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JCA-NETは、12月17日に開催した総会において下記の決議を採択しました。
コンピュータ監視法の廃止を
JCA-NET会員総会決議
2011年12月17日
2011年 6月 17日に「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」(以下、「コンピュータ監視法案」と呼ぶ)が国会で可決され、7月から施行されている。本法は、コンピュータを利用するすべての利用者に対して、警察等捜査機関に著しく大きな監視と捜査の権限を与えるものである。
その結果として、コンピュータ監視法は、私たちの通信の秘密、思想信条の自由、表現の自由、プライバシーの権利など憲法が保障している諸権利を著しく侵害するものであり、法の廃止を求める。
理由
(1)コンピュータ・ウィルス作成の犯罪化は、「作成」の現場への捜査当局による監視を認めることとなる。捜査機関は「コンピュータ・ウィルスの作成の疑い」を口実として、ユーザのコンピュータを監視できる。このことは、捜査機関に予防的な強制捜査の権限を与え、ユーザの通信の秘密を侵害する危険性をもたらすものである。
(2)コンピュータ・ウィルスの作成罪にかぎらず、コンピュータ監視法案では、あらゆる犯罪捜査において、捜査機関によるコンピュータへの従来以上の自由な介入を認めている。ユーザが利用している端末のコンピュータだけでなく、このコンピュータを踏み台にして、一通の捜索押収令状で芋づる式に、ネットワーク先のサーバに保管されているユーザのデータに対しても差し押さえ等が可能になる。このよう捜査権限を捜査機関に与えることは、裁判所による捜査機関に対するチェック機能を大幅に後退させ、令状主義の更なる形骸化を招き、捜査機関の独走を許すことを意味する。
(3)本法案によって、ユーザのデータや個人情報を管理しているプロバイダーやネットワーク管理者は、通信記録を最大60日保全することを義務づけられたり、ユーザのデータを複写して捜査機関に提供する作業をさせられるなど、捜査機関の「手先」となることが強制されることになる。。本来、プロバイダーなどネットワーク管理者は、ユーザの通信の秘密を守り、ユーザによる自由なコミュニケーション環境をサポートする責任を負うが、コンピュータ監視法では、ユーザのプライバシーよりも捜査機関への捜査協力を優先させることが強制される。情報流通及びコミュニケーションの担い手が捜査機関の手先となるような社会には思想信条、言論・表現の自由はないに等しい。
JCA-NETは、民衆によるコミュニケーションの権利の確立と権力による監視・干渉・検閲と闘ってきた進歩的コミュニケーション協会の日本におけるメンバー組織として、憲法が保障する通信の秘密、思想信条の自由、言論・表現の自由など、民衆の基本的人権を擁護する立場を改めて表明し、これら民衆の権利を著しく侵害するコンピュータ監視法を直ちに廃止することすることを強く求める。
付記:JCA-NETは 2011年 5月 26日に法案段階で、理事会声明として、コンピュータ監視法案への反対の意志を表明した。本決議は、法の成立を踏まえて、内容を若干修正したうえで、総会決議とするものである。