反安保実 NEWS 第10号

巻頭言●小泉首相の八・一五靖国参拝糾弾 改憲・戦争国家体制づくりを
完成させる安倍新政権に立ち向かう秋の闘いへ!
    ◆国富建治(事務局)        

  


 八月十五日午前七時四十一分、小泉首相は退任を目前にしてついに「八・一五」の敗戦記念日当日に靖国神社に参拝した。二〇〇一年の首相就任以来、毎年「靖国参拝」を繰り返してきた小泉ではあったが、二〇〇五年までは彼の「総裁選公約」であった「八・一五」参拝を避けざるをえなかった。中韓関係が最悪の事態に陥り、自民党内部や日本経団連などからも靖国参拝への異論や「A級戦犯分祀」論が大きく広がり、さらに天皇裕仁が「A級戦犯合祀」に「不快感」を表明し、自ら靖国から足を遠のけた経緯にふれた「富田メモ」が公表される事態に直面する中で、しかし小泉はあえて「八・一五」の靖国参拝に踏み切ったのである。
 小泉が靖国参拝にあたってどこまで政治的計算を行っていたかは定かではない。しかし今回の「八・一五」参拝が、ポスト小泉の政治状況にもたらす影響は小さくはない。政治の上層では対中・対韓関係への「配慮」を理由にした「A級戦犯分祀」論などが繰り返し問題にされていくだろう。しかしそれは北朝鮮のミサイル発射や小泉の「八・一五参拝」という既成事実にも勢いづけられた「嫌中・嫌韓」の排外主義的国家主義の大衆的機運と衝突せざるをえない。明らかに右派は勢いづいている。それは小泉政治の五年間がもたらした政治・社会状況の構造的シフトを土台にしたものである。
 小泉の五年間に及ぶ施政は、就任した年の「9・11」を決定的契機にしたブッシュの「対テロ」先制攻撃戦争にピッタリと寄り添い、米国のグローバルな軍事戦略に組み込まれ、自衛隊を米軍の指揮の下で全世界の戦場に実戦部隊として動員しようとする歩みでもあった。この枠組みの中で、九条改悪を焦点にした改憲の政治日程が進められ、「武力攻撃事態対処法」や「国民保護法制」などの有事法制が整備された。まさに「戦争国家」体制づくりが急速に進行したのである。それと表裏一体の関係をなすものこそ「弱肉強食・優勝劣敗」の新自由主義的「構造改革」路線による、二極分化型階級社会=「格差社会」化の進展である。「底辺への競争」にさらされる労働者・民衆の生活の不安定化と貧困化こそ、排外主義的国家主義を培養している。
 九月二十日に行われる「ポスト小泉」の自民党総裁選は、「小泉政治の継承」をうたい、小泉以上に極右国家主義の政治思想でこり固まった安倍晋三の「独走」となっている。九月二二日から十二月までを会期とする秋の臨時国会では、おそらく安倍政権の下で通常国会から継続審議となっている教育基本法改悪案、改憲国民投票法案、共謀罪法案、防衛庁を防衛省に格上げする自衛隊法改悪案などの成立が目指されるだろう。さらに一連の「米軍再編」関連法案、自衛隊海外派兵恒常化法案の上程も見込まれている。小泉の最後の「置き土産」である「八・一五靖国参拝」を引き継ぎながら、小泉が残した一連の改憲・「戦争国家」づくり法案を成立させようとする安倍政権との最初の攻防として、この秋の闘いを作りだそう。
 おりからブッシュの「対テロ」グローバル戦争は、アフガニスタン、イラクでも破綻し、出口のない泥沼状況に陥っている。アフガニスタンでは米軍を中心にした多国籍軍の侵略が始まってから五年たった今も、米国が支援するカルザイ政権は首都カブール周辺を占領軍に守られて維持しているに過ぎない(既に自民党は、一一月に期限切れとなるテロ特措法を一年延長する方針も固めた)。イラクでは「武装勢力掃討」の名で、米軍による市民への無差別虐殺が次々と明るみに出ている。そしてイスラエルへのガザへの侵略、レバノン侵攻は、あらためて「戦争国家」としてのイスラエルに対する中東や全世界の人々の怒りを解き放っている。そして米国はイスラエルの侵略を公然と支えている。
 あらためてイラクへの航空自衛隊の派兵継続と支援任務拡大に反対する闘いや、アフガニスタン多国籍軍への海上自衛隊による支援反対の闘いをはじめ、中東での戦火の拡大、占領の継続に対決する反戦運動を!
 九月二九日の臨時国会開会日に行われる「イラク・レバノン戦争と国連・自衛隊を問う9・29集会」へ。

新しい反安保行動をつくる実行委員会(反安保実X)
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