共謀罪新設法案に反対する声明
共謀罪なるものが新設されようとしている。
共謀罪新設は、「国際的組織犯罪防止条約」の締結に伴うものだという。「国際的
組織犯罪」とは、「テロ組織」を指すという。だが、いわゆる「テロ組織」とは何を
指すのか。イラクにおけるアメリカ軍の「対テロ組織」掃討戦を見れば、アメリカの
意向に沿わない勢力である。特定の勢力に属さなくとも、そうした組織が存在してい
るとされている地域から離れることがなければ、住民も掃討戦の対象にされているこ
とからすれば、積極的に従わない者はすべて「テロ組織」の仲間というわけだ。こう
した力による抑圧が、さらに暴力の連鎖を生じさせている。暴力で平和は作り出せな
いのだ。
各国が国内で「対テロ組織」の治安弾圧体制を強化することは、国内もこの「対テ
ロ戦争」の戦場と位置づけるもの。こうしたことが、私たちの「平和のうちに生きる
権利」を守ることになるのだろうか。アメリカの愛国者法がアラブ系住民を抑圧して
いることが、その本質を物語っている。つまり、私たちの自由と権利を脅かすことに
つながるだけである。しかも、「テロ」の「未然防止」という名目で、弾圧が拡大さ
れている。反戦運動も、その対象にされかねない。
今、日本で成立されようとしている共謀罪は、越境性がない組織をも対象にしてい
る。組織といっても二名以上を指す。「国際的組織犯罪組織」対策ということ自体が
名目でしかないのだ。
しかも、実行行為なしでも、何かをしようかと相談したら、その相談自体を罪とす
るものである。未遂との関係もない。相談すること自体が罪にされる。「重大犯罪」
の「共謀」とされているが、懲役四年以上の「重大犯罪」とされるものは、刑法・特
別刑法で560以上もあるという。「上司をなぐってやろうぜ」「やろうやろう」など
と飲み屋でサラリーマンが上司への不満をぶつけ合っただけでも、もう「共謀」だ。
しかも「黙示の共謀」という規定すらある。先のような会話をしている同僚たちの傍
で黙って聞いていた者も、「共謀」というわけだ。
これが成立することに伴い、盗聴の拡大、おとり捜査やスパイの潜入といった捜査
手段の合法化、罪を認めることで減刑を得る司法取引の導入といったものにも道が開
かれるといわれている。相談自体が罪とされ、誰が聞いているか分からない、誰がチ
クルかも分からない、となれば、物言えぬ社会になりかねない。こうした共謀罪が、
反戦運動をはじめ、様々な運動体潰しの手段として使われるおそれも十分に考えられ
る。
現に、昨年の立川自衛隊監視テント村ビラ入れ弾圧に見られるように、反戦運動へ
の弾圧が強められている。
こうした反戦運動潰しの拡大につながり、「対テロ戦争」の一環としての有事立法
であり、「対テロ」治安弾圧立法でもある共謀罪の新設に、断固、反対することを表
明する。
2005年6月9日
新しい反安保行動をつくる実行委員会
(第9期・イラクからの自衛隊撤退と沖縄の米軍基地撤去を求める実行委員会)
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