「セレクトブック」のコーナーでは、現代企画室の本をひとつのテーマのもとにジャンルを横断してご紹介します。現在約400タイトルに及ぶ現代企画室の本をさまざまなテーマで結び合わせてみると、新たな世界が見えてくるかもしれません。
第9回 「現代美術評論」
『中原佑介美術批評選集』の刊行スタートを記念して、今回のセレクトブックでは、「現代美術評論」をテーマに選書しました。
珍しいところでは、ジャン・ジュネの『アルベルト・ジャコメッティのアトリエ』。ジュネが同時代で唯一敬愛した美術家ジャコメッティと、17世紀の画家レンブラントについて書いたエッセーがおさめられています。いずれもが「評論」というよりはまるで美しい小説を読むような趣きがあります。
またもう1冊の海外もの、『アヴァンギャルド芸術論』は、イタリア文化会館館長であったデ・マルキス氏が、ピカソの「アヴィニヨンの娘たち」(1907年)誕生から80年を記念して書き下ろしたもので、20世紀前半の西欧の芸術運動についての最良のガイドとなっています。
その他、現代企画室では、欧米のアートマーケットに軸をおいた美術とは異なる評論集を刊行しています。
日本初の本格的な国際展
定価2400円+税
中原佑介美術批評選集第5巻。芸術・文化の世界に衝撃をあたえた国際展「人間と物質」を中心に、展覧会の全容、「人間と物質」に至る中原の思考の軌跡、展覧会後の反響への応答を示す文章をそれぞれ集めた。
定価2500円+税
ジャコメッティがこよなく愛し、ピカソをして「もっとも美しい芸術論」と言わしめた表題の文章をはじめ、ジュネの実生活と文学創造の転期に書かれた芸術論。
東西アート融合に向けて
定価5500円+税
アートは「精神の気高さを支える力」となりうるか。既成の知的枠組みが崩壊し、流動化するなか、東西のアートと異なるハイブリッド・アートの可能性を探る。
定価5000円+税
ピカソ、未来派、シャガールなど、20世紀の真の芸術革命家の創作の秘密を説き明かし、次いで戦後イタリアの革新的な芸術の実験の様子を語る。図版121点。