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葬られたアスベスト含有実験用金網

2011年11月27日掲載

 今年の正月明け、高槻市の全小中学校の理科室から、実験用金網が回収された事をご存じでしょうか。
 回収された金網のうち、1校のナリカ製セラミック付金網(8枚)から、17%のトレモライトが、6校のケネス製セラミック付金網(18cm規格・合計90枚)から、20%弱のトレモライトが検出されました。このパーセンテージは、JIS規格の0.1%未満をはるかに上回っており、トレモライトは、最も発がん性が強い青石綿と同等とされています。
 この事実は、1年近くたった今も、いっさい学校現場に知らされておりません。
(長谷川洋子)

 今年2月の定期交渉で、総務課は「回収された実験用金網の検査結果は必ず伝えます」と回答しました。が、9月に入っても連絡が来ず、台風休校の午後、総務課に結果を聞きに行きました。その日以降の経過を述べます。





1)市教委総務課 橋口氏の話 (9月21日)
◎回収経過・・ケニス(株)、鳥羽商会(株)の取り扱う「セラミック付金網」
(以下、金網)に厚労省の基準値を超すアスベスト含有がわかり、文科省、
大阪府教委を経由して、市は、全小中学校分の金網を回収した。

◎1月28日付 市教委宛 サンエー産業(取引会社)の文書より(抜粋)
 回収対象校 7校(ケニス、鳥羽商会の取り扱い商品)
第二中学校18cm角  10枚   第三中学校18cm角  20枚
第八中学校18cm角  10枚 芝谷中学校15cm角  10枚
津之江小学校18cm角 20枚 西大冠小学校18cm角 10枚
阿武山小学校18cm角 20枚
(この文書は、校長に配布されたそうです)

◎ナリカ製金網でアスベストが検出された学校(上記文書に、後日メモ書き)
磐手小学校  8枚

 残りの52校の金網は大丈夫だったのか尋ねたところ、「古すぎてメーカーのマークがはっきりせず、業者に送れず前島クリーンセンターで焼却しました」との返答。驚きました。私の学校の金網も大変古いものでした。危険でないことを前提に使い続けて来た訳で、アスベストが入っていたと仮定した場合、おそろしいことが想定されます。「なぜ検査せずに焼却したのですか?子ども達や該当教員の健康チェックはしないのですか?」と追求しても、橋口氏は、だから新しいのと替えただろうとか、前島ではきちんと処分してもらったとか、健康面は教職員課の担当だとか、お話にならない対応です。教職員課と話をしてほしい、と要望して帰りました。

2)総務課 橋口氏の電話回答(9月27日)
「ケニスに電話で尋ねたところ、『含まれているアスベストは1%未満で、健康には影響しない』ということでしたので、教育委員会も、健康には影響しないと判断しました。」との回答。私が「えっ、アスベストの基準値は、確か、0.1%未満だったんじゃないですか?」と聞き返しても、前言をくりかえすだけで話は終わりました。
 これは確実におかしい。業者に直接問い合わせることにしました。




3)ナリカ 小野氏のメール回答(10月31日、11月1日) 
◎磐手小の金網には、17%のトレモライトが含有されていた。
◎トレモライトについて・・・厚生労働省で、規制対象となるアスベストに指定されている。石綿(アスベスト)の種類にはクリソタイル(白石綿)、クロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)、トレモライト・アンソフィライト・アクチノライトの6種類があり、これらすべての種類の石綿を0.1重量パーセントを超えて含む物を石綿障害予防規則(石綿則)等の規制の対象としている。(以上、抜粋)

4)ケネス カンバラ氏の電話回答(11月2日)
◎15cm規格の金網(上記1校)は、0.l%未満のアスベスト含有。
◎18cm、21cm規格(上記6校)は20%弱のトレモライトを含有。 
 健康への影響について両社から聞くことができなかったので、消費者センター、高槻市の保健所、大阪府に問い合わすことにしました。





5)保健所 保健部氏原氏の話(11月9日)
◎アスベストの健康被害について、建築物でのデータはあるが、備品対象は現在ない。「折る、曲げる」なとで、アスベストが飛散したり、熱した時に舞い上がることは考えられる。
◎平成18年当時は、重量比1%未満基準だったが、20年から0、1%未満がJIS規格の基準となっている。(=総務課の回答はまちがっている)

6)大阪府環境農林水産部環境管理室北大阪地域指導グループ 奥田氏に連絡(11月9日)こちらも金網について情報がないようでしたが、詳細を話すと、少々時間がかかるかもしれないが調べますとの事。奥田氏は、最初、過去の話と受け取られたようでしたが、今年の話とわかって驚かれたようでした。




7)公文書公開請求(11月16日)
 総務課が私をごまかしたのか、総務課が誤解をしているのかわからなかったので、以下の文書を公文書公開請求しました。  文書。





 17%~20%弱の発がん性の強いアスベストを含んだ金網を長年使い続けたら、どんな健康被害があるのか?私は理科専科教員をしていますので、できる限り追求したい。しかし、市教委こそ、調べる義務があるのです。交渉を通じてかれらの義務を徹底的に追求します。また、どんな深刻な情報でも、金網を使った子ども達、その保護者、教員に知らせる義務が市教委にはあります。健康に関する情報公開を怠ると、原子力保安院の愚かな二の舞になりかねません。
 健康に問題がないなら結構!あるなら具体的な対処をしっかりやってもらいたいものです。