2000年活動報告・日誌/役員一覧
私ども人権フォーラム21では、1997年11月の結成以来、人権が完全に尊重される社会を築くことをめざす市民のネットワークとしてさまざまな活動を進め、はや3年が経過いたしました。 以下に、1999年12月から2000年12月までの主な活動について報告します。 1 日本の人権政策の現状と今後の課題を明らかにするため、規制・救済部会を中心に調査・研究活動を進め、「人権政策提言―より良き日本の人権保障制度をめざして―」をとりまとめ、人権擁護推進審議会などへ積極的に政策提言してきました。 (1) 人権フォーラム21規制・救済部会は、1999年1月よりスタートし、ほぼ月1回のペースで研究・討議を積み重ねてきましたが、政府の人権擁護推進審議会が2000年に入り「救済」審議を本格化させたのを受け、内部に作業部会を設置し、「人権政策提言」づくりに精力的にとりくみました。(別紙「規制・救済部会の活動報告」を参照 まず規制・救済部会の作業部会は、8月6日に「提言骨子(作業部会案)」をとりまとめ、その後、各方面からの意見を聴取しつつ討議を継続し、8/24作業部会案、9/7作業部会案、10/15規制・救済部会案、としてニュースレターやインターネット上のホームページで公開しました。そして第3回企画運営委員会(9/22)と第20回規制・救済部会(10/7)の討議を経て、「10/21提言骨子案」が取りまとめられ、鳥取県で開催された部落解放研究第34回全国集会で『21世紀日本の人権政策』として刊行し、多くの人々に紹介しました。その後も規制・救済部会作業部会は精力的に改訂の作業を行い、最終的には11月10日に「人権政策提言」としてとりまとめ、人権擁護推進審議会にヘ提出するとともに、記者会見をおこない、司法制度改革審議会や各政党など関係各方面に提出しました。 (2) 一方、人権擁護推進審議会に対しては、3月1日に「人権擁護推進審議会で審議いただきたい論点と要望」を申し入れ、「論点整理(メモ)」の公表を強く迫りました。その後、審議会は7月29日に「論点整理(メモ)」を公表しましたが、引き続き人権フォーラム21では、各国の国内人権システム国際比較研究の成果を人権擁護推進審議会各委員に資料提供し、国連パリ原則にもとづく国内人権機関の整備の必要性を申し入れました。 (3) そして11月28日に人権擁護推進審議会が「人権救済に関する中間取りまとめ」を公表したのを受け、12月1日に部落解放同盟、JK(近県施策の確立を求める共同行動)、国際人権NGOネットワークらとともに、「答申案を考える懇談会」を開催し、パブリックコメントに積極的にとりくみました。 2 日弁連をはじめとした「国内人権機関」設置をめぐる論議に積極的に参加し、ネットワークを拡大しました。この間、日弁連(日本弁護士連合会)や大阪弁護士会をはじめ、さまざまな団体が進めている国内人権機関づくりの討議に積極的に参加し、ネットワークを拡大してきました。 (1) まず、10月5日の第43回日弁連人権擁護大会(岐阜)にむけ、7月15日、大阪で開催された大阪弁護士会主催シンポジウム「21世紀を人権の世紀に!独立した国内人権機関を作ろう」に山崎公士事務局長がパネリストとして参加。当日、公表された国内人権機関設置要綱案(大阪弁護士会案)をもとにした討議に参加。また当日のパネリストとして参加した勧告の人権NGOや研究者とも交流し、日本と韓国でそれぞれ同時期に進められている「人権委員会構想」について今後も意見交換することが確認された。 (2) 次に9月13日、東京で東京弁護士会三会主催のシンポジウム「国内人権救済機関設置に向けて」が開催され、人権フォーラム21の江橋 崇副代表がパネリストとして参加。国内人権機関設置要綱案の日弁連案の骨子が紹介され、人権委員会の独立性や強制調査権限、報道被害への取組み方向、人権行政の地方分権などの論点について、意見交換した。 (3) 10月5日に岐阜市で開催慰された第43回日弁連人権擁護大会第1分科会シンポジウムでは、山崎公士事務局長がパネリストとして参加し、日弁連要綱案をめぐる論議に参加しました。 (4) 10月18日に鳥取県で開催された部落解放研究第34回全国集会や、自治労主催の地方自治研究集会(10/24〜;山形)、平和フォーラム主催の護憲大会(11/1〜:福島)、部落解放共闘会議全国交流集会(11/21〜:愛媛)、など各地の集会で人権フォーラム21の「人権政策提言」の紹介をおこない、国内人権機関の設立にむけた有意義な意見交換を行いました。 3 世界各国の国内人権機関についての比較研究を継続し、人権の国際基準(グローバル・スタンダード)の紹介と日本の人権システム整備・確立に向けた研究に取組みました。 (1) 98年4月からスタートしたNMP(国内人権システム国際比較プロジェクト)は、2000年春に集約会議が行なわれ、助成先のトヨタ財団に完了報告を行うとともに、最終報告書『国内人権機関の国際比較』の編集に取組みました。この最終報告書は、2001年1月に刊行の予定です。 (2) 2000年4月からは新たな若手研究者を補充し、第2期NMP(国内人権システム国際比較プロジェクト)研究会として再スタートしました。第2期NMPは、「各国の差別撤廃システムの比較研究」をテーマにその後も海外調査と研究活動を継続しています。第2期NMPでは、新たな調査対象国として韓国、南アフリカ、オランダが加わり、またテーマ別研究(マイノリティ、外国人、難民、障害者、女性)も同じに研究していくことになりました。 (3) 1998年10月よりスタートした「インターネットと人権政策研究会」は、2000年に入り、研究成果を取りまとめ『インターネットと人権政策』(仮称)として刊行する準備を進めました。その後、組織犯罪対策措置法(いわゆる盗聴法)や不正アクセス防止法の施行などの危険な規制強化の動きが顕在化したため、国内外のサイバースペース(仮想現実空間)上のインターネット等電子メディアを使った人権政策づくりにむけ、研究会を再開しているところです。この間の研究会の成果については、人権フォーラム21ブックレットとして2001年1月に『インターネットと人権政策』として刊行の予定です。 (4) 男女共同参画社会基本法施行1周年を記念し、去る7月22日、反差別国際運動日本委員会(IMADR−JC)と人権フォーラム21でシンポジウムを共催しました。集会では、山崎公士事務局長が進行役を務め、第1部で「フィジー・ワークショップ報告(女性の権利促進と国内人権機関の役割)」を大西祥世(NMP研究員;法政大学大学院博士課程)が来ない、続く第2部の法施行1周年記念シンポジウムは、熊本理抄・IMADR−JC事務局長の進行のもと、人権フォーラム21事務局次長でもある津和慶子(日本婦人会議中央本部議長)、藤岡美恵子(IMADR国際事務局次長)らがシンポジストとして発言。男女共同参画社会基本法施行1周年の到達点と課題を共有しました。 4 機関紙NEWS LETTERの月刊化やインターネット上のホームページの充実、ブックレットの発行など、情宣・広報活動を強化しました。 (1) 人権フォーラム21機関紙「NEWS LETTER」の定期発行にとりくみ、ほぼ月刊での発行を実現しました。また電子メール版(PDF版)も発行し、電子メールユーザーに好評を得た。 (2) インターネット上の人権フォーラム21のホームページを9/5にリニューアルし、情報発信に努めました。特に11月10日の「人権政策提言」の公表や、11月29日からの人権擁護推進審議会『中間取りまとめ』の公表をいち早く実現したことをはじめ、人権NGO「リンク集」などの新設の結果、人権フォーラム21のホームページへのアクセス数が増大しています (3) 人権フォーラム21ブックレットの2号として『21世紀日本の人権政策』を10月中旬に刊行し、各方面で好評を得た。特に人権擁護推進審議会が会議の模様を積極的に公開せず、透明度の低い状態が続いているため、人権フォーラム21による情報開示は、各方面から指示されている。また12月15日には、人権フォーラム21ブックレットの3号として『21世紀日本の人権政策―Part2』(A5判242ページ、1200円)を刊行し、人権擁護推進審議会「中間取りまとめ」をはじめ日弁連(人権擁護大会実行委員会試案)の人権委員会要綱案や各方面の人権委員改定案の比較対照表を掲載するなど、充実した内容となった。 ・ なおNMP(国内人権システム国際比較プロジェクト)の最終報告書は、『国内人権機関の国際比較』(3500円)として現代人文社から刊行の予定であるが、現在、最終段階に入っており、2001年1月中には発行される見とおしです。 5 会員拡大および夏期カンパにとりくみ、人権フォーラム21への参加と支持を拡大してきました。 ・ 人権フォーラム21の2000年財政は、当初から危機的状況が続いてきたため、会員の拡大とカンパのお願いを会員各位によびかけました。2度にわたる夏期カンパのお願いの結果、15名の会員拡大と20万1,600円のカンパをいただきました(8月末)。 ・ しかしながら活動の増大化に比べて財政基盤はまだまだ弱く、財政赤字が継続しており、引き続き財政危機打開が焦眉の急を要する課題となっています。 <活動日誌>
2000年 人権フォーラム21役員体制 (1999年12月より2000年12月まで。 *は新任)
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