学労ネット

驚きのAET雇い止め事件の真相を聞きました

2015年3月22日掲載

それが教育者のやることかっ!!
驚きの AET雇い止め事件の真相を聞きました。

>>>新聞記事はこちら...(pdfで表示します)
「英語助手に住居トラブル 高槻市、受け入れ中止に」
(朝日新聞大阪版 '15・3・7夕刊)

 2月18日(水曜日)、高槻の全小学校で教えているAET(英語の授業の助手)全員が3月末雇い止めになった事件の話をききに、T市会議員さんの事務所に行きました。当夜は事件の当時者になられた方々、話を聞きに来た日本人を含め20名以上の参加となりました。
 高槻市はオーストラリア、クィーンズランド州のトゥーンバ市と1991年から姉妹都市提携を結んでいます。交流の一環として20年間、トゥーンバのみなさんが8名3年交替で、高槻の小学校の外国語授業のアシスタントを務めてこられました。それが、なぜ急に雇い止め? 私達高槻の教員は、この事件を全く知らされていませんでした。以下、AETのみなさんのお話です。

事の発端  信じられないアパート

 AETは全員、来日前にトゥーンバで誓約書を書かされました。その時、住むアパートが指定されており、そこに住むことも誓約の一部でした。
 そのアパート(家賃6万円・駅から歩いて20分位)は、大変古いもので、天井一面に黒カビが生えていました。浴室の壁と浴槽が離れていて、その間にもびっしり黒カビが。電気はタコ足配線で、たくさんのコードが部屋に張り巡らされています。なぜか洗濯機が浴室に。汚水がもれるトイレ。窓が閉められない。こんなアパートに彼らは20年間、3年交替で住んできました。「直してほしい」と家主に何度頼んでも、「これがニホンですから」と拒否。.市教委、市長公室、都市交流に頼んでも応じてもらえませんでした。昨年、黒カビからぜんそくを発症したEさんは、その日アシスタントをしていた小学校から救急車で運ばれました。

どうしようもなくて引っ越し。 すると・・

 2014年5月の週末、AETのうち5名が秘密で引っ越しました。「引っ越す」と言うと止められると思ったそうです。翌月曜、引っ越したAET全員の学校に市教委がやってきました。授業をしていた彼らに「誰が助けたのか」とききまわったそうです。「元のアパートに戻れ」という命令はありませんでした。そして突然雇い止めの通達。来年度から国際交流員の事業は中止。
 市教委は、AETは廃止され中学校AETと同じ派遣会社からALTを中学校区に配置する事業方針の変更を決めました。

なぜ こんなことに?

 AETの派遣が決まった時、当時教育委員会のメンバーだったアパートの家主(当時市教委職員)がAETの住居を引き受けました。6万円の家賃を支払っても賃貸契約書は存在せず、なされるべき修繕もしてもらえないアパートでしたが、家主や市に引越しする事を報告をしなかったため、家主が憤慨、両市の関係者に抗議し、このような事態になったということです。

スーパーバイザーDさんの話

 AETスーパーバイザーのDさんは有名人です。高槻の子どもにフィットした英語を教えてくれるので、教員の間でも人気者です。彼は教育センター所属で、AETの指導、生活サポート、教員への研修、当初は子ども達の指導と、ものすごごい仕事量をこなして11年間働いてきました。しかし、市教委の雇い方に問題がありました。教育センターにDさんの机が存在し、Dさんの担当者N氏がメールで仕事を指示していたにもかかわらず、「Dは、業務委託(所謂一人親方。現場で仕事の指示はできない。)なので、うちで雇っている訳ではない」と、社会保険、雇用保険、年金の加入を一切してきませんでした。残業代等の諸手当も一切ありませんでした。Dの担当者だったN元教育センター長は、「Dの机はセンターにはない。Dと研修の話をしたことがない」と虚偽発言をしたそうです。
 そして、トゥーンバAETの廃止とともに、スーパーバイザーの必要がないとして、来年度の契約はしないと雇い止めを市教委が通達しました。もちろん、失業保険は給付されません。雇い止め撤回を求めていますが、市教委は高圧的です。

おかしい!!

 誰でも思うことだと思いますが、引越しをしたことと、事業そのものを廃止する関連性がどう考えても見つかりません。「これが日本ですから」と劣悪な住環境にひとを押し込める事が国際交流なのでしょうか?正しいことから目をそらし、AETやDさんを雇い止めにする理不尽を行う人間が「いじめをするな」と子ども達を諭すことができるでしょうか? 学労ネットは、3月19日に当時者である教育センターと話し合いを持ちます。 (長谷川)