2001年8月16日
法務大臣森山眞弓 様
前略。 先に行政機関の保有する情報の公開に関する法律第9条2項の規定に基づき、人権擁護推進審議会の第62回会議議事録作成にかかわる行政文書の開示請求を致しましたが(平成13年7月4日受付第189号)、去る8月3日付、法務省総第428号によって不当にも不開示の決定通知を受け取りました。 およそ政府の審議会は、国民に開かれたものであるべきであり、その公開性と透明性の確保のため、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の精神にもとづき、議事録や配布資料ができるだけ公開されるべきである。しかるに人権擁護推進審議会においては、議事録や配布資料の公開には、極めて消極的で、当会の行った議事録作成にかかわる行政文書の開示請求に対して、「開示請求に係る行政文書が実際に存在しない」との理由にならない理由を展開している。このような審議会の姿勢は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の精神に反することは、明らかであり、不当である。 そこで、今回の不開示決定書(法務省総第428号)にある「この決定について不服があるときは、この決定があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により、異議を申し立てることができます」との記述を参照し、ここに異議申立てを行うものです。ご高配賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。 − 記 −
(1) 異議申し立ての内容 人権擁護推進審議会の第62回会議議事録作成に関わる発言者氏名の特定できる事務局作成メモ又は磁気ディスク(フロッピーディスク)などの行政文書の開示請求(平成13年7月4日受付第189号)に関わる不開示決定(法務省総第428号)の取り消しと、同行政文書の開示決定を求める。 (2) 異議申立ての理由 人権擁護推進審議会の第62回会議議事録作成に関わる発言者氏名の特定できる事務局作成メモ又は磁気ディスク(フロッピーディスク)などの行政文書の開示を求めたところ、「開示請求に係わる行政文書が実際に存在しないため」との理由で不開示決定がなされている。この理由は不当である。 通例、政府の審議会では、事務局が記録係をつとめ詳細な議事録メモを作成・保管しており、多くの審議会では、これにもとづき発言者氏名入りの議事録を作成し、公開している。 また、先に当会が情報公開審査会に対して行った異議申立て(諮問番号:平成13年諮問第7号)に対する法務省提出の「理由説明書」の中で、人権擁護推進審議会においても事務局が会議の速記録を作成していることを認めており、発言者氏名の特定できる速記録などの事務局作成メモ、および速記録作成のもととなった磁気ディスク(フロッピーディスク)などの行政文書が存在することは明らかである。 なお、その後に出された法務省提出の「理由説明書(補充説明)」において、「速記録作成を外部の業者に委託」し、「審議会事務局においては、審議会の確認を得て議事録が確定した段階(参照:法務省権総第395号諮問書添付書類?理由説明書)で速記録を廃棄している。」として速記録の「不存在」を説明しているが、このような廃棄措置は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律第5条(行政文書の開示義務)に明らかに違反し、かつ「行政文書の管理方策に関するガイドライン」(平成12年2月25日、各省庁事務連絡会議申合せ)からも逸脱する行為である。 また、外部の業者に委託して作成された速記録がすでに廃棄されていたとしても、そのもととなった人権擁護推進審議会第第62回会議を記録した磁気ディスク(フロッピーディスク)などの行政文書は、法令の定めにもとづき専用の場所において適切に保管されているはずであり、「開示請求に係わる行政文書が実際に存在しない」との理由はあたらない。 行政機関の保有する情報の公開に関する法律第1条は、「この法律は、国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とする。」と定めている。発言者の氏名が特定できる審議会議事録の公開は、すべての国民に深くかかわる人権救済制度の政策立案過程を伝えるものであり、国民の知る権利および審議会委員の国民への説明責任を果たす上からも当然の処置である。 以上
<連絡先> 人権フォーラム21事務局(担当:前川 実)
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