人権擁護推進審議会審議への要請書(2001年4月6日)


反差別国際運動日本委員会
理事長 武者小路公秀

 人権確立に向けた人権擁護推進審議会の活動に敬意を表します。
 さて、第58会期人種差別撤廃委員会が3月8日?9日にスイス・ジュネーブにおいて、人種差別撤廃条約に関する第1・2回日本政府報告書を審査し、去る3月20日、「肯定的な側面」「懸念事項及び勧告」を含む27項目におよぶ最終所見(CERD/C/58/Misc.17/Rev.3将来的にはCERD/C/58/CRP)を採択しました。
 私たち反差別国際運動日本委員会としては、この最終所見に人権擁護推進審議会の注意を喚起するとともに、国際世論を代表して日本政府に人権擁護施策の改善を求めているこの最終所見の指摘する施策改善の具体化に向けて、人権擁護推進審議会が以下の諸点を踏まえた議論を行われることを要請するものです。


1. 条約の対象となるものとして、その「懸念事項および勧告」の中で、部落民、アイヌ民族、沖縄住民、韓国・朝鮮人マイノリティ、および日本に居住する外国籍の人びとをあげている。また、条約にいう人種差別の中に、ジェンダー関連の人種差別も含まれるとしている。
 これらの条約の適用対象となる集団や、ジェンダーに関連する人種差別に関する個別テーマについては、それぞれの問題に取り組んでいる団体から指摘がなされるものと思われるが、反差別国際運動日本委員会としては、この最終所見を踏まえ、審議会において、関係諸団体からの指摘を踏まえ、上記の者に対する差別及ジェンダー関連の差別を撤廃するための取り組みに関する議論を行われたい。

2. 人種差別撤廃委員会は、「条約第4条および第5条の規定に従い、人種差別を禁止する特別法の制定が必要であると信」じており、条約第4条(a)及び(b)項に対する留保に関して、これらの条項が定める「人種的優越または憎悪に基づくあらゆる思想の流布の禁止は、意見および表現の自由についての権利と両立する」ものであると述べている。
 さらに、日本政府に対して、「その国内法秩序においてこの条約の諸規定を完全に実現することを検討すること」、「人種差別を犯罪とするよう確保すること」、及び「いかなる人種差別行為に対しても権限のある国内裁判所および他の国家機関を通じて効果的な保護と救済措置を利用する機会を確保すること」と勧告している。
 以上の勧告を踏まえ、これが代表する国際世論の批判にこたえ、かつその国内的な実現を図るため、国内法の整備及び国内人権機関の設置が必要である旨の答申をされたい。

3. この最終所見では、 個人および集団からの人種差別撤廃委員会への通報を認めた第14条との関連において、我が国としても、この通報を処理する委員会の権限を承認する旨の「宣言を行う可能性を検討するよう勧告」されている。
 このことを踏まえ、人種差別撤廃条約のより一層の国内的実現を図る観点からも、委員会の通報処理権限を認める宣言を行うことが適当である旨の答申をされたい。


以上


 

人権フォーラム21Top
人権フォーラム21 Copyright 2001 Human Rights Forum 21. All Rights Reserved.