■信濃毎日新聞 2018年4月22日
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信濃毎日新聞 2018年4月22日
昨年6〜7月、大町市内で初めて開かれた大規模な芸術祭を振り返る公式記録集。国内外から招かれた36組の作家の作品を美しい写真で紹介する。
2日半―。集落や湖、森など12キロ四方に点在する作品を見るのにかかるとされた日数だ。加えて、野外にある作品は時間帯や天気で見え方が変わり、パフォーマンスは鑑賞日が限られていた。芸術祭に足を運んだ人も、ようやく全貌の分かる一冊と言えるだろう。
近年増え続ける、広い地域を会場とする美術展は、地域住民が“巻き込まれる”のが特徴だ。年表には2012年にさかのぼる準備期間や地元説明の軌跡を記し、各作品の紹介文にも、住民の反発やとまどい、期待や歓迎がにじむ。
同芸術祭は20年に第2回開催の方向だ。芸術は地域活性化の起爆剤となり得るのか。大町市以外の県内住民にとっても初回の成果と今後の行方は気になるところだ。
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