法務省人権擁護推進審議会答申に対する声明
日本ジャーナリスト会議
(2001.6.6)


 法務省の人権擁護推進審議会は5月25日、人権救済制度のあり方について答申した。その中で、言論界の再三の反対にもかかわらず、「マスメディアによる人権侵害」を、「差別」「虐待」「公権力による人権侵害」と同列に取り上げている。
 日本ジャーナリスト会議(JCJ)は、昨年11月に発表された同審議会「中間取りまとめ」について、「言論・表現の自由を著しく侵害する恐れがある」として強い懸念を表明してきたが、今回、答申がその点を考慮しなかったことについて、強く抗議する。
 答申は「報道によるプライバシー侵害や過剰取材等については、自主規制の取組みにも配慮しつつ積極的救済を図る」としているが、誰が、何を、どういう基準で「プライバシー侵害」や「過剰取材」と判断するのかは全く明らかにされていない。具体的には法務当局による今後の法案づくりなどの中で進められることになると思われるが、このままでは民主主義社会の根幹をなす言論・表現の自由が損なわれる危険は大といわざるをえず、到底容認できない。
 さらに答申は、マスメディアの人権侵害に対しては、「任意的な調査で対処する」としているが、一方でメディアが応じない場合は「調停、仲裁、勧告、公表、訴訟援助等の手法を整備する」としている。これは、公権力が取材活動に事実上介入することを認めると同時に、報道の自由が危機に瀕することを意味するものであり、断じて認めることはできない。
 われわれは、今後の法制化の過程で、メディアを調査対象から除外することを含め、われわれの要求を実現するため、あらゆる機会を通じて最善の努力を尽くすものである。

2001年6月6日


 

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