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超過勤務調査結果集約表も出さず交渉とは!
教職員課交渉報告 2017・8・30

2017年9月30日掲載

 8月30日、第19回定期大会の決定に基づき、高槻市教委に労働 条件に関わる交渉を行いました。(紙幅の関係で重点項目の「勤務時間 短縮に伴う制度変更について」「休憩時間保障と勤務実態関係」を中心 に報告します。他の項目は例年と同様の確認でした。)

<病欠者の実態>・・「病気休暇・休職者数」(2016年度)について。

 メンタルを原因とする疾病がじわじわと増えているが、市教委による背景分析(超過勤務、仕事の過密化、職場の人間関係、セクハラ・パワハラ等)が欠落している事を組合から指摘しました。

<超過勤務の把握>・・出退勤システムの本来の意義を理解せよ。

 市教委は、出退勤把握システム(昨年11月1日から全小中学校で実施)の調査結果を本交渉までに組合に出すと約束していました。しかしながら、交渉当日においても調査集約表を組合に提示できず、口頭で説明という体たらくでした。
 集約結果の口頭説明は、2016年11月、12月の時間外が小学校(36時間)、中学校(55時間)で、3月までは「ある程度少なくなっている」という曖昧なもの。組合は「この数字は平均値か?」と質問しましたが、市教委は「平均(中央値)」との返答でした。組合は「平均値は意味がなく、個々の職員の超過勤務実態把握、過労死ラインとされる80時間以上、100時間以上が何人かという数字が必要」と追及しました。それに対して市教委は「80時間以上何人、100時間以上何人というデーターは出していない」「校長が市教委に提出する集計表に入っていない」と回答。
 忙しい毎日のなかで職員がパソコンに打ちこんだデーターは全然活用されていないことに怒りを感じました。なお「時間外在校時間調査結果(平成28年度)」が2週間後に組合へ情報提供されました。(資料参照)
 

その後、増田特別執行委員は、市教委に最近の大阪府教委、文部科学省の超過勤務への取り組みについて説明をしました。(以下参照)

大阪府教委「府立学校における長時間労働者への医師による面接指導要綱」の改訂について
(2017・8・19)

 府立学校では以下の内容が9月1日から実施され、義務化されました。今後この内容は府下市町村教委に課題として提示されるであろうと思います。

◆職員は、翌月の10日までに「産業医による面接指導申出兼時間外・休日勤務時間記録票」に必要事項を記入した上で、安全衛生管理者(校長・準校長)に提出することにより、時間外・休日勤務時間数を報告するものとする。

◆安全衛生管理者は、面接指導の申出があった職員及び面接指導を受けさせようとする職員について、毎月20日までに「面接指導依頼書及び長時間労働(月100時間超)職員の報告書」により産業医と調整の上、速やかに産業医の面接を受けさせるものとする。

◆安全衛生管理者は時間外労働等が1月当たり100時間を超える職員については、毎月20日までにその職員の氏名及び時間外労働等の時間数を(月100時間超)「面接指導依頼書及び長時間労働(月100時間超)職員報告書」により産業医に報告し、必要に応じて産業医からの指導助言を受けるものとする。(確定した要綱の全文は資料参照)

労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(産業医関係)について
(2017年3月31日省令施行)

◆産業医が定期巡視する頻度の見直し(少なくとも2月に1回とすることを可能とする)
◆健康診断の結果に基づく医師等からの意見聴取に必要となる情報の医師等への提供

文部科学省(中教審部会)「教員の労働条件『把握』 学校現場へ緊急提言」
(朝日新聞 2017年8月30日)

◆文部科学省の諮問機関「中央教育審議会」の特別部会は29日、学校現場の「働き方改革」について、校長や教育委員会がすぐに取り組むべき具体策をまとめ、緊急提言として文部科学省に提出した。タイムカードや情報技術を使った出退勤時刻の記録、夜間の問い合わせに対する留守番電話での対応などを盛り込んだ。

 このように、府教委、厚労省、文科省が長時間労働の把握、労働時間管理に動き出す中、せっかく「出退勤把握システム」を導入しているのに、市教委が職員個々の長時間勤務(80時間超、100時間超)を調査の集約に入れていないのは問題です。今後の改善を求めました。

<休憩時間と勤務実態調査関係>

1)昨年度の産業医面接の実施は、たった3名!(近年この実績が続いている)あまりに少なすぎると今年も指摘しました。厚生労働省は定期巡視を2月に1回としており、「巡視」が義務化されました。近隣の茨木市・吹田市では巡回指導を行っています。その点不充分であり、産業医の面接を受けにくくしている背景を分析すべきであると指摘しました。

2)市教委がストレス・チェック制度の導入を早急にしたことは評価できるが、この結果が職員とストレス・チェック調査機関との間でしか共有できず、課題解決の糸口とならない。この制度の限界を突破するには時間外勤務の具体的把握をすることである。また、セクハラ・パワハラ等の事態把握とからめて、ストレス・チェックの実施を生かしていくべきであると要求しました。

3)(以前から指摘のとおり)労働安全衛生組織が確立していないのは労安法違反です。他市では組織化が進んでおり、現下の情勢では急務である。来年度の予算化の時期に再度実施の方向を示すよう市教委に要求しました。

(松 岡)