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山田処分の人事委員会裁決出る

2014年4月25日掲載

 3月24日付けで山田肇さん「君が代」処分について大阪府人事委員会から「裁決書」が送達され、「戒告処分については取消」、また「再任用合格取消処分の撤回については棄却」という裁決がなされた。
 裁決は、市教委の議決による適法な内申を欠いた懲戒処分であり、違法な戒告処分取消の判定は、地教委の処分内申手続きにおいて地教行法38条および26条違反がある、とした。これは申立人側から、愛知県人事委員会の判定及び最高裁判例を上げ、(この判例は春日井学校労働者組合の御教示によりました。感謝にたえません。)市教委の府教委への内申手続きの瑕疵を主張たもので、府教委側は「教育長の専決決済」で問題ないと反論したのだが、申立人側からの完膚なき反論により府教委の主張は退けられた。
 一方、再任用合格取消について、裁決は府教委の主張を全面的に採用した大変不当なものだった。その要点は以下のようなものである。

●再任用の判断は、一旦退職した教職員を再度任用するか否かの判断だから、新たな採用としての裁量権が認められる。
●戒告処分は取り消されたから戒告処分のあったことを再任用するかどうかの判断事由にはできない。
●不起立は争いがないから、職務命令に従わなかったこと、意向確認書を提出しなかったこと、市教委から顛末書の提出を求められたのにこれを提出せず、また、処分者が懲戒処分後に実施した服務規律に関する研修を受講しなかったという事情を総合的に判断し、再任用合格決定を取り消した判断に、裁量権の逸脱・濫用はない。
●平成24年1月16日最高裁判決が不起立を理由とする「停職1か月」の処分を取り消していることとの対比では、合格決定の取消しは、再任用についての裁量判断であり、懲戒処分と性質を異にし、新たな採用としての裁量判断として、前記最高裁判決と対比しうるものではない。
 
 < 再任用合格取消処分の棄却裁決への批判 >

○再任用は新規採用ではないし、本件はさらに再任用をするかどうかの裁量ではなく、一旦決定した合格を取り消すかどうかの判断であって、実際には免職にも等しい。
○不起立だけで免職になることはありえないし、できない。それを再任用にこじつければ、可能にする誤った判断である。特に、本件では、意向確認書を提出しなかったこと、服務規律研修を受講しなかったことを判断事由に挙げているが、これらはいずれも違法な戒告処分を前提にするものだから、これらを挙げることも誤っている。
○人事委員会が戒告を取り消したことは評価できるが、これはあまりにも当然のこと。文科省が本当に問題ないと言っているのかどうかは不明だが、今までもこのようにしてきたというのはそのとおりであろう。職員の身分に重大な影響を及ぼす懲戒処分を行うに当たって、法が定める手続きを守っていないというデタラメさが明らかになった。
○他方、再任用について新たな採用だからという理由で、再任用合格取消しを認めたことは、行政の判断を追認するだけのもので不当というしかない。

 今後、今回の裁定結果を跳ね返し、広範囲に運動を展開する中で、「再任用合格取消処分の撤回」と「戒告処分取消に伴う賠償請求」を軸とした裁判闘争を進めていく予定である。また、高槻市教委は、今回の裁定について市会議員に向けて配布した「本市小学校元教諭の戒告処分の取り消しに係る報道について」で、「なお、当時の事務手続きについて、問題であるという認識はございませんでしたが、今後につきましては、大阪府教育委員会と協議の上、対応してまいりたいと考えています。」としている。このような市教委の無責任な態度を指弾し、強く抗議を突きつけていく所存です。

(松岡)

2014年4月14日
高槻市教育委員会
教育委員長 中村公美子様
教 育 長  一瀬  武 様
学校労働者ネットワーク・高槻
執 行 委 員 長  松岡  勲

高槻市教委の重大な瑕疵によって

戒告処分が取り消されたことに対する謝罪要求

大阪府人事委員会は、3月24日付で「平成24年大人委(不)第4、5号事案」の「裁決書」を双方に送達した。そして、申立人側は3月27日に代理人をとおして受領し、「戒告処分」の取り消しが確定した。
裁決書によれば主文1で「処分者が、平成24年3月27日付けで申立人に対して行った戒告処分を取り消す。」と判定した。そして裁決書の「事実及び理由」で、高槻市教育委員会は処分内申手続きにおいて、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第38条第1項(市町村委員会の内申)及び第26条に違反する。したがって、高槻市委員会の議決がない教育長の専決決裁による内申は、重大かつ明白な瑕疵(違法)があるので戒告処分を取り消すと判定した。
新版基本法コンメンタール<地方公務員法>によれば、「判定の効力」(232頁)は、「判定は、当事者双方に判定書の写しを送達することにより効力を生ずる。まず、判定は形成的効力を有し当事者を拘束する(行実昭27・9・20自行公発53号)。したがって、判定の内容が処分取消である場合には、任命権者のなんらの処分をまつことなく、原処分のなされたときに遡って処分が行なわれなかったことになる(釧路地判昭30・4・6行集6巻4号1079頁)」。また「判定の結果」は、「判定の結果に関しては、(申立人には)再審の請求または訴訟の提起が認められている。なお、判定に対しては、任命権者その他の地方公共団体の機関の側からは、それに不服があっても出訴できない。」とあるので、戒告処分は2012年3月27日に遡って取り消された。
3月31日、高槻市教育委員会は教育指導部名で「本市小学校元教諭の戒告処分の取り消しに係る報道について」との文書を市会議員に向けて配布した。その中で「当時の事務手続きについて、問題であるという認識はございませんでした」と釈明している。もしも「問題であるという認識がなかった」で済まされるのであれば、違法行為を犯したが「知らなかったので仕方ない」と言うに等しい。高槻市教委が地教行法38条等に違反した内申手続きが原因で戒告処分がなされたのであるから、高槻市教委に重大かつ明白な瑕疵があったことは明らかである。また高槻市においては、府費負担教職員に係るすべての懲戒処分が今回と同様、高槻市委員会の議決なしに教育長の専決決裁による内申によって懲戒処分がなされていたと疑わざるを得ない。
市会議員向け文書を発行した教育指導部は、4月30日までに処分内申の専決決裁を行った一瀬武教育長と当時の実務責任者であった能村昌人校長が同席し、当該組合員はもとより当組合に対して説明する場を設け直接謝罪すること。また、謝罪文書を直接手交することを要求する。
以上