14  津和慶子・日本婦人会議議長

 

 

人権擁護推進審議会答申案への意見書



今国会で成立した男女共同参画社会基本法は、人権の尊重と男女平等の

実現を目的に、国・地方自治体および国民の責務を明記し、政府にたいして

必要な法制上または財政上の措置をとることを定めている。政府は、新設す

る内閣府に男女共同参画会議を設置して、官房長官の下に、強力に女性施

策の推進をはかる方針である。女性の人権のみならず、人権の確立は世界

の押し戻し得ない潮流であり、世界人権規約、人種差別撤廃条約、国連人権

教育10年行動計画、女性差別撤廃条約をはじめとする国際条約をふまえ、人

権施策を総合的に推進するための法制度の整備を打ちだすべきである。

人権施策が必要であるのは、現実にさまざまな差別,人権侵害がおこなわれて

いるからであり、これらは当事者によって告発され、明らかにされることではじめ

て表面化するものである。差別・人権侵害の痛みは、当事者からの訴えに真摯

に向き合うときにこそ共有される。人権の主張に「行き過ぎ」はない。問題は、被

害者側にではなく、無知・無意識によるものも含めて加害者の側にある。人権侵

害の克服は、事実を見つめることからはじめるぺきである。

啓発・教育は、救済と表衷―体でなければならない。男女共同参画社会基本法の

苦情処理機関について、政府は、人権擁護の既存の制度の活用をはかるとしてい

るが、人権侵害への対応の総合性・有効性・公平牲を確保するためには、同法成

立にあたって付帯決議にもりこまれたように、オンプズパーソン的機能を含めた政

府から独立した第三者機関として、実効ある制度を新たに創設すべきである。


1999・7・6
日本婦人会議 議長 津和慶子

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