毎日新聞 2009年3月15日 「今週の本棚」欄
〈チェ・ゲバラ プレイバック 太田昌国著〉
チェ・ゲバラが39歳で死んでから42年。映画「チェ」2部作が多くの観客を集め、ゲバラはいまも世界の人々をひきつける。なぜだろう、と不思議に思う人に勧めたい一冊。
三つの時代に分けて著者は考える。ゲバラが殺されたのは不公正な世の中を変えたいと「人々が何事かに取り組んでいた時代」だった。
「ふたつ、みっつ、数多くのベトナムをつくれ」とよびかけたゲバラはまさに時代の象徴だった。
次に遺骨が発掘された20世紀末。夢を追い求めた人物として復権した。「経済的な繁栄に絶対的な価値をおく幻滅と絶望の時代」だった。
そして現在。「英雄主義的にとらえる態度は終わった」。ゲバラを批判的に受け継ぐ意思を著者は大切にする。そこに共感する。(良)
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