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不起立処分の不服申立審理が始まる

2012年7月10日掲載

学校労働者ネットワーク・高槻

 大阪府下での今春の卒・入学式の不起立処分状況は、卒業式では府立高校27名、府立支援学校2名、市町村立学校(豊中・高槻・茨木)3名、大阪市立学校3名(1名は文書訓告)、再任用取り消し処分は府立学校1名、市町村立学校(高槻)1名、入学式では府立高校2名の多くに上りました。ホットライン・大阪の連絡のつく被処分者7名が大阪府人事委員会に懲戒処分、再任用取り消し処分について不服申し立てをしました。
 そのトップを切って、3月30日に高槻の山田さんは懲戒処分、再任用取り消し処分について大阪府人事委員会に不服申し立てをしました。申し立ては4月16日に受理され、その後、大阪府教育委員会の答弁書が届きました。
現在、代理人に永嶋靖久弁護士を専任し、反論書を鋭意作成中です。今後、文書のやり取りがしばらく続き、やがて本格的な人事委員会審理となりますので、是非ともご支援をよろしくお願いします。

『ささやかな抵抗』から『闘い』へ・・・      山田 肇
 6月15日は高槻教組(連合系)の定期大会。そこに、『たしかな灯り』が未来をつくり出す!とタイトルをつけたビラをまきに行った。新聞では、「高槻市で不起立一人」と報道されたけれど、どこの誰がどんな思いで『君が代』で立たなかったのか知っている人が少ない。僕の思いと府教委の戒告処分、再任用取消しの不当性を訴え、支援をお願いするとともに、「教育3条例下の攻撃や『日の丸・君が代』の強制に対して、共に闘いましょう!」と呼びかけるビラだ。若い教師や旧知の人々、400人ぐらいが、快くビラを受けとってくれた。
 そして、6月16日、戒告処分、再任用取消しの不服申立書に対する処分者=府教委の答弁書が届いた。これに対する反論書(案)を1週間かかって書きあげた。『君が代』不起立は、職務命令違反であり「非行」「信用を著しく失墜ものであり戒告処分とする」という答弁書に対して、反論書で職務命令と戒告処分は憲法19条の思想・良心の自由に反し、違憲・違法なものであると述べた。職務命令は「思想及び良心の自由を侵すものではない」という最高裁判例は出ているが、それは憲法19条を思想弾圧を禁止する条文と捉え『君が代』起立命令を合憲としたのであって、最高裁は良心の自由については何らの判断も下していない。(『世界』5月号の早稲田大学教授の西原博史氏の論文参照)それで、子ども達に言ってきたことを教師が行う「教師としての良心の自由」、また、「教え子を戦場に送らない」は「教師としての良心の自由」(良心の義務と言ってよい)があり、憲法19条はその「良心の自由」を保障していると書いた。さらに、高槻市教育委員会議の議決がないという戒告処分に対する手続き上の不備も突いた。
 さらに、僕の教育活動の一端を示す校長の評価は「不知」とし、『君が代』で座ったこと、戒告処分、府教委の事情聴取や研修や「職務命令に従う」という確認書等の拒否を理由として「勤務実績が良好でない」と再任用を取り消したのは妥当だとする答弁書に対して、本年1月16日の最高裁判決は「戒告処分」以上の処分は重すぎると言っているにもかかわらず、再任用取消は事実上の免職という最高に重い処分であり、裁量権の逸脱・濫用だと書いた。
 『日の丸』『君が代』は教師として人間としてどうしても許せず、また、自分が言ってきたことを自分で裏切るのはいやなので、『ささやかな抵抗』ではあるが静かに座った。これを今から『闘い』にしていきます。5月に永眠された家保達雄さん、天上から見守り「風となって」応援して下さい。いや、共に闘ってくれていると思います。