2011年10月16日掲載
今年の中学校教科書採択結果(社会科)は、公立学校において自由社版教科書の採択はありませんでしたが、育鵬社版教科書が横浜市をはじめとして採択が増えました。沖縄の八重山地区では未だ採択が決まらない異常事態になっています。また、大阪府では東大阪市が育鵬社版公民教科書を採択する憂慮すべき事態になりました。
高槻市では、前回の中学校教科書採択(2009年)で選定委員会答申が「一時保留」になる番狂わせになりましたが(再審議で答申通り決定しましたが)、今回はそのような事態はありませんでした。採択結果は、自由社、育鵬社は採択されず、地理−東書、歴史−教出、公民−日文、地図−帝国でした。
ただ、今回の教科書採択で問題と感じたのは次のことです。これまで9月1日以前は全面非公開だったものを、今回から採択途中でも公開出来るものは公開すると高槻市教委に約束させ、3度公開請求しましたが、3回とも部分公開でした。そして、文部科学省、大阪府教委で公開された文書以外の高槻市教委が独自に作成した文書はほとんど公開されませんでした。
1)第1回選定員委員会部分公開分(5月30日付)
これまで文部科学省及び大阪府教委が今年度教科書採択に関係して出した文書がほとんどでした。高槻関係で出たのは(1)調査報告書用紙、(2)墨塗りされた調査委員会、選定委員会日程のみでした。その他に委嘱状、誓約書、諮問書がありますが、これは欲しい情報ではありません。ここであきれたのは、高槻市独自の教科書選定方針がないことでした。また、最初の選定委員会にも関わらす配布文書中に選定委員名簿もありませんでした。
2)第2回選定委員会部分公開分(7月11日付)
調査報告書、学校意見書は非公開でした。大阪府教委の教科用図書選定資料(中学校用)は既に大阪府教委で公開済みのものでした。(教科書採択に関する「要望書・請願書」については、個人情報が墨塗りになっていましたが、異議申立はしませんでした。)
3)第3回、4回選定員会部分公開分(7月20日付)
この場合が一番ひどく、実際に入手できたのは上記委員会の式次第と参考資料のリストのペラ1枚でした。そして、答申(案)が非公開でした。
これでは「密室審議」であり、何が決められてもおかしくありません。それで、7月25日に、異議申立てをし、全部公開を求めました。その後、9月1日に教科書採択関係情報は解禁されましたが、もとの部分公開処分の取り消しを求めることにしました。そして9月9日に市教委の「釈明書」が到着し、9月22日に「反論書」を提出しました。「反論書」では、情報公開の原則的な考えを述べ、高槻市と比較して大阪府・大阪市の方が、まだ教科書採択に関する情報公開が進んでいることを例証しました。また、意見陳述を求め、補佐人には大阪府、大阪市でこの件の情報公開をしているIさんにお願いしました。意見陳述は11月頃になる予定です。(松岡)
大阪各地の採択状況(9月1日現在)をPDF書類で表示します。>>>こちらをクリック。