反安保実 NEWS 第10号

メディア紹介
「Marines Go Home ★辺野古・梅香里・矢臼別★」
たたかい続ける勇気を与える映画夫

        木村雅夫
  


 運動の連鎖を考えさせてくれる映画だ。砂川闘争で警官に殴られても蹴られても警棒で打たれて額から血を流しても、ずっと座込んだまま基地反対を訴える妙法寺のお坊さんの姿を見て、フェンスの反対側の米兵から平和運動家に転じたデニス・バンクス氏の話を思い出した。北海道矢臼別にできた自衛隊演習場の真中で、立ち退きを拒否して四〇年間「自衛隊は憲法違反」と訴え、憲法前文と九条条文を屋根に大書してきた川瀬氾二さんの闘争。私は初めて知って新たな勇気を与えられたが、軍国教育を受けて育った川瀬さん自身は茨城県の百里基地で土地買収を拒否して滑走路を「くの字」に曲げさせている農民の姿が目を開かせたそうだ。梅香里住民に運動の示唆を与えたのも、日本の横田基地爆音住民訴訟だという。辺野古の闘いも、「命を守る会」のオジー、オバーのがんばりが新基地建設反対闘争を組織させ、そこに全国から集う若人たちが非暴力闘争を学んでいる。少数でもすぐには何ら良い結果をもたらさなくても、間違った施策にしっかりとNOを訴え続けることの大切さを教えられた。
 映画は、北海道東端の矢臼別演習場と大韓民国の梅香里と日本の南端辺野古、それぞれの基地阻止闘争を丹念に描いている。
 北海道の原野に鹿の群れが走る美しい自然、ここに入植し農業を営む川瀬さんと浦さんが自衛隊の演習場のど真ん中に住み続ける。ここでは自衛隊の実弾演習が続けられ、米海兵隊も毎年実弾演習にやってきている。「自衛隊は憲法違反」を訴え、平和盆踊り、平和もちつき・忘年会、「米海兵隊移転訓練反対集会」などで周辺や全国から訪れる人たちと交流する。また、梅香里からチョン・マンギョ夫妻が訪れてキムチを披露する。倉庫の屋根に大書された憲法の前文と九条に圧倒される。たくさんの平和鏡餅がおいしそう。
 昔は人が住みやすいの意でコオンニ(古温里)と呼ばれていた梅香里。一九五一年の朝鮮戦争時からずっと米空軍射爆場として使用され、激しい騒音で最も人が住みにくい地に変えられていた。海岸の干潟で取った牡蠣をすばやく器用にむくチェ・ソンジャさん、頭上を飛ぶ戦闘機。真っ暗な夜に行なわれる米軍ヘリの射撃訓練では、ヘリからの射撃が白色光の光線として島に落ち続け、さながらインベーダーゲームを見るよう。三つあった島が射爆演習で消滅してノン島一つになったということが良く理解できる。それでも、一七年に及ぶ闘いの末、爆音被害訴訟で住民勝訴を重ね、二〇〇五年八月一二日に梅香里米空軍(クーニー)射爆場は閉鎖された。
 沖縄辺野古の闘いは「辺野古の闘いの記録」ビデオほか種々の媒体でよく知っていたが、映画はとても美しい映像に仕上げられている。作業船団とカヌーのにらみあい、施工作業員と阻止する人との口論とつかみあいなど、ヤグラでの生々しく激しい闘いは想像以上に厳しいものだった。二〇〇五年九月に防衛施設局がボーリング調査用ヤグラを撤去して阻止行動は勝利した。しかし、喜ぶ間もなく、日米両政府は一〇月に米軍再編計画を発表、再び辺野古沿岸に米軍基地を作るという。映画は、「国が断念しない限り、辺野古の闘いは続く」のタイトルで終る。
 三つの地域での厳しい闘争の記録であるが、出てくる人たちの表情は明るい。正しいと考えることを実践している強さだろうか。運動しつづける人に、少なくとも一度は観てほしい映画である。
 なお、映写会で販売されていたプログラムは、澤地久枝さんほかのメッセージとともに、各闘争の記録、米軍再編と自衛隊基地を描いた地図、それぞれの闘争をひとつにまとめた年表、おまけに採録シナリオまでが収録されていて、A4判三六ページで一〇〇〇円。地理的時間的に映画鑑賞が難しい方にはこのプログラムの購入をお薦めする。
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監督:藤本幸久/カラー・DV/二時間一一分
企画:北海道アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会(北海道AALA)/製作:(有)森の映画社
連絡先:TEL:011]747]0977/FAX:011]717]0997
http//www.hayaokidori.squares.net/marines_go_home/index.html

新しい反安保行動をつくる実行委員会(反安保実X)
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