8月8日(月)のイラクへの第7次派兵に反対する防衛庁抗議行動で提出した申入れ書です。
同時に提出した名古屋・関西・長崎から寄せられた申入書も掲載しました。
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内閣総理大臣 小泉純一郎 殿
防衛庁長官 大野功統 殿
申 入 書
大野功統防衛庁長官は、7月19日、九州北部を管轄する西部方面隊第4師団を中心と
する「第7次イラク復興支援群」に派遣を命令、その第1陣が30日出発した。これによ
り、首都政経中枢の防衛を任務とする東部方面隊を除く各方面隊からの派兵が一巡し、
第6次派兵までの陸上自衛隊の派兵総数は、約3300名(うち女性約50名)に達してい
る。
開戦以来のイラク民衆の死者は10万人を超えたともいわれ、今なお、連日のように
伝えられる激しい抵抗闘争で、米兵の死者も1800名を超えた。これまでその主戦場は
イラク北・西部が中心とされていたが、ここにきて、その様相は明らかに変わりつつ
ある。平穏といわれてきたサマーワでも、4月に入るや陸上自衛隊員や陸自車輌への
投石があったほか、5月には「占領反対」「日本に死を」といったことが路上に書か
れており、とうとう6月23日には陸自車列への路上爆弾攻撃が行われるに至ったので
ある。それは、米英占領軍の支配から傀儡暫定政権への「主権移譲1周年」(6月28日)
を迎える約1週間前の出来事である。
イラクの「復興」は進展しているのだろうか。米国議会付属機関の政府監査院(旧
会計検査院)が発表した最新の報告書(05年7月31日)によると、米国は「イラク再
建」のために、過去2年間に90億ドル(約1兆80億円)以上を投入してきたものの、今
年5月の電力生産は、イラク攻撃を開始した03年3月よりも減少しているとし、日
産260万バレルあった石油生産も210万バレルに減り、石油輸出は日量210万バレル
が140〜160万バレルへと低下するなど、基幹部門の「復興」が極めて限定的である、
と指摘している。
一向に進まない「再建計画」は、イラク民衆の生活を直撃している。6月28日、サ
マーワでは、陸自が「復興支援」を始めて以来、最大規模の約500人による「失業者
デモ」に警官隊が発砲、1人死亡、10人以上が負傷する事態が発生した。その翌日未
明には、ムサンナ州議会庁舎付近に砲弾が発射されたのに続き、7月4日深夜には、自
衛隊宿営地内外に砲弾が撃ち込まれた。宿営地に対する砲撃はこれで10回目となる。
スンニ派武装組織から「日本部隊を標的としたいくつかの作戦を実行した」との声
明が出された今回の攻撃は、自衛隊駐留による“分け前”にあずかれなかった人々に
よるものとされる、これまでの砲撃とは明らかに異なるものである。これは電力の不
足、給水の不足、職がないといった生活上の不満が組織されたことを意味している。
シーア派のサドル師派聖職者は、同月1日の金曜礼拝で約400人の支持者を前にして、
「日本は失業者もデモもないサマーワを望んでいるが、実態を隠すことはできない」
と語っている。こうした折り、復興業務支援隊約90人が7日、陸路を断念、イギリス
軍のヘリコプターでサマーワ入りしている。繰り返し続くデモのさなか、7月下旬に
サマーワの「日本友好協会」が解散した。数度にわたる「自衛隊歓迎デモ」も物品の
供応による「やらせデモ」であったことも判明している。ここでも占領政策の破綻が
露呈しつつあるのだ。
多国籍軍の一員として「復興支援」を行っている自衛隊は、その主要な活動といわ
れた給水業務を2月5日に終了、第5次隊からは警備隊が支援群の4割を占める陣容になっ
たとされ、道路補修などの公共施設の補修にあたっていたが、このところの「治安情
勢」の悪化で事実上の活動停止状態が続いている。
イラク同様、「民主政権」を誕生させたものの、「治安」がおぼつかないアフガニ
スタンにイギリスは増派を計画、イラクのムサンナ州を含む南部4州から段階的に撤
兵するとして、多国籍軍の南部の指揮権をオーストラリアに移行したいと同国と交渉
中である。段階的撤兵をすでに表明しているイタリアは、その第1陣として9月に300
人を撤兵、ウクライナも残る900名を年内に撤兵するなど、多国籍軍38カ国のうち、
すでに16カ国が撤兵完了・撤兵中となっており、4カ国が計画中である。
イラク特措法による今次派遣計画の期限は12月14日となっているが、8月の憲法草
案策定から新憲法制定による12月末までの「正式政権」発足に至る政治プロセスが、
抵抗闘争をさらに激化させるのは必至である。サマーワの今日の状況は、その予兆と
いえる。われわれは再び「自衛隊は殺すな!殺されるな!」と呼びかけたい。自衛隊
は、ただちにイラクから撤兵せよ。
よってわれわれは以下の事項を申し入れる。
1.イラクへの第7次派兵を中止し、自衛隊をイラクから撤兵させよ。
1.インド洋等での「テロ特措法」にもとづく洋上補給活動を中止せよ。
1.本年12月14日で期限となる「イラク特措法」にもとづく「基本計画」を更新する
な。
以 上
2005年8月8日
新しい反安保行動をつくる実行委員会・第9期
(イラクからの自衛隊撤退と沖縄の米軍基地撤去を求める実行委員会)
東京都千代田区三崎町3-1-18 近江ビル4F
TEL:03-5275-5989/FAX:03-3234-4118
**―名古屋から―***********************
防衛庁長官 大野功統 殿
イラクからの撤退を求める申し入れ書
今日、7月30日・8月6日、陸上自衛隊第4師団(福岡春日・司令部)の部隊が第7次
派兵としてイラクに出発しました。自衛隊が派兵されているサマワでの、自衛隊撤退
の動きはここ一ヶ月急激に増加しています。6月末の自衛隊の車列への攻撃をはじめ、
7月はじめには宿営地への攻撃、最近ではサマワの日本友好協会長宅への迫撃砲攻撃
(7月25日)、撤退を求めるデモと日の丸焼却(7月27日)、日本が支援をしている女
性職業訓練所での爆発(7月29日)など相次いでいます。28日、記者会見をした森勉
陸上幕僚長は現地の治安に関し、「従来とは少し変化してきている。注意深く分析し
て、油断することなく慎重に活動したい」と状況が悪化していることを認める発言を
しています。
小泉首相は、「サマワは非戦闘地域だ」「自衛隊は人道復興支援をしている」とい
い、派兵を強行しています。イラクは主権移譲後もますます混乱の度合いを増してい
ます。そのことは、国際法を無視し、フセイン体制を倒すための米英のイラク攻撃と
占領が破綻していることを示しています。
個々の自衛隊員がどんなに善意であっても多国籍軍に参加する「自衛隊」という組
織でいく限り、イラクの人たちから見れば、不当な攻撃と占領に加担しているとしか
見えません。
自衛隊への撤退要求は当然です。私たちは「殺すな!殺されるな!」と訴えてきま
した。このままではその危惧が現実になるのではないかと思っています。日本政府は、
12月の再延長に向け、すでにアメリカと協議を進めているとの報道があります。アメ
リカが行っている大きな「国家テロ」は、ロンドンで、エジプトで起こったような暴
力の連鎖を起こすだけです。日本がそれの標的にならないなどと誰も保証できません。
そのような悪の連鎖を断ち切るためにも、自衛隊は一刻も早く撤退すべきです。
2005年8月8日
有事法制反対ピースアクション
共同代表:水田 洋 寺尾 光身
**―関西から―************************
防衛庁長官 大野功統 殿
イラク自衛隊派遣の中止と即時撤退を求める申し入れ
7月30日、陸自西部方面隊の第4師団を中心とするイラク第7次派遣が開始されまし
たが、以後予定される第8次派遣の中止と、12月14日期限の派遣延長をしないこと、
サマーワの陸自部隊およびクゥエートの空自部隊の即時撤退を要請します。
今年2月始め陸自第10師団中心の第5次、5月始めには第3師団中心の第6次と相次い
で陸自中部方面隊からイラクへの派遣が続きました。
こうした中で6月23日にはサマーワ駐屯自衛隊(第6次派遣部隊)の走行車列に対し
「抵抗勢力」の攻撃があり一時外出をストップするような事件がありました。
それまでにも9回にわたる駐屯地周辺への砲撃があり、駐留を非難する「落書き事
件」、7月24日には、サマーワの「日本イラク友好協会」会長経営の宝飾店が爆破さ
れる事件も起きています。
イラク侵攻最大の理由であった「大量破壊兵器」は誤った情報に基づくものであっ
たことはアメリカ自身も認めるところですが、小泉首相は「いつかは見つかる」と言
い訂正はしていません。自衛隊は「非戦闘地域」で活動することになっていますが、
前記のように派遣開始以来の様々な事件をみれば、もはや安全な地域の理屈付けに無
理があります。「不測の事態」の可能性は益々高まっています。
これまで何処の駐屯地でも「黄色い旗」を掲げるなど、自衛隊員は無事で帰ること
を祈っています。部下隊員の安全に責任をもつなら、12月14日の期限を待たず、速や
かに前倒しに全面撤退すべきです。
私たちは伊丹の中部方面隊司令部のある地元でもあり、ほかの団体と共にイラク派
遣を中止するよう度々、集会を開いたり駐屯地へ申し入れに行きましたが、今改めて
今後の派兵中止と即時撤退を要請します。
2005年8月8日
関西共同行動
しないさせない戦争協力・関西ネットワーク
大阪市北区西天満4-8-2北ビル本館 中北法律事務所内
**―長崎から―************************
[申し入れ書] 私たちは第七次イラク復興支援群の派兵に反対です。
防衛庁長官 大野功統 殿
2005年8月8日
ワールド ピース ナウ・ナガサキ
長崎市筑後町2‐1長崎県教育文化会館内
報道によれば、陸自西部方面隊第4師団を中心に第七次イラク復興支援群(約500
人)が編成され、7月30日に第1陣が現地に出発。派遣期間は3ヶ月、サマワを中心
とするムサンナ県全域で公共施設の復旧、修理や医療機関への技術指導などの人道復
興支援に当たる。長崎県内からは大村駐屯地から約160人、相浦駐屯地(佐世保市)
から約40人、竹松駐屯地(大村市)と対馬警備隊(対馬市)から数人の計約200人の
派遣を予定ということであります。
2003年7月に成立したイラク特措法に基づき、2004年2月から自衛隊のイラク「派遣」
が行われていますが、イラク現地の政治状況も市民生活も一向に改善されていないよ
うに思われます。サマワでは、先月23日には陸自車列脇の爆発事件が起こり、7月5
日には宿営地に着弾、着弾が確認されたのは4回目になります。
イラク特措法では、自衛隊などが活動する地域は「現に戦闘行為が行われておらず、
かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認めら
れる地域」とされています。ところが小泉首相でさえ「どこが非戦闘地域かわかるは
ずがない」と国会答弁しましたが、いまのイラクに「危険のない」「非戦闘地域」が
存在するとは自衛隊の皆さんも思わないでしょう。車列脇の爆発事件や宿営地への着
弾が続くような状況では「人道復興支援」も何も出来るはずがありません。逆に自衛
隊の避難や撤退の条件が整ってきていると見なければなりません。
米国主導のイラク占領統治の失敗は、もはや誰の目にも明らかです。イラク民衆と
米軍・占領軍との対立は決定的なものとなり、「イラクのベトナム化」と言う軍事専
門家もいるほどです。日本政府は、自衛隊のイラク派遣はもっぱらイラクの「人道復
興支援」を行うものであると言ってきましたが、その後の日本政府の対応を見ると,
「人道復興支援」の本当の動機は、米国の期待に応え米軍の占領政策を徹底して支え
ることにあることが明瞭になってきました。そのことによって、日本の自衛隊が反米・
反占領軍勢力の標的とされ、ボランティアやジャーナリストら民間人までが標的とさ
れ、犠牲者を出すという最悪の事態にまで発展したと言わなければなりません。
もうひとつ大きな心配があります。それはサマワ地域もDU(劣化ウラン弾)に汚染
されているということです。ジャーナリストの森住卓さんは自分のHPに次のように書
いています。「自衛隊の派遣予定地であるサマワで、劣化ウラン弾が使用された証拠
を発見しました。それは、サマワの中心部から1キロほどユーフラテス川を下った川
沿いの道に設置されていたキャノン砲でした。弾があたった所は通常の10倍〜20倍の
放射線を出していました。町全体の汚染状況はわかりませんが、今回の戦争で米軍が
この町にも劣化ウラン弾を使ったことが明らかになりました。自衛隊がもしここに長
期滞在する事になれば、被曝の危険は避けられないでしょう。」
被爆地長崎は自らの使命と考えて、世界に向かって「ノーモア・ヒバクシャ」を訴
えてきました。いま長崎の自衛隊の皆さんがサマワで被曝するようなことがあると悔
やんでも悔やみきれないことになります。
私たちは、直ちに自衛隊がイラクから撤退し、さらにこれ以上の自衛隊派遣を中止
することを訴えます。決して日本の自衛隊員が自分の生命と健康、家族との幸せを犠
牲にしなければならないほどの事態ではありません。米英主導のイラク戦争は大義な
き侵略戦争でした。これに協力しなければならないどんな義務もありません。また
「どこが非戦闘地域かわかるはずがない」と国会答弁するような最高司令官の命令な
ど聞くに値しないと言わなければなりません。
米兵の死者は1700人を超え、重傷者はその数倍、またイラク民衆の死者は10万人を
超え、DUによる汚染は深刻な状況をもたらしているといわれます。また多くの国が
撤兵を考え始めているとも報道されています。
こんな状況になっています。だから、第七次イラク派兵に責任を持つ防衛庁長官が、
自衛隊の撤退とさらなる派兵の中止を決断されんことをここに強く要請いたします。
**―ここまで、東京、名古屋、関西、長崎からの申入れ書―***********
イラクからの自衛隊撤退と沖縄の米軍基地撤去を求める実行委員会(反安保実IX)
東京都千代田区三崎町3-1-18 市民のひろば気付
TEL:03-5275-5989/FAX:03-3234-4118
メール:hananpojitsu@jca.apc.org
URL:http://www.jca.apc.org/hananpojitsu/
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