2006年6月2日掲載
昨日、勤務条件に関する市教委交渉がありました。
私たちは従来から休憩時間取得実態調査、退勤時間調査等を要求してきたのですが、市教委は一向に腰を上げようとせず、サボタージュを続けてきました。
その要求に対して、市教委の組合窓口が「市職員にこれ以上の余分な仕事はさせたくない」と言いました。それに抗議した怒った僕らに謝罪して、これは取り消しましたが。市教委の無責任さにあきれました。
そこで、市教委が持ち出したのは、文部科学省の「教員の勤務実態調査」でした。「文部科学省の調査が下りてくるかもしれないから、独自な調査はやりたくない」ということです。ほんとうにいい加減。
それで、文部科学省の「教員の勤務実態調査」を調べて見ました。驚くなかれ、文部科学省は40年間も教員の勤務実態調査をしていないのです。
この40年前の教員の勤務実態調査は教員の時間外勤務をわずか4%の「教職調整額」でごまかし、超勤手当の支給をしないために(そのデーターを取るために)なされたものです。これは教員の持ち帰り仕事がカウントされていないとか、クラブ指導時間は入っていないとかの代物でした。その後、「給特法」(教育職員の給与特別措置法)が成立しました。
さて、40年ぶりの「勤務実態調査」は、文部科学省関係の「人件費攻撃」をかわすために考えられたもののようです。「教員はこんだけ働いているから人件費削減は避けてください」という抗弁のための調査です。教員の超過勤務と過労死の激増状態を真剣に心配したところから出てきたものではありません。なんとも動機が不純。
しかし、そのような限界があるものの、40年前の「教員の勤務実態調査」は教員の超過勤務実態を不充分ながらも明らかにしましたし、今回の調査もその後の「教育改革」の進行のなかでの超過勤務のすさまじい実態が浮き彫りになるでしょう。
40年ぶり、教員の勤務実態調査へ
文部科学省は28日、小中高校などの教員の労働時間や超過勤務の状況について全国調査を行う方針を固めた。国がこの種の調査を行うのは1966年以来40年ぶり。
高過ぎるという指摘のある教員の給与水準が適正かどうかを判断する資料にする目的で、今秋の調査結果とりまとめを目指す。
調査は全国の公立小中高校や養護学校などに勤務する教員約90万人から抽出した十数万人規模で行う見通しだ。具体的な項目は年度内に詰めるが、〈1〉通常の勤務時間〈2〉超過勤務時間〈3〉超過勤務の理由(放課後指導、教材研究、部活動指導、会議など)――を中心に調査する方針だ。テストの採点を自宅で行うといった「持ち帰り残業」の実態についても調べる方向だ。
また、「先生たちも夏休みの間は休んでいる」との誤解も多いことから、夏休み中の勤務状況についても初めて調査する。
教員の勤務実態調査が40年間も行われなかった背景には、日教組が「管理強化につながる」などとして強く反対してきた経緯がある。しかし、組合員から「教育現場で過重な負担が教職員にかかっている実態を明らかにする必要がある」などの声が上がったことから、日教組自身が93年からほぼ2年に1度、実態調査を実施している。2004年調査では時間外勤務の合計は1日平均2時間9分、1か月換算で約43時間と、厚生労働省調べによる同年の全産業平均(10・3時間)の約4倍となっている。
教員給与は一般行政職より優遇されていることから批判され、公務員の総人件費改革の一環として来年度、見直しを検討することになっている。文科省や自民党の文教族は見直しに反対しており、調査の実施には「基本的に残業手当が付かない教員の給与が、勤務実態と比べて高いのか低いのかを示して国民の理解を得たい」(文科省幹部)との思惑もあるようだ。
(2006年1月28日 読売新聞)
プログ「教育ニュース観察日記」より。
http://cala99.at.webry.info/200605/article_2.html
教員の残業・超過勤務
<< 作成日時 : 2006/05/22 22:10 >>
教員は忙しいのか、本当に給与をもらいすぎているのか。評価はさまざまですが、まず学力問題と同じで、実態把握がなければお話になりません。ということで、今回は教員の労働時間についてです。
◎「超勤」1週間で平均15時間、文科省試行調査(日本教育新聞5月22日) 文部科学省は4月に実施した教職員勤務実態調査の試行調査の結果をまとめた。
超過勤務の1週間の平均時間は1人当たり15時間を超え、持ち帰り残業も約5時間に上り、1週間で60時間を超える教員もいるなど、深刻な勤務実態が浮き彫りになった。
この前のエントリーでも紹介しましたが、公務員制度見直しの一環として文科省は教員の勤務実態調査を全国数万人規模で6月から半年間実施することにしています。この実態調査のための試行調査の結果が公表されました。試行調査の内容は、今年4月6日から1週間、関東圏の5都県を対象に小・中学校各10校、517人の教職員(事務職含む)を対象に行ったものです。
その結果は、、、、、、
●超過勤務時間(土日含む)は、
1週間で小学校が14時間3分
中学校が16時間41分
●持ち帰り残業が
1週間で小学校が5時間53分
中学校が3時間44分
●最も長い超過勤務時間と持ち帰り残業の者は、
1週間で超過勤務は小学校が53時間0分、中学校が63時間10分
持ち帰り残業が小学校が31時間40分、中学校が26時間50分
ちなみに厚生労働省の月間勤労統計によると、今年3月の結果は、
1カ月間の所定外労働時間が平均10・9時間
うち製造業は平均17・0時間
サービス業は平均13・9時間
となっています。もちろんこれは1カ月間で、1週間ではありません。
つまり、教員は残業が多いとされる製造業の1カ月分の所定外労働を1週間でやっているということになりす。
それにしても、土日休日だと仮定すると、1日で小中学校ともに3時間程度の残業を毎日した上に、家庭に帰ってからも1時間程度仕事をしていることになります。
しかも、教員は残業手当なしでこれをこなしているのです。
このような勤務実態(あくまで平均です、もちろん超勤、持ち帰りともゼロという教員もいます)が、残業手当の出る他の公務員一般職と比べ、さらに民間企業(その内実はさまざまですが)と比べて、どう評価されるべきなのでしょうか。