2014年6月28日掲載
山田 肇
4月30日、私が属する学校労働者ネットワーク・高槻は、高槻市教委・教職員課に私の「戒告処分」取消を謝罪せよという交渉を行いました。
その場で、高槻市教委教職員課・横山課長は処分が取り消されても、私には「謝罪しない」と言い張りました。なんでや?「理由を述べよ!」と言っても、黙して語らない。沈黙では、埒があかず、もう一回、きちんと謝罪の場を設けよ!あるいは、謝罪しないというなら、「謝罪しない」という文書を出せ!ということで、とりあえずは、この日は終わりましたが、その続きの交渉が、5月22日にありました。
この日は、黙りがちな横山教職員課長の隣に、法制担当とかいう武林なる方が、でんと座りよくしゃべる、よくしゃべる。「あなたに聞いてるんじゃない。横山課長に聞いてるんだ。横山課長はどうなんだ?」と、何度、言ったかしれない。しかし、横山課長は出来るだけしゃべらないでおこうと決めているのか?なかなか口を開かない。それに代わって、即答してくるのが武林さん。
饒舌のなかに核心なし。冗漫のなかに思考なし。この「名言」をご存じか!だが、武林さんは、なかなかイキなことも言う。
「当事者である山田さんへの謝り方ってのがぼくらには分からないんですよ。・・・」
おっ!それは謝る気があるということやないか!謝る気はあるけど、「謝り方が分からない」ということですか!ところが、武林さんは、問題をはぐらかすためかどうか分からないが、こんな重大なことを平然と言うのですね。
武林さん、曰く・・・「違法なことをしたことは明らかですよ。違法なことをしたことによって何が傷ついたかと言うと、本来、処分されるべきでなかったのに、処分されたのか?処分に該当するのにミスったから、処分がなくなったのか?何をごめんなさいと謝るのか・・・教育委員会の議決がされていたら、処分はされていなかったのかなあ。」
おおっ、おおー!人事委員会が言う、「処分は取り消されたけど『君が代』で不起立した職務命令違反の事実は消えないぞ」という言い口になってきたぞ!ここまで武林さんの饒舌に静かに我慢していた私も、これには黙っているわけにはいかない。
高槻市教委は謝罪する気があるのか、ないのか
「教育委員会の議決があったかなかったか?そんなこと、今、関係ない。今、処分が取り消されたわけですよ。処分はなかったことになった。(このことは、あとで追及するとして)それで、さっき『謝り方が分からへん。』って言われたけど、謝る気があるのか、ないのか、どっちなんですか?」と、私は尋ねる。
ここで、武林さん、すぐ、また、答えようとする。しかし、あなたに聞いてるんじゃない。教職員課・横山課長はどうなんだ?謝る気があるのかないのか?と突っ込むと、横山課長、やおら、「前回、申し上げたとおり。」とぼそっと答える。
えっ!そんなん、謝る気がないということか!謝り方が分からないという以前の問題ではないか!じゃ、なんで、本人に謝る気がないのか?理由は?と聞くと、「事実誤認があって、誤って、処分をして、取り消されたわけではない。手続き上のミスだった。適正な手続きをしていれば、処分は取り消されなかった。手続き上のミスについて、教育委員会は市民の皆様にお詫びした。ですから、本人に謝る必要はないということです。」
ええっ、あの武林さんの饒舌は何だった?謝罪する気はないということやないか!だが、これには黙っている訳にはいきません。故・松下竜一さんが言っていた「ランソの兵」に志願しようと最近、考えてる私としては、ここで“啖呵”の一つもきらねばなりません。
・・・高槻市教委は、人事委員会と同じく、処分が取り消されても、「君が代」で不起立した「罪」は消えないと思っているかもしれないが、処分が取り消されたということは、処分がなくなったんですよ。処分がなかったとしたら、4月から私は再任用で週5日、働いてたんです。その再任用まで取り消されたというのに、それでも、謝らんでもいいのか?
処分がなかったことになったんやから、元にもどすのが、当たり前と違うんか!そして、その前に、まず謝らなあかんのと違うんか!処分がなくなったんやから!それを、なんで、本人に謝らへんのや!・・・
私の処分は取り消された!厳として、この事実は揺るがない!
ところが、いくつかのやりとりの後に、また、饒舌にまかせて、武林さんは宣う。「今回の『裁決』は、前半で、職務命令は憲法違反ではないし、地方自治法違反もないし、特定の組合差別もないし、と書いてるんですよ。」
ほんと、よく言うねって、もう、あきれはてる。いや、いや、これは、私の「処分」が取り消されたことが悔しくて仕方がないという高槻市教委の歯ぎしりか?「職務命令は合憲と言いながら、なんで、処分を取り消すの?」などと、いくら人事委員会への恨みつらみを並べようが、もはや、厳として、私の処分は取り消された!この事実は揺るがない!高槻市教委よ!いまや、君たちは如何ともすることはできないのだ!このことに、ほくそ笑みながら、しかし、武林さんの発言に黙っているわけにはいかない。
ここで、隣のMさんが、ばしっと一言。「『裁決』の主文は、どう書いてるんですか?」これには、饒舌の武林さんもグーの音も出ない。主文は、「戒告処分を取り消す!」これですよ!そこで、私が追い討ちをかける。・・・職務命令が合憲やからとか、そんなの関係ないんや。処分が取り消されたんやから。・・・そして、人事委員会の『裁決』の「主文に何と書いてるのか」これは、核心です。
高槻市教委が、どれだけ人事委員会に恨みつらみを言おうが、最高裁の判例があるのにと、泣き言を言おうが、「戒告処分を取り消す」という『裁決』は揺るがない。「形成効力」となって、処分は取り消された事実から、全ては始まる。
さらに、隣のMさんが舌鋒鋭く、追及された。
「違法を犯したのは、高槻市教育委員会でしょ。事務局が違法行為を行ったわけでしょ。その責任、どうなるんや!適法か?(武林さん、「適法じゃない。」と合いの手。)違法やろ!取り消されたんやろ!(武林さん、「はい、そうです。」と認める。)誰の処分が取り消されたんや!事務局のせいで!」
だんまりの横山課長をさしおき、またまた、武林さん、釈明の口を開く。「何月何日、・・・取消の裁決があったと、これは私どものミスでした。申し訳ありません、と。深く反省しています。その文書は誰宛ということではないですね。」
「誰宛ということではない」この許せぬ言葉をとらえて、「それを、組合と本人宛に出してくれと言ってるんや。」武林さん、「組合宛に出すかどうかは?」と、疑問を呈する。何という赤裸々な言葉!しかし、この疑問に容赦なく、私たちは追及の刃を向ける。
「当たり前やろ!」「それを最初から要求してるんやないか!」「我々は道義的責任もふくめて、教育委員会・事務局の責任を問う、と言ってるわけですよ。」
すると、武林さん、意外にも、「まあ、そしたら、ちょっと、お時間下さい。考えます。」とおっしゃる。私は思わず、「あんたは課長か?『お時間下さい』って、ええのんか?」と言うと、だんまりの横山課長が、やおら、「検討させて下さい。」と言う。「そしたら、4月30日から今まで、何を検討したんや?」と私は言う。その後、私たちが最初から要求していること、4月30日の交渉のことに話がもどり、いくつかのやり取りの後、武林さん、また、イキなこと、大事なことを言われました。
「謝罪文(案)を検討し事前に組合に提示する」
と高槻市教委は約束した!
「私の方は、山田さんに被害を与えた、ごめんなさい、というのは書かなきゃいけないと思いますけど、そのことは書きにくいんですよ。どんな風に書くのかね、ただ、私どもが誤って、こういう『裁決』が出て、取り消された、このことは、ひとえに事務局のミスである、申し訳ありません。これは、教育委員にしゃべってるのと同じように、誰にでも・・・」
「誰にでも」と言うて、本人は入ってないの?と私。そして、「山田さんに被害を与えた、ごめんなさい」という文書を書かなきゃいけないって、言われたんですよね・・・と確認する。だが、武林さん、「書かなきゃいけないと思ってて、それは書けないなあと思ってるんです。」「書けない、なんで?」
「うちがミスをして、処分が取消ということを招いた、そんなアホなことをした教育委員会は、ごめんなさいというのは言わなきゃいけない、当然のことだと思うんですよ。そして、損害賠償もふくめて謝らなきゃいけないのか?と。」
イキなことを言うと思ったら、話を「損害賠償」とか関係ないところに、武林さんは持っていこうとする。これは、誠実そうに見せながら、老獪な手口を隠しているのか?しかしながら、Mさんの舌鋒は、いよいよ鋭く、
「戒告処分は取り消された。なかったことになった。それはなぜか?事務的な手続きに重大な瑕疵があった。違法があった。だから、取り消された。その戒告処分の被処分者は山田さんです。他の誰も代わることはできません。そのことで、そちらの責任でもって謝罪文書を作成してほしいというのが、我々のそもそもの要求です。」
そして、「今、武林さんが言われたように、謝罪にやぶさかでないのなら、工夫されたらどうですか?」
と、武林さんの「老獪」さを突き破る言葉。
「戒告処分」があって、講師等に申し込む時、それを履歴に書かなあかんようになって、実損も被った。それでも、本人に謝らなくていいと言われるのか!事実は『裁決』の主文だけ!この事実は大きいですよ!
そして、交渉はまとめに入る。
「謝罪の文書を次回、ちゃんと出して下さい。」
ここで、私が確認をとる。「謝罪するという方向性っていうのは、間違いないんですか?課長!」
横山課長は、「謝罪の方向性は、今、武林が言うたように、我々として、何らかの形で検討せなあかんと思います。どういう中身になるかは、今、私の一存では言えません。」
ということでしたが、次のことを確認・要求して、この日は終わりました。
大阪府人事委員会における戒告処分取消の裁決を受け、
高槻市教育委員会事務局の責任を明示した謝罪文(案)を検討し事前に組合に提示する。その文案は事前にすりあわせをし成案化する。期限は6月6日までとする。
次回交渉には一瀬武教育長(6月16日までの任期)の出席を求める(組合)。
検討させて欲しい(武林)。 ((3)(4)は略。)
<追 記>
山田さんの件での「謝罪要求」交渉を4月30日、5月22日、6月16日と3回にわたって激しく行いました。最初の交渉では、横山教職員課長は「謝罪はしない。謝罪文はださない。」と拒否しましたが、2回目から総務課法制担当の武林が交渉に入り、「謝罪文を出す方向で考える。謝罪文案を組合とすり合わせ検討する。」と方向が変わりました。組合との調整の中で市教委から「謝罪文案」「修正案」が出され、組合は「謝罪文成案」を提示しましたが、市教委での決裁を得られず、不調に終わりました。これであきらめず、3度目の交渉で激しくやりとりをして、市教委の「修正案」に戻るところで協議し、最終の組合としての「謝罪文成案2」を突きつけ、再度決裁を求めることになりました。結果的にはこれも決裁を得られず、謝罪文は獲得できませんでした。
高槻市教委教職員課長は謝罪文の「修正できない理由」という文書を組合に出してきましたが、それによると、「手続き上の瑕疵のみを謝罪して」「処分取消の取消しとなったことを謝罪の対象から除外すること」はできないということでした。要するに「手続き上の瑕疵がなければ処分は有効だった」という本音が見えてきます。市教委は地教行法違反で敗訴したことが、余ほど「くやしい」のでしょう。山田さんが交渉の中で「処分の取消をあやまってもらいたくない。この項目はいらない。」と言ったのは、被処分者の慧眼だったとあらためて思いました。今後は定期大会の決定に基づいて提出している「要求書」による交渉がありますので、そこで継続して「謝罪文」を出さなかったことへの抗議及び山田さんの再任用を府教委に要望するよう要求していきます。また、山田さんの裁判の準備が始まっていますので、今後とも御支援をよろしくお願いします。 (松岡)