2006年11月27日掲載
教育再生会議は、いじめた子の出席停止といじめ加担教師の懲戒厳格化も提言するという。また、いじめを国が緊急調査し、(補正予算が災害等国民の安全を優先させていたところを変更し)いじめ対策は緊急性は高いとして、カウンセラー設置等の経費を予算化するとも報道されている。
朝刊のトップに「いじめた子出席停止」の見出しが踊っているのを見て、「こいつらアホか!」と思った。いじめ問題を治安対策と同じ発想で対応しょうとする教育対策会議の面々が、学校や子どもの実態とそれに対処する教員の苦労を何も知らないんだ。大人の人間関係と同じで、社会の縮図としての子どもの世界も力関係の強弱があり、いじめ関係が深刻になったとき、多数の子どもがいじめる側に立っていることが多い。これに対して教員が同僚の協力も得ながら、ねばり強く対処していくなかで解決に向かう不断のとりくにが肝心なのだ。「いじめ出席停止」という治安対策で取り組んだら、すべての取り組みが水泡に帰す。風邪やインフルエンザで欠席が何割になったら「学級閉鎖」になるかご存知か?2割だよ。いじめる子を「出席停止」にしたら、「学級閉鎖」だな。馬鹿!(一作)<以下、新聞記事のため転載禁止>
いじめた子出席停止 いじめ加担教師の懲戒厳格化も
教育再生会議緊急提言へ
(朝日新聞 2006年11月26日08時01分)
安倍首相直属の「教育再生会議」(野依良治座長)は今週中にいじめ対策の緊急提言を出す。(1)いじめに加担したか、故意に見過ごした教員への懲戒制度を現在より幅広く適用する(2)いじめた側の子どもの出席停止を積極的に行う(3)問題が起きた学校を支援するチームの派遣の仕組みをつくる――などが柱となる方向だ。最終的に10項目程度の提言になる予定で、今週、断続的に開かれる教育再生会議の三つの分科会で詰める。
防止策では、各学校にスクールカウンセラーなど専門職を配置したり、相談窓口を置いたりして、いじめが起こったり、陰湿化する前に芽をつみ取る方策を提言する方向だ。
いじめが起きた後の対応では、東京都が導入した、いじめに加担した教員への免職を含む懲戒制度を全国的に広げることを提案。学校教育法にある「出席停止」の規定についても、「いじめた子」に対しては実際にはほとんど適用されていないため、積極的な活用を求める方向で調整している。
また、有識者メンバーの陰山英男・立命館小副校長らの主張に沿い、文部科学省や教育委員会から事実関係の調査、親への説明や報道対応などで、問題が起きた学校を支援するチームを派遣する仕組みも提言する考えだ。
提言作成の過程で、一部の有識者メンバーから、体罰の一部容認論も出されたが、現段階では提言に盛り込まない方向だ。
いじめ実態、緊急調査へ 相談員も拡充 補正予算案
(朝日新聞 2006年11月26日08時00分)
いじめを苦にした自殺が多発していることを受け、政府は、いじめの緊急実態調査や相談員の拡充などの対策を12月下旬に決める06年度補正予算案に盛り込む。いじめによる自殺者を7年間「ゼロ」としてきた従来の文部科学省の調査に「実態を反映していない」といった批判が出ているため、来年度予算を待たずに補正予算を組み、実態の把握をめざして早期に再調査を実施することにした。
文科省が全国の小中高校を対象に毎年実施している調査だと、05年度のいじめの件数は前年度比7.1%減の2万143件で、90年代後半から減少傾向となっている。いじめを主な理由とする自殺件数も99年度から05年度までゼロが続いた。
文科省の「調査」は実際には、各教育委員会を通じて学校の「自己申告」分を分析しているにすぎない。北海道と福岡県で起きたいじめ自殺の問題以降、教委や学校に対して「いじめの事実を隠蔽(いんぺい)しているのではないか」との批判が相次ぎ、同省の集計結果を疑問視する声が伊吹文科相からも出ていた。
補正予算に計上する緊急調査では、学校の申告のみに依存せず、より実態が把握できる方法を文科省が検討し、来年3月までに実施する。
また、いじめなどの解決に向け、「スクールカウンセラー」を配置する都道府県や政令指定都市への補助も補正予算に盛り込む。
カウンセラーは児童・生徒から相談を受け、教員や親に改善策や子どもへの接し方を助言する。今年度予算では、カウンセラーが全国の公立中学校約1万校をカバーできるように42億円の予算を計上している。この予算を使って都道府県は中学校だけでなく、小学校にもカウンセラーを配置できるが、今年3月時点の都道府県の計画では中学校が75.2%、小学校は7.5%の配置率にとどまっている。
補正予算で配置率を引き上げ、特にいじめが増え始める小学校高学年への対応を強化する。また、年度内に予算措置することによって、来年4月の新学期から相談態勢を整える効果を狙う。
安倍首相は24日、官邸で記者団に「補正予算は災害など国民の安心、安全にかかわるものに限定する」と述べ、歳出抑制を最優先させる方針を示していたが、政府・与党は、いじめ対策は緊急性が高い、と判断した。緊急調査やカウンセラー設置にかかる経費見積もりは11月中をめどに固める。
いじめた生徒は出席停止に…教育再生会議が緊急提言へ
(読売新聞 2006年11月25日14時36分)
学校でいじめによる自殺が相次いでいる事態を受け、安倍首相直属の教育再生会議(野依良治座長)は25日、いじめ問題に対する緊急提言を来週にもまとめ、公表する方針を固めた。
都道府県や市町村の教育委員会に対し、〈1〉いじめた児童・生徒に出席停止など厳しい対応を取る〈2〉深刻ないじめ問題が起きた場合に備え、緊急に学校を支援する態勢をつくる――ことなどを求める。
同会議は来年1月に中間報告を作成する予定だが、自殺問題を重く見て、法改正などが不要の緊急対策を早急に打ち出すことにした。文部科学省も速やかに対策を講じる考えだ。
学校教育法では、「児童の性行不良で、他の児童の教育に妨げがある時」は、市町村教委は保護者に対し、その児童の出席停止を命じることができると定めている。具体例として、傷害、心身の苦痛、財産上の損失などを与える場合を挙げている。
しかし、近年、出席停止の件数は年間40~50件程度で推移しており、言葉などによるいじめで出席停止になるケースはあまりなかった。今回の提言では、暴力行為がなくても、明確ないじめがあった場合、厳格に出席停止命令を適用することを求めることにした。
福岡県で中学生が自殺した問題では、担任教師の不適切な言動がいじめを誘発したとされることを踏まえ、いじめに加担した教員の懲戒処分も提言する。教員の懲戒は主に体罰、セクハラ、交通事故などが対象だが、懲戒処分基準の見直しを教委に要請する。
さらに、いじめ問題が発生した学校に対し、教委から緊急支援チームを派遣し、保護者への説明や児童・生徒の「心のケア」などの面で教員をサポートする態勢を整えることも求める考えだ。
提言には、いじめがあった場合、地域住民や学識経験者からなる学校評議員会に対して報告を義務づけることや、学校教育法で定められている「体罰」の解釈見直しを検討することなども盛り込む予定だ。
いじめをしたら出席停止 教育再生会議、緊急提言へ
(東京新聞 2006年11月25日 22時17分)
政府の教育再生会議(座長・野依良治理化学研究所理事長)は25日、いじめを苦にした児童・生徒の自殺が相次いでいる現状を重大視し、「いじめをした児童、生徒を出席停止とする」ことなどを求める緊急提言を今週にもまとめ、公表する方針を固めた。
このほか提言は「いじめが起きた学校での対応を支援する緊急チーム派遣の態勢を整える」などの対策を取るよう都道府県や市町村の教育委員会に求める内容が盛り込まれる見通しだ。
ただ再生会議の中にも「事後的な対策を羅列しても効果は限られる」(有識者メンバー)との慎重意見がある一方、「家庭の責任」に力点を置くべきだとの意見も浮上しており、最終的な提言内容は今週の議論で固める方向だ。
27日に都内で開かれる次回会合では、冒頭に全体会合を開いて緊急提言をめぐり議論した後、「教育再生」をテーマとする第3分科会を開く予定だ。
(共同)