ご意見の本文
13 武者小路公秀・反差別国際運動日本委員会<IMADR-JC> 理事長
反差別国際運動日本委員会
THE INTERNATIONAL MOVEMENT AGAINST ALL FORMS OF DISCRIMINATION AND RACISM JAPAN COMMITTEE
人権擁護推進審議会答申案への意見
【意見の要旨】
アジア・太平洋地域の差別撤廃と人権確立を視野に入れるとともに、警察官や検察官等に対する人権研修を制度的に推進すること、人権NGOの活動を積極的に支援すること等。
【意見の内容】
「答申案」が、差別が撤廃され人権が確立された21世紀を創造することに役立つものになるよう、以下の諸点を盛り込むことを強く要請します。
@視野を日本国内はもとより、世界、とくにアジア・太平洋地域まで広げたものとすること。とくに、この地域における先住民族、少数民族、被差別カースト出身者、移住労働者、子ども、女性などに対する差別・人権間題を人権教育・啓発の重点テーマに含むこと。この重点テーマは海外業務に携わる諸官庁ならびに諸企業の関係者の研修で取り上げること。
A人権教育・啓発の内容には、世界人権宣言はもとより、国際人権規約、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約、人種差別撤廃条約など、日本が締結した条約を含むこと。条約の内容を普及するだけでなく、具体的な事例を踏まえた条約の活用方法まで含むこと。
B警察官、検察官、刑務官、入国管理職員等に対する人権研修を制度的に義務づけること。研修の重要テーマとして、日本国民の人権間題を取り上げるほか、外国人の人権、とくに上記の官職にある者が直接,間接対象とする永住,長期滞在外国人、「不法」入国者、人身売買被害者の人権問題を含めること。このためのテキストを作成し、研修カリキュラムの中に含むこと。テキストに国際的な人権基準や具体的な人権侵害の事例を含むこと。実施状況を公開すること。
C人権教育・啓発の推進は、民間団体(NGO)の自発的な取り組みが活発に展開されなければ効果をあげることはできない。このためNGOの取り組みを税・財政面において積極的に支援する必要があることを指摘すること。
D人権教育・啓発を推進するために国、地方自治体において基本方針と基本計画を策定し系統的に促進すること。さらに、全省庁、全部局をあげた取り組みとするための体制を整備すること。さらに、充分な予算を確保することを盛り込むこと。なお、基本方針や基本計画の策定にあたっては、被差別の当事者や専門家の意見を十分反映するとともに、計画の実施状況を公開し、外部評価を定期的に加えること等を盛り込むこと。
E上記の諸点を含む人権教育・啓発を促進するための法律を制定する必要性があることを盛り込むこと。
1999年7月6日
反差別国際運動日本委員会
理事長 武者小路公秀