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指導課交渉報告

2017年5月3日掲載

2017.2.8(水)18:00~  教育委員会室

 指導課長が代わって初めての交渉でした。課長は、指導課出席者5名の一番端に座り、硬い表情で終始し、交渉が終わると部下を残して一番先に部屋を出ていきました。その姿は、「担当じゃないから知らない」と見えかねない、指導課の姿勢を象徴しているようでした。以下、重点項目を中心にして報告します。(「→」は、交渉の結果です。)

(1)夏休み水泳指導・管理運営規則改悪について
 →夏休み水泳指導に人的保障がなされるよう要求しました。

(2)2学期制について
 → 市教委は成果をあげていると言っています。しかし、評価・行事・意 識改革等の課題は、2学期制でなくとも改革できることであり、2学期制 の課題を解決する為にも廃止を求めました。

(3)連携型小中一貫教育について
④ 施設一体型小中一貫校設立について
〈1〉施設一体型を検討する前に指導課がやるべきこととして、連携型小中一貫教育のメリット・デメリットの総括をし、結果を教職員に丁寧に知らせていく事を昨年の交渉で回答されたが、その後校長会等で説明されたのか。まだであるならば、いつを目途に説明されるのか。

〈2〉昨年の交渉で、施設一体型小中一貫校について、指導課から説明を受けて以降、検討委員会や審議会ではどのような話し合いがもたれ、取り組みはどこまで進行したのか説明されよ。
  → 市教委は「平成28年度を目途に全中学校区において連携型小中一貫教育を実施する」とし、10月に高槻市小中一貫教育学校検討委員会から『小中一貫教育学校の在り方について(答申)』が出されました。
 私たちは、『答申』への疑問やその中で示された多くの課題の中で・・ 
①カリキュラム編成 / ②新規不登校者数(特に中1生)・教職員の多忙感の解消 / ③施設一体型をモデル校として1校設立した時の他の中学校区における不公平感や格差 / ④学年の区切り(4-3-2制)・・等について、指導課としての分析を聞かせてほしいと問いました。
 ところが指導課は「総務課の管轄であるので、担当外のことはわからない。」と無責任極まる発言を繰り返しました。私たちはその姿勢に強く抗議し、総務課が関わっているのなら、総務課の出席のもと交渉をやり直すか、総務課が説明の場を持つか、文書で回答するかせよと迫りました。後日、総務課から担当部分についての文書回答がありました。
 教育内容に大きく関係しているにも関わらず、指導課のこの無責任な姿勢に対しては、小中一貫教育が児童・生徒にとって本当によい制度なのかという視点で、今後の交渉等でさらに追及していかねばなりません。

(4)特別支援教育について                      
 →児童・生徒の教育や安全を保障するための人的保障を要求
  しました。

(5)道徳教育・日の丸・君が代・元号
① 現在小学校道徳教科書の検定がなされており、2017年度は小学校教科書が採択される。道徳の教科化は排外主義・ナショナリズムの強調、「愛国心教育」の強制等非常に問題がある。また文章表記であれ、「道徳の評価」は「内面」の評価であり、「思想・良心の自由」の侵害である。よって道徳教育の押しつけに反対すること。

 →「道徳教育の押しつけをしない、という主旨をふまえる」よう強く要求しました。指導課は「特定の考えを押しつける評価はしない」と回答しましたが、今後の動きを注視していく必要があります。

⑤ 2012年度度卒業式における山田組合員への懲戒処分及び再任用取り消しは人事委員会裁定が出て、懲戒処分は取り消された。現在、定年後の再任用拒否は「違法」だとして山田さん他3名が大阪地裁に提訴し、係争中である。再任用について新たな採用だからという理由で、人事委員会が再任用合格取消しを認めたことは、行政の判断を追認するだけのもので不当というしかない。高槻市教委は山田さんの再任用の取り消しを撤回するよう大阪府教委に要望を上げられたい。
  また、本年3月18日の大阪弁護士会は、「『君が代』斉唱時の起立斉唱を義務付け、さらに当該義務違反に対して懲戒処分をもって臨むことは、教職員の思想及び良心の自由を侵害するものである」と勧告した。大阪弁護士会の勧告を尊重し、職務命令によって「日の丸・君が代」を強制しないこと、「君が代」の起立斉唱を強制しないこと、そして、教職員に「君が代」のピアノ伴奏を強制しないこと、いかなることがあっても「処分による強制」をおこなわないこと。「教職員の思想及び良心の自由を侵害」しないこと。 
 2012年1月16日の最高裁の判決は、「君が代」不起立は「個人の歴史観ないし世界観等に起因するものである」と述べて、「君が代」不起立は「歴史観ないし世界観」であり、「思想・良心」の内容を形成すると認定している。また、宮川裁判官は同判決の補足意見で「君が代」不起立は、「思想・良心の核心の表出である」と述べている。それゆえ、「君が代」で立つか座るかを聞くことは教職員の思想の調査であり、また、その意思を表明するかしないかは、その人の自由意志に任せられるべきである。また、そのような調査に、どのような法的根拠もない。今年度の卒・入学式において、職務命令を背景にして、事前に「国歌斉唱」時の起立・不起立などについて個別に態度表明を求めるなど、教職員の「内心の自由」および「良心の自由」を侵害する行為を校長に求めないこと。また、思想・信条の自由を侵害し個人情報保護条例に違反する「不起立調査報告」などを校長に求めないこと。

 →私たちは、大阪弁護士会の勧告を尊重し、卒入学式等において教職員の思想及び良心の自由を侵害しないよう要望しました。しかし、指導課は「人権侵害とは捉えていない。受け入れられない。」と回答したので、強く抗議しました。『人権教育』を推進しているはずの市教委には、全く人権感覚がありません。粘り強く声をあげ続けていかねばならないと強く感じました。

⑧ 高槻市教委が私たちはじめ市民の声をいっさい聞かず、6月1日から小中学校に「日の丸」常時掲揚を行ったことは、毎日、子どもたちに「日の丸」を仰ぎ見させることによって、「日の丸」に表される「国家に対する肯定的受容、すなわち国家忠誠」という「特定の思想」を、子どもたちに「刷りこむ」ものになっている。「教育の場での権力的な強制という方法による国家忠誠意識の注入」は許されない。(『法律時報』80巻9号、市川須美子論文)ただちに、小中学校での「日の丸」常時掲揚をやめること。

 →回答には、「施設管理上の観点から行っている」と総務課の管轄であることを示し、教育内容そのものであるにもかかわらず、指導課は担当外と言わんばかりの無責任な姿勢でした。交渉の中では、「『日の丸』があがってもあがらなくても学習指導要領に基づいた指導内容は変わら
ない」と発言したことに対して、強く抗議しました。

6)学習指導要領に関して
 ③英語の教科化によって時間数の増加、授業準備等教師の負担が増加している。その負担解消について、市教委はどのように考えられているか。また、都市交流員の体制のAETが廃止されたが、都市交流員による英語教育は内容が充実し、成果があった。都市交流員の体制を復活されよ。

 →組合は、市教委が都市交流員AET(英語指導助手)を卒業式に出席させない措置を取り大阪府労働委員会が「不当労働行為である」として救済命令を出したこと、また、それに対して高槻市が大阪地裁への訴訟を起こしたこと、について説明するよう求めました。しかし指導課は、教育センターの担当であるとして「担当ではないので、わからない。」を繰り返しました。私たちは、その無責任な態度に抗議し、教育センターに
説明の場を設けることを伝えるよう要求しました。

 ⑤学力テストについて
来年度以降も、学力テストの学校別結果公表をしない事を確認されたい。

 →今年度1月、市独自の学力テストが5・6年生対象に実施された。組合への説明等は全くなかったので説明するよう要求し、後日指導課から資料提供と説明がありました。
 一番大事にすべき授業時間を削っての学力テストは序列や格差を生むだけで、必要ありません。今後は、教員の仕事量の増加や結果の取り扱い等についても注視していかなければなりません。

(7)その他
今年教科書採択時の「不正」に関する処分及び行政措置の公開請求をしたが、その結果大変多くの、また酷い不正事例が明らかになった。2017年度は道徳教科書の採択が行われるので、採択が公正・厳正に行われるよう指導されたい。
 →確認。採択までの日程を提供する。
(末廣)