リブロ池袋本店トークイベント 12月10日(火)
「政治危機と文学的想像力―いま、ラテンアメリカ文学を読むということ」
寺尾隆吉(フェリス女学院大学准教授)×太田昌国(現代企画室編集長)
ここ数年ラテンアメリカ文学の翻訳が急速に進み、ボラーニョ、カステジャーノス・モヤらの新しい世代の小説から、バルガス=ジョサ、フエンテス、ドノソらブーム期の巨匠の未邦訳作品の邦訳も相次いでいます。《セルバンテス賞コレクション》(現代企画室)を皮切りに、《フィクションのエル・ドラード》(水声社)、最近で始まった《ボラーニョ・コレクション》(白水社)とラインナップも充実してきました。
この実り豊かな作品群の多くにはラテンアメリカ各国特有の地域性とともに、古くは旧植民地時代から続く政治状況も色濃く影を落としています。20世紀後半では、ラテンアメリカ文学が世界的な読者を獲得し始めた60年代より時期を同じくして、キューバ革命、70年代から80年代にかけてのチリやアルゼンチンをはじめとするクーデター、独裁者による軍政の乱立、と相次ぐ動乱にラテンアメリカは揺れ動きました。こうした緊迫した政治危機の中で翻弄され苛まれながらも作家たちはそれを文学的想像力の構築へと結びつけ、現代世界の置かれた状況を新たな目で捉え直す傑作を生み出してきました。ラテンアメリカ文学を語るうえで抜きにはできないこの政治的背景と作家の問題は、ますます混迷の度を深めつつある現代世界において、あらためて「文学の役割」を問う声が叫ばれる際に大きな意味をもって浮上してくるでしょう。
そこで、ラテンアメリカの「政治と小説」の関係について研究され、翻訳紹介も精力的に行う寺尾隆吉氏と、ラテンアメリカの解放運動や市民運動に詳しく、自身でも編集者として紹介に尽力する太田昌国氏をお招きし、自国の政治を題材に作家がいかに物語をつくってきたかなどのエピソードを交えながら、ラテンアメリカ文学が現在の世界状況に指し示すもの、ひいてはいまこの日本でラテンアメリカ文学を読むということ、などお話していただきます。
* チリ大使館提供のチリワインを飲みながらお聞きいただく予定です。
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寺尾隆吉(てらお・りゅうきち)
1971年生まれ。フェリス女学院大学国際交流学部准教授。専攻は現代ラテンアメリカ文学。主な著書に、『魔術的リアリズム――20世紀のラテンアメリカ小説』(水声社、2012年)。主な訳書に、『嘘から出たまこと』(現代企画室、2010年)、オネッティ『別れ』(水声社、2013年)など多数ある。
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太田昌国(おおた・まさくに)
1943年、北海道釧路市生まれ。現代企画室編集長。南北問題・民族問題にかかわる研究・諸活動に従事。著書に、『日本ナショナリズム解体新書』(現代企画室)、『「拉致」異論』(太田出版/河出文庫)、『「国家と戦争」異説』(現代企画室)、『暴力批判論』(太田出版)などがある。
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[日時]12月10日(火) 19:00-
[会場]西武池袋本店別館8階池袋コミュニティ・カレッジ 4番教室
[参加費]教室参加チケット1000円(税込)[定員]50名
[参加チケット販売場所]西武池袋本店書籍館地下1階リブロリファレンスカウンター
[ご予約・お問い合わせ]リブロ池袋本店 03-5949-2910
[協力]ウルグアイ大使館、チリ大使館、セルバンテス文化センター東京
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