「弁護士会その他人権の擁護を目的とし、又はこれを支持する団体の構成員」であることと定められている。この要件は、現行の人権擁護委員法の規定(「人格識見高く、広く社会の実情に通じ、人権擁護について理解のある社会事業家、教育者、報道新聞の業務に携わる者等及び弁護士会その他婦人、労働者、青年等の団体であつて直接間接に人権の擁護を目的とし、又はこれを支持する団体の構成員」)と比較すると、相当簡素化されており、「教育者」、「報道新聞の業務に携わる者」、「婦人、労働者、青年等の団体」といった具体的な例示が削られている。地域に密着して人権活動を行う人権相談員には、多様な人材を登用することが望まれるので、法案の要件規定も人権擁護委員法にならい、詳細な記述とすべきである。その際、資格要件の一つに「人権に関する活動に従事した経験」を加え、人権NGO/NPOや被差別の当事者団体の構成員を積極的に人権相談員に登用すべきである。 (3) 人権相談員の選任方法を修正すべきである 法案が規定する人権擁護委員の選任方法は、委嘱を行う者が法務大臣から人権委員会に変わっただけで、基本的には現行制度を踏襲している。しかし、人権擁護推進審議会の第二号追加答申も指摘しているように、現行の選任手続は「硬直化して適任者の人選に支障を来している面」が否めない。これを打破するためには、公募制の採用、及び人権NGO/NPOとの事前協議などを取り入れ、選任過程の多様化・透明化を図るべきである。 (4) 人権相談員のジェンダー・バランスを確保すべきである 法案では、人権擁護委員のジェンダー・バランスに関する規定が一切ないが、人権相談員についても、人権委員会の委員同様に、一定の男女比を満たすことを義務づけるべきである。 (5) 人権相談員に対する人権研修制度の創設と委員の有給化 法案では、現行制度と同じく、人権擁護委員を無給のボランティアとしているが、これでは十分な活動を行うことができず、職務に対する動機付けも弱いものとなる。人権擁護委員制度の活発化と実効性の確保を図るためには、委員に対する人権研修制度を設け、この研修を受けた者は有給化し、人権救済の専門職として従事させるべきである。 4.人権委員会の人権救済機能に関する抜本的修正案 (1) 公権力による人権侵害に対する実効的な救済を保障すべきである 法案は、私人間における人権侵害と公権力による人権侵害を同列に扱っており、相対的に公権力による人権侵害を軽視している。公権力による人権侵害に関しては、私人による人権侵害とは別の調査・救済手続を整備すべきであり、かつ人権委員会による調査や調停の対象となった行政機関には、調査・調停に応じる義務があることを明記すべきである。 〔公権力人権侵害に対する救済措置に関する修正事項〕 @人権委員会から一般調査に関し協力を求められた行政機関は、正当な理由がない限り、協力要請に応じなければならない、との規定を新設する(法案第39条関係)。 A 公権力人権侵害について調停申請の対象とされた行政機関は、正当な理由がない限り、調停に応じなければならない、との規定を新設する(法案第46条関係)。 B 公権力人権侵害について、人権委員会が職権で調停に付すことを決定したときは、当事者たる行政機関又は公務に従事する者は、正当な理由がない限り、調停に応じなければならない、との規定を新設する(法案第47条関係)。 C 公権力人権侵害事件について、調停案が作成されたときは、当事者たる行政機関又は公務に従事する者は、調停案を尊重するものとする、との規定を新設する(法案第52条関係)。 D 人権委員会は、国の行政機関又は職員が当事者となっている公権力による人権侵害に係る事件について、人権侵害行為をやめるべきこと又は被害の救済・予防に必要な措置を執るべきことを勧告したときは、年次報告書等において、その旨を公表することができる。 E 人権委員会は、地方公共団体の行政機関又は職員が当事者となっている公権力による人権侵害に係る事件について、6.の勧告をしたときは、速やかにその旨及び勧告の内容を当該地方公共団体の首長及び議会に報告しなければならない、との規定を新設する(同上)。 F 人権委員会は、公権力による人権侵害に係る事件について、6.の勧告をしたときは、その旨及びその内容を公表しなければならない、との規定を新設する(法案第61条関係)。 (2) 代理人または人権NGOによる人権侵害の申立を認めるべきである 法案では、人権侵害の申出は当事者だけが行えることになっているが、当事者の代理人や事態を察知したNGOなども、申出を行えるようにすべきである。とりわけ、拘禁施設や福祉・医療施設での差別・虐待や、高齢者又は児童に対する虐待など、密室性の高い人権侵害については、当事者以外の申出を認めなければ、実効的な人権救済は図れないからである。 (3) 申立て期間を人権侵害発生後1年以内に限るべきでない 法案によれば、人権委員会は申立ての対象となった差別行為から1年以上経過した事案については、原則として調査や救済の対象としないこととされている。しかし、差別や虐待などの人権侵害は社会的弱者に向けられることが多い。人権侵害を受けた者が救済を申し立てるには相当の決意が必要で、1年以内に申立ての決断を迫るのは弱者救済の実情にあわない。したがって、諸外国の国内人権機関の制度を参照して、申立て期間は人権侵害発生後3年以内とすべきである。 (4) 申立人に対する不利益取扱いの禁止 法案84条では、「何人も、この法律の規定による措置を求める申出又は申請をしたことを理由として、不利益な取扱いを受けない」と規定している。この規定は、人権救済の申出を行った者が、加害者から報復されることを防ぐための規定であるが、その名宛人が人権侵害の被害者となっており、加害者に対する明確な禁止規定となっていない。この種の規定は、本来であれば、下記修正案のように規定すべきである。 また、この規定は「補則」の章に置かれており、実効性の観点からも問題がある。カナダなどでは、人権救済を申し立てた者に対して何らかの報復行為を行えば、そのこと自体が差別行為に当たるとして規制の対象となる。このように、申立人に対する不利益取扱いを明確に禁止しておかなければ、立場の弱い労働者や被拘禁者、あるいは社会福祉施設や医療施設の入所者は、報復を恐れて人権侵害の申出を行うことをためらい、ひいては泣き寝入りを強いられることになる。こうした事態を防ぐためにも、申立人に対する不利益取扱いについては、それ自体を人権委員会による救済手続の対象とすべきである。このため、下記修正案は、第4章「人権救済手続」中に置くべきである。 (5) メディアによる人権侵害については、メディア側の自主的な救済策に委ね、人権委員会による特別救済手続の対象からは除外すべきである 法案では、マスメディアの報道によってプライバシー侵害や名誉毀損を被った者、あるいは過剰な取材を受けた者が人権救済の申出を行うことが認められており、人権委員会はその申出を受けて、勧告・公表などの特別救済手続を執ることができることとされている。しかし、プライバシー侵害や過剰取材の要件や判断基準が明確でなく、人権委員会の恣意的な判断で、マスメディアに圧力が加えられる危険がある。 表現の自由や報道の自由は、民主主義社会を支える支柱であり、これが不当に侵されるような余地を与えてはならない。人権委員会といえども行政機関であることに変わりはなく、人権委員会が一方的な判断によってマスメディアの報道内容や取材方法を人権侵害であると決めつけ、その中止などを勧告することがあれば、国家権力による言論弾圧と言える。 こうした事態を防止するためにも、メディアによる人権侵害については、メディア側の自主的な救済策に委ね、人権委員会による特別救済手続の対象からは一切除外すべきである。 5.人権委員会のその他の機能に関する抜本的修正案 (1) 提言機能を拡充すべきである 法案では、人権委員会の権能の一つとして、内閣総理大臣や関係行政機関の長、又は国会に対する意見提出権を規定しているが、人権委員会が政府から真に独立した存在となるためには、意見の提出にとどまらず、政策提言の機能を持たせるべきである。具体的には、中央人権委員会と地方人権委員会を設置する場合には、中央人権委員会は、国会および内閣に対し、例えば、@人権教育・啓発に係る政策のあり方、A人権問題に係る法令の制定・改廃、B人権政策の実施に係る行政慣行の変更、C人権諸条約の批准又は加入、D国連および諸外国の人権機関との協力、E人権諸条約上、提出が義務づけられている政府報告書の作成などについて提言を行い、地方人権委員会は、都道府県又は政令市の首長ならびに議会に対し、相応する提言を行うことなどが想定される。 同時に、人権委員会が意見提出や提言を行った場合には、その名宛人たる行政機関の長や国会は、意見又は提言に対する応答義務と説明責任があることを明記すべきである。 ここでは、中央人権委員会の人権政策提言機能に関する修正案を示す。 (2) NPO/NGOとの恒常的な協議機関を設け、市民社会との協働を強化すべきである 法案では、人権委員会に対し、下記のように「関係行政機関及び関係のある公私の団体と緊密な連携を図るように努めなければならない」との努力義務を課しているが、とりわけ民間団体との連携については、このような努力義務では十分な協力関係を構築することはできない。 人権委員会の独立性・多元性を確保し、その信頼性を高めるためには、その組織内部の構成等に工夫をこらすだけでは足りず、その活動に多様な意見を反映させ、人権NGO/NPOとの協議機関を設置し、当該協議機関を定期的に開催するなど、外部の市民団体などとの活発な意見交換を行うことが不可欠である。 (3) 政府・自治体による法律周知のための広報義務を明記すべきである いかに立派な法律が制定されたとしても、法律の制定、人権委員会の活動、申出の手続などが多くの市民に周知されなければ、真に実効的な人権救済制度とはなりえない。本法及び新たに設置される人権委員会が実効的なものとなるか否かは、制度の利用者(ユーザー)である市民の幅広い支持を得ることができるか否かにかかっている。 そのためにも、政府及び自治体による本法の広報・周知義務を明示的に規定すべきである。 (4) 人権委員会の特定職業従事者への人権教育機能を明記すべきである 地方及び中央人権委員会は、「『人権教育のための国連10年』に関する国内行動計画」(1997年7月4日)及び人権教育・啓発推進法にもとづき策定された基本計画(2002年3月)を踏まえ、人権尊重の意識を高め、人権という普遍的文化を普及発展させるため、特定職業従事者を対象とする人権教育・啓発活動を積極的に推進すべきである。 |
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