「セレクトブック」のコーナーでは、現代企画室の本をひとつのテーマのもとにジャンルを横断してご紹介します。現在約400タイトルに及ぶ現代企画室の本をさまざまなテーマで結び合わせてみると、新たな世界が見えてくるかもしれません。
第10回 「女性作家による文学」
10月から12月にかけて、日本女流文学者会の支援を受けて、3作のアジアの女性作家による文学を連続で刊行します。今回は、女性の作家が手がけた小説をセレクトしました。
韓国、台湾、インド、南アフリカ、コロンビア、プエルトリコ、アルゼンチン、メキシコ……、現代企画室はこれまで、西欧ではない、多様な国の女性たちが語る物語を発信してきました。
アジアの作品では、ベンガル語から直接翻訳されたモハッシェタ・デビの『ドラウパディー』。「普通」にインドを旅したり暮らしただけでは決してみえてこないサバルタン(みずからは語ることのできない従属的な諸階級=不可触民や先住民)の世界を鋭く描いた短編集です。
ラテンアメリカの作品では、ラウラ・レストレーポの『サヨナラ』。コロンビアの、石油労働者が集まる町を舞台に、自ら娼婦となる道を選んだ「サヨナラ」という名の少女を描いた物語。ジャーナリストによるルポルタージュ的な語り口で紡がれる、人びとの証言を通して、魅力とユーモア溢れるひとりの女性像が浮かび上がります。
さまざまな地域で生きる女性たちの目を通して見た世界をご堪能ください。
定価2200円+税
米国で最も注目されるハイチ出身の新進作家が、人を熱狂に誘いこむ祝祭=カーニヴァルの魅力を描きつくした、詩情あふれる帰郷ノート。カラー写真11枚収録。