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休憩時間訴訟 第15回口頭弁論報告
次回結審(8/27)!

2007年5月27日掲載

被告山口校長への反対尋問
 5月16日の第15回口頭弁論は、原告の病気で延期になっていた被告山口元大冠小学校長への反対を原告松岡・末広の担当で行いました。被告山口校長の前々回での本人尋問では、反対尋問がなかったので、油断があったのか、原告側にとっては大変好都合な(おいしい!)陳述記録を残してくれたので、これを利用して反対尋問で突くことにしました。
 尋問調書で山口校長が述べていたことを上げると、
・「教職員は休憩時間を取れていない様子だったか。」という被告側代理人の問いに「はい」と山口校長は答えたこと。
・休憩時間に机に向かっている教職員を見掛けた場合、積極的に休憩時間を取りなさいという声掛けをしたかとの被告代理人の問いに「積極的にはなかった。」と答えたこと。また、「時には、休憩やでというような声掛けはしたことは若干ある。」と答えたこと。

 私たちの反対尋問は上記の発言を調書で確認済みとして反論を許さず、原告長谷川の勤務校だった大冠小学校では休憩時間が保障されていなかったこと、また、校長には休憩時間を保障する責任があるにもかかわらず、その責任を果たしていなかったことを明らかにしていきました。
 大冠小学校での2002年度の休憩時間取得実態(甲2号証)は、「Cほとんど取得できなかった、D全く取得できなかった及びE無回答の合計は76.2%」であり、職員は休憩時間が取れないまま働いたことになること、また、休憩時間の取得実態が低いのは「職員の意識」の問題と言い逃れる山口校長の主張を反対尋問で追及しました。「職員の意識」が低いことが原因ならば、「2003年度に職員の意識を高めるようにどのような対応策を具体的にとったか?」との問いにはまったく答えられませんでした。また、2003年度になぜ休憩時間取得実態調査をしなかったのかの尋問にも「市教委の指示がなかった。」としか答えられませんでした。
 さらに、「休憩時間を取りなさい。」といつ誰にどんなときに言ったのかという反対尋問には、山口校長は「よく覚えていない。」という答えでした。それでは、「年に何回ぐらい言ったのか?」と突っこまれると、苦しまぎれに「3、4回言った。」と答える始末でした。また、原告長谷川に「声掛けをしたか?」の質問には、山口校長は「しなかった。」と答え、「それではなぜ声掛けをしなかったのか?」と問うと、「長谷川さんは意識が高かったから。」と笑ってしまうような返答でした。以上の反対尋問に被告側弁護士も危機感を感じたのか、被告側の最後の総括尋問で「3、4回と言われたけれど、少なすぎませんか?」と誘導尋問をするという体たらくでした。
 総じて、今回の反対尋問は、これまでの失敗もふくめた尋問の反省や経験を踏まえ、被告側を追いつめることができたと思います。

研修権に関する山口校長の偽証
 被告山口校長は本人尋問で、原告長谷川の夏休みの勤務状況について、次のように述べています。「別に、積極的に夏季休業期間、勤務するという状態はありませんでした。まあ、ほとんど見ないという状況でございました。」と。これは長期休業中に研修権があることを無視し、原告が夏期休業中に学校に出勤せず、サボっているかのように印象づけようとする発言でした。これ以外にも有給休暇取得状況ついて同様に悪印象を裁判官に与えようとした例があり、被告側弁護士のあくどい戦術です。
 また、研修権について、山口校長は調書によると次のようなことも言っています。「その当時は、自宅研修という、そういう制度、今も、まだ若干やっているという声も聞いておりますけれども」と被告代理人に答えました。弁論の本筋ではないが、この認識まちがい!を追及することにしました。
 今回の反対尋問では、(1)勤務場所を離れた研修は認められていること、(2)本裁判の休憩時間取得とは全く関係のないことをはっきりさせることをねらいました。ところが、被告側代理人の質問に答えて、被告山口校長は「法律(「教育公務員特例法」も答えられなかった!)はあるが、『自宅研修』はなくなった。」と答えました。研修は年々取りにくくなっており、取る人が少なくなっている現状ではあるが、『なくなった』というのは全くのうそ(偽証!)である。しかし、「なくなった。」と言い出すとは予想もしていなかったので、充分な追及をできずじまいで終わり、裁判官にも質問の意図が伝わり切らなく、残念な思いを残しました。
 そこで、裁判が終わって、この「偽証」を追及することにしました。弁論の翌日の5月17日に、「昨日の山口被告の証言は、事実とちがい、偽証である。裁判所としてどう対応してくれるのか?!」と裁判所書記官に「研修承認願」に「研修場所 1自宅」があることを示し、掛けあいました。書記官は細川裁判官と相談してくれましたが、「上申書」あるいは「意見書」として出すか、最終準備書面で書証としてこの件を出すかのどちらかであるとの返答でした。もうひとつ言っていたのは「偽証罪」として提訴することです。(刑法第百六十九条【 偽証 】法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処する。)
 また、5月22日にタイミングよく市教委交渉がありましたので、「勤務場所が自宅」という研修はなくなったのかと問いただしましたが、市教委は「なくなっていない。」と確認しました。それでは、あきらかに「自宅研修」が現在もあるのにも関わらず、被告高槻市側の証言で被告山口校長が「自宅研修はない。」と答えたのは、市教委の責任であり、服務監督権者としてこの事実誤認と偽証について正す責任があることを求めました。その結果、市教委は市教委総務(裁判担当)と相談し、被告側から証言を訂正をするかどうかの検討をし、5月末までに返事をすると約束しました。この返事を待って、次のアクションを起こすことにします。今回の山口校長の証言はいろいろと「おいしい結果」を残してくれました。

 次回結審(8月27日午後1時15分)
 さて、弁論の最後に今後の審理についての裁判所の結論が出ました。この裁判で原告側が証人採用を求めている提訴当時の市教委元教職員課長2名の証人採用がなされるかどうかでしたが、残念ながら採用されず、原告・被告とも最終準備書面の作成・提出、次回結審となりました。原告としては、2ヶ月の期間を準備書面の作成に全力をあげ、万全の体制で結審を迎えたいと思っています。
次回第16回口頭弁論は、8月27日(月)午後1時15分より大阪地裁809号法廷です。夏休み中でありますので、多数傍聴に来ていただけますようにお願いします。
(松岡・末広)