チューリングの妄想
エドゥムンド・パス・ソルダン/著
服部 綾乃/訳
石川 隆介/訳
2014年7月刊行
定価2800円+税
4-6並製・544頁
ISBN978-4-7738-1417-0 C0097
文学的企みとエンターテイメントを両立させた、一級のテクノスリラー小説!
「魔術的リアリズム」とは異なる、新世代のラテンアメリカ文学が登場
時は21 世紀、舞台はボリビア、激しい混乱に見舞われた架空の近代都市リオ・フヒティーボ。学生たちがバリケードを築く、昔ながらの抗議行動の裏で、ネット社会に深く関わるハッカーたちは複雑につながり、時の政権にサイバー攻撃を仕掛ける。時間と場所を共有する7人のストーリが絡み合い同時並行的に展開する近未来小説であるとともに、脳とコンピュータの関係、バーチャルワールドと現実世界、などさまざまな現代的要素を混在させ、ラテンアメリカ社会のいまをも浮かび上がらせる野心作。
1967 年生まれのソルダンは、親の世代が挑んだ闘争を客観的に対象化できる世代に属する。グローバリズムのもたらした社会状況に従順に適応していく世代の、シニカルなニヒリズムの立場から世代間の軋轢・対立を描く。
ラテンアメリカの新しい作家たちの中でもエドゥムンド・パス・ソルダンはもっとも創造性にあふれた作家のひとりである。—マリオ・バルガス・ジョサ
【著者紹介】エドゥムンド・パス・ソルダン(Edmundo Paz Soldan)
1967 年、ボリビアのコチャバンバに生まれる。1997 年にラテンアメリカ文学博士号を取得(カリフォルニア大学バークレー校、2005 年)。現在はコーネル大学ラテンアメリカ文学教授。作品は英語、フランス語、フィンランド語、トルコ語、ポルトガル語等に翻訳されている。『チューリングの妄想』はボリビア国民小説賞(2002年)を受賞。英語、トルコ語、ポルトガル語に翻訳されている。初期の短編『ドチェーラ』では1997 年にファン・ルルフォ短編小説賞を受賞。
【著者紹介】服部 綾乃(ハットリ アヤノ)
翻訳家。清泉女子大学文学部卒(スペイン語スペイン文学科)。コレッヒオ・デ・メヒコ(メキシコ)に留学(国際関係論)。訳書にモンテロッソ『黒い羊他』(石川隆介との共訳、書肆山田、2006)、モンテロッソ『全集 その他の物語』(石川隆介との共訳、書肆山田、2008)、メルバ・ファルク他『グアダラハラを征服した日本人』(石川隆介との共訳、現代企画室、2010)、レヒナルド・ウスタリス・アルセ『チェ・ゲバラ最後の真実』(石川隆介との共訳、武田ランダムハウスジャパン、2011)。メキシコの詩人アレ・デ・ラ・プエンテ「忘れる 覚えている」の翻訳(詩誌「三蔵2」第6号)など。
【著者紹介】石川 隆介(イシカワ リュウスケ/Juan Ryusuke Ishikawa)
1974年メキシコ、グアダラハラ生まれ。ラテンアメリカ文学博士(カリフォルニア大学バークレー校、2005)。慶應義塾大学総合政策学部特別招聘講師を経て、カリフォルニア州立大学Fullerton校準教授。訳書にモンテロッソ『黒い羊他』(服部綾乃との共訳、書肆山田、2006)、モンテロッソ『全集 その他の物語』(服部綾乃との共訳、書肆山田、2008)、メルバ・ファルク他『グアダラハラを征服した日本人』(石川隆介との共訳、現代企画室、2010)、レヒナルド・ウスタリス・アルセ『チェ・ゲバラ最後の真実』(石川隆介との共訳、武田ランダムハウスジャパン、2011)。