2018年9月8日掲載
平成30年第9回高槻市教育委員会・中学校道徳教科書採択
8月20日、高槻市教育委員会室は、教育委員5名、教科書選定委員、委員会事務局、35名程の傍聴者で埋め尽くされた。21名の選定委員は、7月18日に8社の教科書の答申ーその教科書の長所を述べたものーを教育長に提出している。8つの答申は書かれた行数がそれぞれ違う。去年は、学校図書が一番行数が多く、光村図書が次点。結果、学校図書の小学校道徳が採用された。私は「今年は日文(日本文教出版)が一番行数が多いねえ。日文決定か?」と委員会が始まる前に軽口を叩いた。まさかね。
指導部長の経過説明、選定委員長の答申説明、指導課副主幹の答申朗読(3,4頁に記載)が終わり、教育委員の質問が始まる。「道徳の教科化によって何が変わるのか?」から始まり、「評価はどのように行われるのか?」「『別冊』の位置づけは?」「防災を高槻の子ども達にしっかり学んでほしいと思うが、それぞれどのように扱われているか?」「いじめについてはどうか?」「教員へのサポートはどうか?」・・流れる水のように質問が続き、指導課長も流れるように答える。その回答の中には、必ず日文の名前が入っていた。「地域家庭との連携は?」の質問に、「日文には保護者の記述欄があり、保護者も考えられる形になっている。」(保護者にも宿題が出るのだ!)集約すると、いじめ→防災→評価(日文はノート別冊になっているので教師が集めて評価しやすい)→親の記述欄と、「日文の良い所」が浮き彫りになって出てくるように話が進んだ。流れる水のような質問コーナーを経て、教育委員の議論は15分程。「日文、光村(行数は今年も第2位)がよい」と発言した委員もいたが、最後に教育長が「いじめ問題が内容的にいいので、日文に決めたいがどうか」と提案し委員全員が同意。教科書は日文に決定した。問題のある教育出版も日本教科書も埒外だったのは評価するが、大きな疑問は、この日の委員の議論の前にすでにラインが決まっていたのでは?という事だ。選定委員の答申がラインだ。子どもの学級会でこんな討議がありうるだろうか!例えラインが作られていても「○○の教科書もいいと思う」と委員同士意見をぶつけあってこそ時間がかかっても良い結果が出るのだ。それが民主主義の基本ではないのか?「あらかじめ結果が決まっている」・・子どもの道徳の時間が同じようにならない事をひたすら祈るばかりだ。
(長谷川洋子)