学労ネット

『高齢者部分休業』という働き方

2010年6月6日掲載

 2010年度4月から『高齢者部分休業』取得という働き方に変わった。
 30歳の時、55歳から給付金の出る保険に入り、55歳で退職すると決めていた。とても体力が持たないだろうし、そこまで働けば充分じゃないのという気持ちだった。ところが、とっくに家からいなくなっているはずの2人の息子は、未だ宙ぶらりんのかたちで居ついているし、元気だった母も体調をくずすことが増えてきた。(昨年度後半からは、介護休暇を取ろうかと悩みながらの毎日で、結局は、毎日1時間休を取るという形で対処してきた)つれあいは、60歳定年まで働き、教育専門員をしているが、今年度で終わりになる。30歳代で描いていた未来予想図とは、えらく違ってきた。「退職だ」と決めた歳になったが、そうもいかなくなり、『高齢者部分休業』を利用しようと考えるようになった。しかし、利用者はごく僅かで、ほとんど未知の世界であった。吹田の増田さんに情報提供やアドバイスをして頂き、手探りで進めていった。

◆承認に校長の恣意的な判断が入る可能性あり
 申請を申し出て、校長がこだわったのが、『所属長は、公務の運営に支障がなく、部分休業を申請する理由が公務の信頼性を損なうおそれがないと認める場合において承認することとします』という部分であった。定数内であるにも拘わらず週3日勤務で、担任は持てない。それが定年まで続くわけである。自分(校長)が承認することで、後々支障が生じないかとの不安を何回も口にしていた。誰でも承認されるんじゃあなかったのか?!「校長先生があかん、と言ったら承認されないんですか?」と聞くと「それはない」様な・・・。「担任外だったら何ができるのか」など、何回かの話し合いを経て、申請書をくれた。
 そして、承認はされたが、期日遅れの口頭だけでの報告だったり、承認書が渡されても休業曜日や休業時間の書類がなかったりで、何度も校長室を訪問しなければならなかった。担当は、昨年度からの引き継ぎもあり支援学級(担任外からの校内操作)となった。

◆休業日の代替が、「時間講師」で配置されている事
 新年度直前に代替の「時間講師」が配置された。「時間講師」なので授業時間単位で、年間のコマ数が決まっている。日々の引き継ぎや打ち合わせ、校内の会議に出る時間はない。水・木・金曜日に代替に入ってもらうが、コマ数の関係で、水曜日分は1月の途中でなくなる。私の辞令は4月1日付なのに、配置は4月8日から。また、引き継ぎ等の時間が保障されないということは、支援学級担当にとって致命的な問題である。そして、校務分掌においては代替にはなりえない。代替が「時間講師」という配置では、多くの問題点がありそうだ。

◆休業日の出勤とその振替について
 ふりかかってきたもう一つの問題は、休業日に出勤せざるを得ない時があるということであった。まず、年度初めの4月1日、2日。この日は、担任決定や校務分掌決定など1年間の主なことが決定される重要な日である。私は休業日だったが、出勤が必要であった。替わってもらおうにも、代替者の配置はまだなかった。そして4月8日始業式。初出勤の代替者に、初めて会う支援学級の児童をみてもらうのは無理があるので、この日も出勤した。次は、1回目の参観日。この時は、2人の休業日を入れ替えて出勤した。校長には、年度初めに「休業日に出勤せざるを得ない時があるが、どう対処するのか」と聞いたところ、「振替をしてくれ」という回答だった。しかし、校長が振替日を指定することはなく、その後もまだ振替は取れていない。今後も行事などの関係で、こういう事態が発生することは大いにある。

◆仕事量と校務分掌の問題
 私の場合、週3日勤務で、書類上は担任ではないが、支援学級での昨年度からの流れもあり、実際は担任と同じ仕事内容・仕事量をしている。また、小学校は教科担任制ではないので、児童や保護者への関わりを3日・2日で分けるという訳にはいかない。休業日前には、スムーズに代替者にバトンタッチするため、休業日を見越した先々の段取りと、細かい引き継ぎ用のメモとスケジュール作りに追われる。3日間で1週間分の仕事を段取りしなければいけない。校務分掌もフルタイムの職員と同量である。しかし、休業日にある会議には出られず、講師の代替もないが、分担だけはまわってくる。3日間勤務の適切な業務量は、どれだけなのか。

 いろいろな課題を抱えながらのスタートで、『高齢者部分休業』を取得したという実感は、なかなか持てなかった。やっと本来の休業日が休業になったのは、4月の半ば過ぎ。まだ生活のリズムが波にのっていないので、何曜日なのか分からなくなり、少し混乱したりもしたが、母親に向き合え、時間的にも精神的にもゆとりが生まれると感じられた。
これから、校長交渉や市教委交渉をしていく中で、今ある課題を少しでもよい方向に変えていけたらと思っている。



(参考)>>>「2010年度労働条件に関する要求書」(PDF)はこちら...