カヘルの王
チエルノ・モネネムボ/著
石上健二/訳
2013年4月刊行
定価2800円+税
4-6上製・360頁
ISBN978-4-7738-1305-0 C0097
アフリカ中西部に自らの王国をつくる妄想を抱き、
商館の建設や鉄道敷設権の獲得に賭けた
一フランス人の破天荒な生涯を描いた、
アフリカ・ギニアの作家の力作。
2008年 ルノド賞受賞
【著者紹介】チエルノ・モネネムボ(モネネンボ ,T .)
1947 年、ギニアのポレダカに生まれる。
ギニアは、他のフランス領植民地に先駆けて1958 年に独立したが、独立当初から就任したセク・トゥレ大統領の独裁支配を嫌って、1969 年に亡命した。その後、象牙海岸(コート・ジボワール)やセネガルで暮らしながら、創作活動を始めた。彼の創作活動を支える根底には、「アフリカの植民地主義に関する西洋との論争は五年も続けば十分だったのではないか。不幸にも、私たちは常にそこにいる。歴史がないと言われていたアジアは、いまはその種の論争はなく、歴史の流れを取り戻したが、アフリカはそうではない」という問題意識がある。ヨーロッパによって書かれてきた歴史を、自らの手で再構築することを志しながら、多岐にわたる創作活動を続けてきているが、現在は、フランスのカン(Caen)で生活している。主な作品には、以下のものがある。
1979 Les Crapaus-brousse『原野の蛙たち』/ 1986 Les Écailles du ciel『空の鱗』( 黒人アフリカ大賞、サンゴール賞受賞)
1991 Un rêve utile『役立つ夢』/ 1993 Un attiêkê pour Elgass『エルガスにアッチエケを』
1997 Cinêma『映画』/ 2000 L’ Aîné des orphelins『みなしごたちの長男』(熱帯賞受賞)
2004 Peuls『プル族』[ 現代企画室より近刊] / 2006 La tribu des gonzesses『女たちの種族』
2008 Le Roi de Kahel『カヘルの王』(ルノド賞受賞)[ 本書] / 2012 Le terroriste noir『黒いテロリスト』
【著者紹介】石上健二(イシガミ ケンジ)
1949年、東京に生まれる。
高校卒業後、アテネフランセでフランス語を学び、渡仏。パリ大学文学部仏語講座に2年間在籍した後、パリ美大で美術を学ぶ。画家として、サロン・ドートンヌ、サロン・ナショナル・デ・ボザールなどに出品。1979年以降は、フランス語圏アフリカ諸国(象牙海岸、セネガル、ベナン、マリ、ニジェール、ギニア、モーリタニア、コンゴ民主共和国など)での、繊維工場運営、学校・病院建設現場や浄水場改修計画現場で通訳の仕事に携わりながら、アフリカの作家の文学作品に親しむようになって、現在に至る。