11・16反安保実集会報告 「最後のの歯止めを外すのか?」
11月16日、反安保実行委員会は「最後の歯止めを外すのか!? 安倍『壊憲』政権による戦争のできる国づくりを許すな! 『集団的自衛権行使』と『秘密保護法』を問う11・16集会」を東京・飯田橋の富士見区民館で開催した。
この日の集会は、安倍首相の諮問機関である「安保法制懇」で討議が進められている「集団的自衛権」の行使容認を通じた憲法九条の破壊と、それと連動したグローバルな日米共同作戦を可能にするための法的整備――国家安全保障会議(NSC)設置法案、秘密保護法案など――の実態を明らかにし、それらを撃ち返す運動を作り出すために準備された。
主催者あいさつを梶野宏さんが行った後、清水雅彦さん(日体大准教授、憲法学)が「集団的自衛権行使と憲法(改憲・解釈変更)問題」と題して講演を行った。
清水さんは、最初に自ら取りまとめの実務を担った「秘密保護法の制定に反対する憲法・メディア法研究者の声明」(10月11日付、呼びかけ人24人、11月9日付で賛同人、133人)について紹介し、今までこうした署名に名を連ねなかった研究者も今回については賛同された方も多いが、逆に国会の秘密保護法案審議で自民党推薦の参考人として賛成意見を述べた長谷部恭男氏(東大教授)のように、むしろ「護憲派」の範疇に入ると考えられてきた人が「声明」に賛同しなかったことを紹介した。
清水さんは憲法の本来的意義について、「市民革命後の国家権力制限規範」であり、人権規定より統治規定が多いのはそのためであることを明らかにし、昨年四月に自民党が発表した「日本国憲法改正草案」の基本思想について@復古主義的改憲論の復活A新自由主義的改憲論の挿入、と特徴づけた。
その上で、清水さんは前文、天皇条項、平和主義、緊急事態、人権、改正規定などの各章に関して、自民党改憲案の特徴を批判。とりわけ「表現の自由とプライバシー」のように「人権と人権が衝突した際の調整」の問題として理解されてきた「公共の福祉」という概念が「公益及び公の秩序」に変更されたことによって、国家のために人権が制限されるようになったこと、自民党改正案では野放しの営業の自由や、「自助・共助」によって「公助」を後退させる新自由主義的側面が強化されていることに注意を促した。
また、平和主義に関しては。憲法前文で強調されている「餓え、貧困、構造的差別をなくす」という本来的意味での「積極的平和主義」が放棄され、「積極的平和主義」が「国連の武力行使」に参加することを指す意味に歪められていることを厳しく批判した。
次に宮崎俊郎さん(やぶれっ!住基ネット市民行動)が「秘密保護法の問題点と反対運動の課題」というテーマで報告した。
宮崎さんは、「秘密保護法反対」の宣伝をしていたとき「なんで自分の秘密を守る法律に反対するんですか」と言われたことを紹介し、正確には「国家秘密保護法反対」と言うべきではないか、と切り出した。そしてスノーデン事件が示したように、米国のほとんどすべての情報が握られていることを強調しつつ、「秘密保護法案の指定する『特定秘密』の四領域(防衛、外交、安全脅威活動の防止、テロリズム防止)は情報公開法の下で不開示とされる領域なのかと問題を投げかけた。
宮崎さんは「情報公開法は不開示領域として防衛、外交、治安維持などを上げている。特定秘密は最初からその領域を情報公開法の不開示領域としてしまう効果を持つ。民主党の主張する『情報公開法』で規定されている『非開示』となっている領域を開示させるために闘わない限りダメではないか」と訴えた。そして今回の秘密保護法に関して「対象は防衛・軍事に関わる問題だけではない。それらの領域にたずさわる公務員などへの秘密保持対策はすでに出来上がっているのであり、市民の日常生活への監視体制がむしろ主眼となっているのではないか、と問題提起した。
宮崎さんは秘密保護法について@「国民監視強化」の側面A日米軍事同盟強化としての軍事問題B知る権利―表現の自由の圧殺という改憲策動としての側面を指摘し、広範な反対運動を巻き起こし臨時国会で廃案に追い込もうと訴えた。
質疑応答を経て、憲法破壊―改憲攻勢の決定的局面で粘り強く闘いを作り出していくことを確認した。
(K)
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