同性愛者の需要に応えうる人権救済機関を
―福岡公聴会での意見発表(1月22日)―


増岡広宣

1. テーマ

(1) なぜ同性愛者の人権問題はこれまで大きく扱われてこなかったのか
・なぜ同性愛者への人権侵害が表面化するケースが少ないのか
・なぜ同性愛者への人権侵害は社会的な注目を集めないのか
(2) 同性愛者の人権侵害を解決できる人権救済機関とはどんなものか

2.なぜ同性愛者の人権問題はこれまで大きく扱われてこなかったのか

(1) 日本の同性愛者差別の特徴に起因する点
@ 日本の同性愛者差別:「軽蔑・朗笑」「まともに考えることでない」
→同性愛者の存在や、人間にとっての性的指向の重要性自体を否定する
→同性愛者自身に差別が「内面化」(internalization)
A 差別の内面化による反作用
○幼い頃から差別意識にさらされ続ける(家庭〜学校〜職場〜メディア)
○同性愛についての正確な知識・情報は提供されない
→自分の性的指向をポジティブにうけとめる機会がない
→同性愛をr隠さなければならないもの」とする固定観念
→差別や人権侵害に対する「同性愛者である自分が悪い」というあきらめ
○同性愛者自身が、自分を権利主体として認識できない

(2) 日本の人権救済機関の制度的欠陥に起因する点
@ 国・地方公共団体は同性愛者の人権問題を公的に認知せず
○相談機関や裁判外救済機関に、同性愛に関する正しい知識・情報が存在せず
→適切な対処能力がなく、同性愛者に対する差別・偏見はある
→たらいまわしやセカンド・バッシングにつながる
A 司法的救済にはr性的指向を明らかにする」ことが必要
○さらなる差別・偏見に直面する危険、裁判官にも差別・偏見あり
→勝訴の可能性少ない

(3) まとめ:同性愛者は自らの人権を自ら守ることが困難な状況になったのは上記二つの理由による。

3. 同性愛者の問題を解決できる人権救済機関のあり方

(1) 絶対に不可欠な3つの条件
@ 地理的・時間的に簡易に利用できること
A 「セカンド・バッシング」の不安がないこと
B 同性愛者に関する正確な情報・知識を備えたものであること

(2) そのために必要なこと
@ 相談・調査に携わる職員全部が同性愛について最低限の知識を持つ
A ピア・カウンセリング能力のある同性愛者の相談員を配置する
B 同性愛者でつくるNGO/NPOと密接な協力体制を作る

(3) 決定を行う委員会組織の人選について
@ 同性愛者の人権問題について十分な識見を有する同性愛者を委員に選出する
A 法務省から完全に独立した準司法機関とする
以上.


 

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