2020年6月6日掲載
(2020.2.18 教育委員会会議室)
教職員課がやっと出した!
超過勤務時間・過労死ライン80h/月超の実態
高槻市
小学校 80h/月 超 56名 月平均全体数の 5%
100h/月 超 14名 月平均 同上 1%
中学校 80h/月 超 195名 月平均全体数の29%
100h/月 超 110名 月平均 同上 16%
(2018年度)
教職員の勤務時間を把握するために導入された出退勤記録システム。しかし、教職員課は、市下全教職員の「時間外在校時間」を、月別平均の折れ線グラフで我々に示すだけでした。私たちは、「平均では実態はつかめない、実数を示せ」と、毎年強く要求し、今回、やっと上記の数を報告しました。
折れ線グラフには決して現れなかった「中学校教員80時間超29%、小学校教員同5%」。100時間超に至っては、中学校では10人中1、2名が大変きつい超勤をしていることになります。
この長時間勤務の実態を市教委は、どう解消していくのか。今後の取り組みが問われることになります。重点項目を中心に報告します。
(末 廣)
◆B. 勤務時間短縮に伴う制度変更について
◎以下のことを質問・要求しました。
◪昨年度(2018年度)の出退勤把握システムの集約結果と今後の展望
◪過労死ライン80h/月以上の実数と実態
◪取得できなかった休憩時間を超過勤務として算定するシステムにすること
◪業務改善の進捗状況と課題
あらかじめ、市教委が提供した資料は、H29~H31年度の、市内全職員の月別平均「時間外在校時間」の(またもや)折れ線グラフでした。このグラフで市教委が強調したかったのは「成果」でした。例えばH29年4月とH31年4月を比べると、小学校は7.5h、中学校は7h減少したというのです。
しかし、私たちは、情報公開で得た文書やシステム自体の不十分さから見て、
・平均では実態が把握できない
・出退勤をPCに打刻していない職員がいる
・休憩時間が含まれていない(取得できたとしている)
という問題点があることを強く指摘しました。そして、私たちが情報公開文書を集計した結果から
・学校によっては半数近くが過労死ラインの超勤をしている
・同じ職員が何か月も100h/月超勤務している
・200h/月超の職員もいる
・宿泊行事では24時過ぎまでの勤務実態もある
などの具体的な事例を挙げながら市教委を詰めていきました。その経過の中で、市教委が出したのが、冒頭の数字です。折れ線グラフからは見えない超・超過勤務時間の実態です。(実際には、前述した問題点があるので、実際の数字はもっと多いと推測できます。)
市教委は、この実態をどう分析するのか。超過勤務時間解消のための方針はあるのか。確かに自動応答電話等いくつかの具体策が進められてはいるが、学校現場で業務内容が削減されたという実感はほとんどありません。業務量削減の具体的方針がないからです。
時間外在校時間比較折れ線グラフで、「超勤が減っている」とのんきに言っている場合ではありません。過労死に直面している職員が多数いるのです。
市教委には、「校長会で出退勤システムへの打刻をきちんとするよう指導する」と確認した上で、業務削減基準を示し、超過勤務時間削減を目に見える形で実行していくこと、この実態をふまえ産業医の活用にも本気で取り組む必要があることを強く要求しました。また、いまだに勤務時間と部活手当請求の食い違いがあることも指摘しておきました。
◪「変形労働時間制」について
市教委の回答は、「国や大阪府の動向を注視しながら対応」という例年通りのものでした。私たちは、この制度の問題点を指摘し、文科省交渉で明らかになった「地教委で条例が作られ、するしないや時期は職場が決める」事を示しました。市教委が主体性をもって見解を示し、対応していくべきことであると要求しました。
◆C. 再雇用制度について
◪教員の人材確保(免許更新制)について
文科省は臨時免許を出すことをすでに通知しているが、市教委は「府から市への通知は下りていない。現在は、中学校技術科のみ臨時免許を出している。国や府の動向を見て対応していく」と回答。通知が下りたらすぐに情報提供するよう要求しました。
◆E. 労働安全衛生法の実施及び休憩時間の確保と勤務実態調査関係
◪産業医健康相談の実績
今年度4月~9月の相談実績は、5名です。市教委の調査結果で、多くの職員が過労死ラインの勤務を強いられている実態からみると、産業医にかかっている人数が少なすぎます。私たちは、市教委に対して「校長は超過勤務の多い職員に声かけをするよう指導し、市教委が確認すること」「超過勤務の実態に合う産業医制度に変えていく必要性があること」「超過勤務が過労死を引き起こすという職場研修をすること」を要求しました。
◪ストレスチェックの活用
今回も、どのような形で集団分析の活用がなされたのかを問いました。しかし、市教委は「校長の報告は聞いていない」「具体的な集約はしていない」と無責任な回答に終始。市教委や校長は、働き方に気を配り、職員が心身ともに健康で働き続けられる職場を作る責任を負っています。市教委は、校長が集団分析結果をどう活用したのか集約するよう強く要求しました。
◆F.勤務場所を離れた研修について
従来の「研修承認願」の形式で、教育公務員特例法22条2項にのっとり実施する。
◆H. 宿泊を伴う学校行事に関わる勤務時間の割り振りについて
◪1泊2日の宿泊行事の「勤務の割り振り変更」
→ 例年通り(校長裁量を含む)で確認。
◪休憩時間の明示
◪「勤務時間の割り振りに関する実態調査」
「長時間勤務の解消を課題」ととらえ、「勤務条件の改善に前向きに取り組んでいく」と言う市教委であるが、一番超過勤務となる宿泊行事での休憩時間・勤務の割り振りの実態把握は、今回も実施しないという回答でした。私たちは、労基法違反の実態がないかという観点で校長を指導するよう要求しました。
◆K. 施設一体型小中一貫校について
市教委回答は「検討委員会の第四中学校校区が適しているという答申を受けて検討を進めている」である。具体的な内容は明確ではなく、本当に「施設一体型小中一貫校」が必要なのかが全く見えてきません。断念するべきではないでしょうか。
◆L. 日の丸常時掲揚について
市教委は「施設管理上の観点から行っている」「北摂地域全ての市が行っているから」という回答です。教育委員会という立場でありながら、子どもたちの「内面」への強制に対して、責任を放棄する態度は許せません。私たちは、法的根拠のない日の丸常時掲揚を直ちにやめるよう強く要求しました。
(末 廣)