大いなる歌
パブロ・ネルーダ/著
松本健二/訳
2018年9月刊行
定価4600円+税
4-6上製・568頁
ISBN978-4-7738-1810-9 C0098
詩(ことば)によって想像力が膨らむ愉しみ。
20世紀スペイン語詩の巨人、ネルーダが謳う。
アメリカ大陸の過去と現在をつなぐ、壮大なる叙事詩、待望の完訳成る!
ホセ・ドノソ『夜のみだらな鳥』(水声社)に続く、ラテンアメリカ文学の金字塔。
本年の海外文学出版における最大の注目作!
「そのとき私は失われた密林の鬱蒼たる藪から
土の梯子をお前に向けて登った
マチュピチュよ
石段に抱かれた気高き都市よ
地と陸がその眠れる衣装に
隠し切れなかった者の住み処よ
そこでは稲光と人のゆりかごが
棘のある風に吹かれて
二本の平行線のように揺れる」
(本書「マチュピチュの高み」より)
【著者紹介】パブロ・ネルーダ(パブロ・ネルーダ)
チリの詩人。本名リカルド・ネフタリ・レイエス。20歳で刊行した詩集『二十の愛の詩とひとつの絶望の歌』(1924年)がスペイン語圏で人気を博す。20代から外交官としてアジア各地を遍歴、前衛的な詩集『地上の住処』(1935年)を刊行。1936年からのスペイン内戦に関わったことで政治に傾倒、3年の駐メキシコ領事職を経て1945年からチリ上院の共産党議員として活動するが、1948年親米色を強めていた当時のゴンサレス・ビデラ政権により議員資格をはく奪されたことがきっかけで1年あまりの地下潜伏生活に入る。1949年ヨーロッパに脱出、翌1950年に大部の詩集『大いなる歌』をメキシコで刊行、逮捕令が解けてチリに帰国した1952年以降も精力的な創作活動を続けた。1969年の大統領選で共産党から立候補を要請されたが、左派票を人民連合のサルバドール・アジェンデに一本化すべく辞退、1970年からアジェンデ政権の大使としてフランスに駐在した。1971年ノーベル文学賞受賞。1973年9月23日、アウグスト・ピノチェト将軍らによるクーデター勃発の約2週間後、サンティアゴ市内の病院で病死したとされているが、謀殺説をめぐる検証が続行中である。上記以外の代表作に詩集『ブドウと風』『基本頌歌集』(1954年)、『新基本頌歌集』(1956年)、『第三頌歌集』(1957年)、『航海と帰還』(1959年)、『イスラネグラの備忘録』(1964年)、『鳥の秘術』(1966年)、『世界の終わり』(1969年)等。
【著者紹介】松本健二(マツモトケンジ)
大阪大学世界言語研究センター准教授。ラテンアメリカ現代文学。訳書にロベルト・ボラーニョ『通話』(白水社)などがある。