学労ネット

風向きが変わりました!
第2回控訴審報告

2008年9月6日掲載

 8月29日午後4時より、休憩時間訴訟の第2回控訴審が開かれました。その前の1時15分より、大阪市の新任免職裁判高裁判決があり、「原判決を取り消す。免職処分は違法」という逆転全面勝利判決が言い渡されました。「裁判って、こんなこともあるんだ!」と感動しました。そのあとの私たちの裁判はさてどうだろう?第1回控訴審の裁判長の訴訟指揮から予想して、「次回結審」が通告されるのではないかと不安でした。
 ところが、あにはからんや、ちがいました。「ツキが私たちにもまわってきた!」と思わせる結果でした。裁判は通常通り、控訴人、被控訴人(大阪府、高槻市)の準備書面、控訴人の書証、証拠申出書、証人採用要望の上申書などの確認から始まりました。被控訴人の準備書面があまりにも「ひどいもの」なので、控訴人から口頭で批判をしました。裁判長は、我々の主張に対して、「はい、どうぞ、どうぞ。」といった雰囲気で、控訴人の発言に耳を傾けていて、「前回とはえらいちがいや・・」と思わせられました。まず、末広から被控訴人高槻市の準備書面で、控訴人末広の勤務実態調査票(2008年6月16日~7月11日)に関して、「本件控訴審において有利に審理を進ませんがために意図的に作成された信憑性に疑問があるもので俄に措信し難いものである。」との主張に対して、「提訴時と現在とも休憩時間が取れない実態は変わりがなく、そう言うならば市教委の手で実態調査をしていただきたい。」と迫りました。また、松岡からは被告高槻市の準備書面で「7年目の休憩時間試行」について、「休憩時間の時間帯の設定や分割付与などについて、控訴人らは本件訴訟外でこれを認めない姿勢に終始していることから、未だその時間の設定が流動的で、分割付与の採用が決まっていないという意味に過ぎず、このことをもって管理懈怠があるというのは我田引水という外ない。」と主張するが、これは「試行7年目」の労基法違反の責任を控訴人に転化し、「控訴人らが訴訟をしたから「試行」が続いているともとれる主張であり」、服務監督責任を放擲するする無責任極まりないものであると、末広の発言に重ねました。また、被控訴人大阪府の準備書面での「校長の黙示の命令により休憩時間中に職員会議が開催された場合は、職員会議を開催した時間について休憩時間の明示は撤回されたことになるため、当該時間は休憩時間でなく、正規の勤務時間に変更されたことになる。」という主張は「労基法第34条をないがしろにするものであり、とうてい認められない。」と批判しました。
 そのあと、裁判長から被控訴人大阪府の筒井弁護士に対して、きびしく突っ込んだ質問がありました。裁判長の質問に答える被控訴人弁護士の動揺は手に取るように見え、控訴人と傍聴者は「風向きが変わった!」と内心感じ、「快哉」と叫んでいました。以下、そのやり取りを再現します。

井垣裁判長
「被控訴人に質問ですが、職員会議が<休憩時間>に行われた時、休憩時間の振り替えについては、どうしていたんですか?」
被控訴人大阪府筒井弁護士
「その日の勤務時間の中で取るようになっています。」
井垣裁判長
「それは、きっちり時間を指定したんですか。それとも各自の判断で取るように指示していたんですか?または一般的に言っといて、あとは取っているだろうということだったんですか?」
筒井弁護士
「それは、原審の中で明らかにしております。」
井垣裁判長
「原審の中って、誰が言っているんですか。これは肝心なところですから、そこをはっきりしておかないと。」
筒井弁護士
「ええっ・・・、ではまた後日、書面で明らかにいたします。」
(いつも動じない府の弁護士が、ハトが豆鉄砲くらったような顔をしていた。)
井垣裁判長
「いつまでに?」
筒井弁護士
「1か月くらいで。」(9月末提出を確認)
井垣裁判長
「控訴人はそれに反論しますね。」
控訴人松岡
「えっと、高槻市も書面出すんですか。」
井垣裁判長
「どうしますか。」
筒井弁護士(被控訴人高槻市寺内弁護士を促して)
「別々に出します・・ね。」
(寺内弁護士がうなづく。)
被控訴人松岡
「それでは、それを見て、10月末に反論書を提出します。」
(このあと、日程調整に入った。)

 なお、証拠申出書の証人採用に関する結論も次回控訴審で出ることになりました。明らかに今回の弁論は「風向き」が変わりました!それには、龍谷大学法科大学院萬井隆令教授の鑑定意見書及び全学労組増田賢治代表の意見陳述書が裁判長の訴訟指揮に大きな影響を与えたと推測されます。御多忙にも関わらず、急ぎ執筆いただき、感謝に堪えません。ほんとうにありがとうございました。
 9月末に提出される被控訴人大阪府、高槻市の準備書面を見て、控訴人側はその批判検討作業に入り、10月末に準備書面を裁判所に提出します。弁論後のプロポンーセンターでの会議では、その方向性についてみなさんにご意見をいただき、議論しました。
 次回、第3回控訴審は、11月19日午後3時より、大阪高裁73号法廷で行われます。この弁論で、被控訴人を追いつめ、私たちも高裁での判断を逆転させるべく、頑張りますので、次回の傍聴とご支援をよろしくお願いします。(松岡)