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休憩時間訴訟 準備書面(4)=大阪府編=

2005年3月21日掲載

平成16年(行ウ)第50号 賃金等請求事件
原  告  松 岡   勲  外4名
被  告  大  阪  府  外8名

準備書面(4)
  2005年3月7日
大阪地方裁判所 第5民事部合議1係御中

原告   松 岡   勲
原告   家 保 達 雄
原告   志 摩   覚
原告   末 広 淑 子
原告   長谷川 洋 子






目  次
《被告(大阪府)に対する反論》
 給特法の立法趣旨と府条例・規則
 休憩時間の関わる労基法34条の規定
 給特法に関わる限定4項目以外の超過勤務と給与請求権
《被告(高槻市外)に対する反論》
 休憩時間保障に関する被告の違法性
 原告5人の反論
 「手待時間」に関する判例
 休憩時間取得実態調査不実施に関して
 厚生労働省の勤務時間管理に関する基準(通知)に関して
 求釈明



◆被告(大阪府)に対する反論◆

《被告(大阪府)の法律上の主張につき、以下のとおり反論する。》

Ⅰ、被告(大阪府)準備書面(1)[平16.8.6]に対して
(1)給特法の立法趣旨について
 被告・大阪府は、準備書面(1)[平16.8.6]において、名古屋地裁・平成11年10月29日、判決〈愛知県大府市立大府北中学校事件判決、以下、「大府北中判決」という〉を援用し、本件、休憩時間中の職務遂行が、給特法の立法趣旨にてらして、違法性をおびないと結論づけているので、まず、この点につき検討する。
 この判決において、教諭の職務遂行を以下、①ー④に分類列挙している。
 ①勤務時間中の授業活動、自宅におけるテストの採点、教材の検討
  ーーー仕事の内容自体が本来の職務と認められるもの
 ②職員会議、各種委員会への出席等、本来の業務と認められるもの
 ③一般の学校で行われている放課後のクラブ活動指導、校外指導などのように、本来の業務か否か必ずしも明らかでないもの
 ④PTA活動、生徒父母からの相談に応対する行為などのように、広義では教育活動といえるものの、直ちに業務ないし職務行為とは言い難いもの
  以上四項目に分けている。
 ところで、原告らに対し時間外勤務を命じる場合は、国立及び公立の義務教育諸学校等の教職員の給与等に関する特別措置法の施行について[昭和46年7月9日付け文初財第377号、文部事務次官通達(乙第6号証)]及び教育職員に対し時間外勤務を命ずる場合に関する規定(乙第2号証)に基づき、《時間外勤務に関する基本的態度》として、第3条『教育職員については、正規の勤務時間の割振りを適正に行い、原則として、時間外勤務を命じないものとする』とし、時間外勤務を命ずる場合として、第4条『教育職員に対し時間外勤務を命ずる場合は、次に揚げる業務で、臨時又は緊急にやむをえない必要があるときに限るものとする。』
 一、生徒の実習に関する業務
 二、学校行事に関する業務
 三、学生の教育実習の指導に関する業務
 四、職員会議に関する業務
 五、非常災害等やむを得ない場合に必要な業務
  ーーーと規定されている。
 ところで大府北中判決は、『給特法7条は、教員の時間外勤務が無限定、無定量になることを防止するため、教員に対しては原則として時間外勤務を命じないものとし、例外的に命じ得る場合を限定四業務に限っているから、限定四業務に属さない業務について時間外勤務命令を発した場合は、同条に違反し、損害賠償の対象になることになる』としながら、上記(三、学生の教育実習指導に関する業務を除く)四項目以外の本来の業務(生徒の進路に関わる重大な業務たる進路指導等に関する大府北中学年主任の膨大な業務のすべて)を自主的・自発的業務として、超過勤務手当の対象とならないと結論づけているものである。
 また同判決は、『当該時間外勤務の内容、実態及び当該時間外勤務がなされるに至った経緯等に照らして、それが当該教員の自由意思を強く拘束する状況下でなされ、かかる時間外勤務の実状を放置することが、給特条例7条の前記立法趣旨にもとるものと認められる場合は、黙示の時間外命令が発せられていたものとして違法となる。』ーーーーと述べ、そうでない場合は、当該時間外勤務は、当該教員の自発的・自主的職務遂行として、違法とならないものと解するのが相当であるとし・・・・、
 また、『当該時間外勤務の内容が、教職調整額が給与措置の対象として、念頭に置いていたと推認される前記①、②の業務である場合は、教員が自発的、自立的になしたものと推認さる方向で考えるべきである。また、当該時間外勤務の実状が、当該教員の裁量にゆだねられている割合が大きければ大きいほど、教員の自由意思でなされたものと推認すべきであるし、さらに、当該時間外勤務がやむを得ない事情の下に特定の期間のみになされたものである場合は、給特条例7条の立法趣旨にもとるものとはいえないと解すべきである』ーーーと述べているものである。




 しかし、大府北中判決でも述べているように『教員に対しては原則として時間外勤務は命じないものとし、例外的に命じる場合は、上記限定4業務に限っており、4業務に属さない業務については、時間外勤務命令を発した場合は同条に違反し、損害賠償の対象になる』ことを認めているものであるから、大府北中の原告が学年主任として、膨大な進学関係業務をこなしたことを『教員が自発的・自主的になしたものとして推認する方向で考えるべきである』として、損害賠償の対象から外すことは、論理の矛盾もはなはだしいものである。
 給特法に係る上記限定4項目には、「自主的・自発的」業務は入っておらず、また進路指導業務は『やってもやらなくてもよい業務』と考えられる余地は全くなく、生徒の一生の進路を決めることに係る重大な業務であること明らかである。
 また、教員の日常の業務を『自主的・自発的』業務に押し込み、損害賠償の対象から外しているが、日常の業務と極めて関連性が薄いものであるならば格別、被告らのいう「自主的・自発的」業務は、本来の業務である。
 従って上記、①・②・③及び④の「生徒父母からの相談に応対する行為」は、本務そのものである。

 原告らの1日の教職調整額は何分の超過勤務手当額に該当するかを計算によって求めた(原告作成の添付資料1)ところ、原告、松岡・家保・志摩は13.3分、末広は13.4分、長谷川は13.5分であった。
 僅か13.3分ー13.5分の超勤手当に該当する少額の教職調整額で、上記限定4項目の超勤の外に、無定量の超過勤務を強要されているものである。

(2)府給与条例第26条の3等の規定及び府勤務時間条例第11条の趣旨について
 被告(大阪府)は、府給与条例26条の3(教職調整額の支給)及び府勤務時間条例11条(教育職員に対する時間外勤務の特例)〈限定4項目以外は、超過勤務を命じることは出来ない〉との規定に基づき、教育職員は正規の勤務時間以外に時間外勤務を行った場合でも、府条例に基づいて、被告大阪府に対し時間外勤務手当又は休日勤務手当の支給を請求することはできない。ーーーと述べている。
 しかし、被告が援用した大府北中事件判決においても、既に援用した如く、『給与条例7条は、教員の時間外勤務が無限定、無定量になることを防止するため、教員に対し原則として時間外勤務は命じないものとし、例外的に命じ得る場合を限定4業務に属さない業務について、時間外勤務命令を発した場合は、同条に違反し損害賠償の対象となる。』と述べてる。
 また名古屋地裁における昭和63年1月29日判決(愛知県立高校教諭に係るクラブ活動引率業務の措置要求判定取消請求事件)《甲第50号証》において、手当等の支給に関し次の如く述べられている。
 『被告は右のような手当その他の金員を支給することは、地公法25条1項及び地方自治法204条の2の規定に違反し、許されない旨主張するけれども、右手当の支給は、給特条例3条の規定が適用されない場合のあることが認められた結果、給与に関する基本規定である給与条例によって手当の支給が認められるというものであって、法令上の根拠を有し、右地公法、地方自治法の規定に違反するものでないことは明らかである。』〈甲第50号証、判例自治45号、33頁の中段〉
※地公法25条1項=職員の給与は、前条第6項(職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は条例で定める。)の規定による給与に関する条例に基づいて支給されなければならず、又、これに基づかずには、いかなる金銭又は有価物も職員に支給してはならない。
※地方自治法204条の2=普通地方公共団体は、いかなる給与その他の給付も法律又はこれに基づく条例に基づかずには、これを・・・職員に・・・支給することができない。 
 ※なお、休憩時間中の超過勤務手当支給に関しては、被告(大阪府)準備書面(3)に対する反論の部分で詳細に述べる。

Ⅱ、被告(大阪府)準備書面(2)[平16.10.22]及び 同(3)[平16.12.10]に対して

被告(大阪府)準備書面(2)及び同(3)の主張が一部重複する部分があるので、まとめて以下のとおり反論する。

被告(大阪府)は、準備書面(2)の7頁ー8頁において、原告らの「給特法と休憩時間」の主張に対し、反論・主張しているので、原告らとして意見を述べる。

☆休憩時間に係る労基法34条の規定
(1)休憩時間の自由利用
 休憩時間中は、労働者はその時間を使用者の支配から離脱して自由に使用できなくてはならない。労働基準局も「休憩時間とは単に作業に従事しない手待時間を含まず労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間の意であって、その他の拘束時間は労働時間として取り扱うこと」と指示している(22・9・13発基17号)。
 それゆえ、いつ仕事を命ぜられるかも知れない状態で待たされているために、労働者が自由に利用できないような手待時間あるいは手あき時間は、名称の如何にかかわらず休憩時間とはいえない。
 また、僅か10分間の休憩は、自由使用に値する休憩とはいえない。労働基準局の表現を使えば「労働者が権利として労働から離れることが保障される」とはいえない。実質は「単に作業に従事しない手待時間」になっているとみるべきである。
 使用者は、休憩時間を自由に利用させなければ、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる。労働者は休憩時間をどのように使うかは自由であってこそ、ほんとうの息抜きができるのである。休憩の自由利用は休息権の本質だといわれるゆえんである。
(2)休憩時間の途中付与
使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては、少なくとも45分、8時間を超える場合においては、少なくとも1時間の休憩時間を、労働時間の途中に与えなければ、6ヶ月以下の懲役また30万円以下の罰金に処せられる(労基法34条1項・119条)。
 したがって、まず6時間を超えて8時間までの間に最低45分の休憩を与えなければならない。その場合、労働時間や休日の場合のような振替えは認められていない。
(3)休憩時間の一斉付与
 使用者は、原則として休憩時間を一斉に与えなければ、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる(労基法34条2項・119条)。それは、事業場の労働者が一斉にとらなければ休憩をとった気持ちにならないからである。
[以上、松岡三郎著、普及版・労働基準法・増補2版、弘文堂、153ー161頁]

☆労基法の法的性格
 労基法第1条は①『労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない、②この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者はこの基準を理由として、労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。』と定めている。

 『労働基準法は、長生きするための手段だといっていい、労働時間、休憩、休日の問題もそうだ、昔は、たとえば年次休暇でも<賜下休暇>といって、お上からいただくものとされていた。ところがいまはそうではなくて、権利だ。ということはどういうことかというと、・・・少なくとも20日までの労働日を有給で休みとして与えないと、6ヶ月以下の懲役に処するということになっているが、これは、・・休みを与えないと、長生きをし、人間らしい生活をできないということで定められた権利であって、もし、これをしないということになると殺人の予備みたいなものだといえよう。このように労働基準法全体が人間らしく長生きするための手段だということがいえる。労基法に定められた権利の違反について、いちいち6ヶ月以下の懲役という体刑や罰金を使用者につけているのは、このような法律の性格からだ。』
※殺人の予備(刑法201条)=2年以下の懲役、〈殺人着手前の犯罪〉 [労働基準法の話・松岡三郎 著、昭44.3.30、労働旬報社 発行、31-32頁より]

☆休憩時間中の労働と付加金
 労基法34条規定の休憩時間は、刑罰でもって保護された労働者の権利である。よって(黙示であれ、明示であれ)一切業務を命じることはできない。また、すでに述べたように振替は認められていない。[従って、被告・高槻市は「市勤務時間規則第3条ただし書きによって、休憩時間の振替が可能である」とのべているが〈高槻市外・準備書面(2)〉、その規則そのものが違法である。]
 使用者は、休憩時間中に労働させると、刑事罰を受けることとなっているが(34条3項・119条)、それと同時に、他の労働時間と合算して8時間を超えた場合には、法定の時間外労働手当を支払わなければならないし(37条)、また、付加金が請求できる(114条 )。なお付加金とは、違反に対して刑罰を科することのほかに、違反して支払わなかった金額プラス同一額の支払いを命ずるという制度である。 
【口語六法全書・労働法、〈松岡三郎・労働省法規課、共著〉自由国民社、1999年9月28日発行、98頁の上段、及び235頁の中・下段より】

 ところで、被告(大阪府)は、次のごとくのべている。

 『給特法7条の規定に基づく「教育職員に対し時間外勤務を命じる場合に、関する規定」(乙第2号証)2条3号が「正規の勤務時間を超える勤務」を「時間外勤務」と定義し、職員の給与に関する条例(乙第1号証)21条1項が「時間外勤務手当は、正規の勤務時間以外の時間に勤務することを命ぜられた職員に対して、当該勤務について支給する。」と規定していること等に照らせば、休憩時間(正規の勤務時間以外の時間)に勤務することも時間外勤務に該当すると解すべきである。
 そして、給特法8条の規定をうけた被告大阪府の給与条例等は、教育職員に対し、教職調整額を支給することを定める一方、教育職員に時間外勤務を命じることができる場合を所定の場合に限定するとともに、教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当を支給しないことを定めている。 
 したがって、教育職員が休憩時間に何らかの勤務を行った場合も時間外勤務に該当し、当該勤務については給特法10条が適用される結果、労働基準法37条が適用されないのであるから、原告ら教育職員は、当該勤務に対する時間外勤務手当の支給を請求することはできないのである。』としている。
【以上、大阪府準備書面(2)7頁19行目ー8頁8行目まで】
『教員に対し休憩時間に勤務を命じることはできないが、他方、教員が教師としての責任感から自発的、自主的に休憩時間に勤務した場合でも、その勤務に対する対価請求権が発生すると解すべき法律上の根拠はない。
 給特法の制定に関する人事院の意見の申出では、「適正な勤務条件を確保するための措置として、正規の勤務時間外における命令による勤務が教員にとって過度の負担となることのないよう、文部大臣は、人事院と協議して時間外勤務を命ずる場合の基準を定めるものとする」[乙第7号証の2の58頁の(3)]とされ、前述したとおり、これをうけて大阪府では、所定の4つの業務にあたらない業務のために自発的、自主的に勤務したとしても、何らかの対価請求権が発生するものではないと解されている。休憩時間における勤務についても、これと同様である。
 したがって、原告ら教育職員が休憩時間に勤務をした場合でも、当該勤務について何らかの対価請求権が発生すると解することはできず、教職調整額が給与措置の対象とした業務の範囲内のものと解するほかないのである。
 なお、原告ら、休憩時間における原告らの勤務が黙示の命令によるものであると主張するかのようであるが、この点に関する具体的な主張立証は未だなされていない。また、大阪府としては、府費負担教職員に対する服務監督権を有しないので、その実態については知り得ない立場にある。』としている。
【以上、大阪府準備書面(3)7頁8行目ー8頁3行目まで】

 以上の被告・大阪府の主張に関し、以下の2点につき、反論する。

①『4項目以外は、超勤手当・対価請求権は発生しない』との主張に対する反論
 この点に関し、名古屋地裁・昭和63年1月29日判決(甲第50号証)は、以下のごとく述べている。
『当裁判所は、給特条例7条に限定的に列挙された事項を超えて職務命令が発せられ、教職員が当該職務に従事した場合について、給特条例3条によって教職員の時間外勤務手当等に関する給与条例の規定の適用が当然に排除されるということはできず、そのような時間外勤務等が命ぜられるに至った経緯、従事した職務の内容、勤務の実状等に照らして、それが当該教職員の自由意思を極めて強く拘束するような形態でなされ、しかもそのような勤務が常態化しているなど、かかる時間外勤務等の実状を放置することが同条例7条が時間外勤務を命じ得る場合を限定列挙して制限を加えた趣旨にもとるような事情の認められる場合には、給特条例3条によっても時間外勤務手当等に関する給与条例の規定の適用は排除されないと解するものである。従って、かかる場合に発せられた命令に従って教職員が業務ないし職務に従事したときは、当該教職員が当該労働に対する対価として本来取得すべき給与請求権までは排除されず、このような場合に時間外手当等の請求を受けた給与負担者は当該職務命令が法令に違反し無効であることを理由にその支払いを拒むことは信義公平の原則に照らして許されないものと解するのが相当である。
 これに対し、被告は右のような手当その他の金員を支給することは地公法25条1項及び地方自治法204条の2の規定に違反し、許されない旨主張するけれども、右手当の支給は、給特条例3条の規定が適用されない場合のあることが認められた結果、給与に関する基本規定である給与条例によって手当の支給が認められるというものであって、法令上の根拠を有し、右地公法、地方自治法の規定に違反するものでないことは明らかである。』
 よって本件のごとき、休憩時間中の黙示の命令による業務にも、当然に時間外手当等の請求はなし得るものである。

②『休憩時間中の業務遂行も「自主的・自発的」業務として、超勤手当の対象とはならない』との主張に対する反論
 原告らは、訴状・準備書面・意見陳述書で述べたごとく、休憩時間中に業務を遂行しなければ、完遂できない量の業務を抱えており、それでも完遂できない業務を自宅に持ち帰って深夜にやることもしばしばである。
 また、原告松岡の場合は、「形式上の休憩時間」は生徒全員が在校しており、勤務時間そのものである。志摩ら小学校勤務の原告らは、多くは一応児童が下校しているはずの時間帯ではあるが、一部児童が個人指導・クラブ活動などで在校しており、全員は下校していない時間帯である。
 原告らの休憩時間中の業務は、授業の準備、児童・生徒の生活指導、学級運営に係る業務等、これを遂行しなければ次の授業・明日の授業、また学級運営ができないという切羽詰まったものばかりであり、休憩時間中に「やらなくてもよい業務」など、一切存在しないものである。
 また原告らの本件現場においては、校長・教頭らによって勤務時間の適正な把握がなされておらず、校長らは「業務の命令」「黙示命令、明示命令」等の概念が理解できていないのではないかと思われる。本来、業務が時間外にわたるときには、管理者はそれが、必要不可欠な業務内容であるかどうかを確認する必要がある。原則的に時間外の勤務を命じないという法的制約がある以上、本人が「自主的である」と言明しない限り黙示の命令であると認識するのは当然である。本件原告らの主張は、そうした確認が必要ないほど、時間外の業務を「黙示の命令」ととらえているのである。したがって、確認行為も管理者がしないというのは、自主的であろうとなかろうと、必要不可欠な業務であることを追認し承認しているとしか考える余地はない。

 なお大阪府は、準備書面(3)の5頁(25行ー28行)〈横浜市立中学校事件〉において、『ここでいう「時間外勤務」は、正規の勤務時間外の時間における勤務を意味しているから、休憩時間における勤務もこれに含まれると解される。』ーーーと述べているが、この事件は、超過勤務の「回復措置」を問題としたものであり、休憩時間中の時間外勤務を問題としたものではない。

◆給特法の労基法との整合的解釈◆
 すでに述べた如く、原告ら教員に適用される労働基準法は、労働条件の最低基準であるから、給特法によって労基法37条が適用除外に規定されたからといって、給特法成立以前の労基法の保護規定を下回る労働条件を押しつけられることがあってはならないものである。しかし実態は給特法成立後、教員の労働条件は低下の一途を辿っている。近年それが著しいものである。[原告・準備書面(2)32ー43頁]
 そのことは、給特法の解釈にあたって、労基法との整合的解釈をとらないためである。
 上記のごとく休憩時間中の勤務に関しては、使用者に対する刑事罰及び付加金請求権によって手厚く保護されている。したがって休憩時間中の業務に係る命令は、明示であれ黙示であれ、校長の犯罪行為そのものである。
 限定4項目以外の超過勤務、休憩時間中の超過勤務に関しては、当然に超過勤務手当は支払われねばならないものである。

休憩時間訴訟 準備書面(4)=高槻市編=

2005年3月21日掲載

▲被告(高槻市外7名)に対する反論及び主張▼

Ⅲ、被告(高槻市外7名)準備書面(2)(平16.10.25)〈第2「休憩時間の三原則について」3ー4頁〉に対して

《被告(高槻市外7名)の法律上の主張につき、以下のとおり反論し、かつ主張する。》

被告ら(高槻市外7名)は次のごとく述べている。
 『原告らは、児童生徒が学校にいる間はその対応のために常時待機していなければならず、そのために休憩時間を自由に利用できず、休憩時間の保障体制が確立されていず、実際には仕事が継続していると主張する。しかし、原告らが児童生徒に対して、指導や相談が必要なとき一定の創意工夫によって休憩時間以外の時間にずらすなどによって休憩時間の確保もあながち不可能でないし、休憩時間中に真に必要な緊急かつやむをえない対応を要するときは、前記市勤務時間規則第3条ただし書きによって、休憩時間の振替が可能であるところ、原告らより振替の申し出を受けた事実はないことは、逆にこのような対応を必要とする事情が存しないことの証左ともいえる。いずれにしても、市立小中学校では原告らに関し黙示的にも休憩時間において原告らの自由を拘束するような勤務を強いたり、休憩時間に関する一斉付与及び自由利用の原則に反する事実は一切存しないことは明らかである。』【被告・高槻市外7名・準備書面(2)4頁15行目ー5頁3行目】

 上記主張及び被告高槻市外「準備書面(3)」に対し、原告らは以下のごとく反論する。

《原告松岡の反論》

 被告高槻市外「準備書面(2)」で「柳川中学校校長は平成14年5月7日の職員会議において、休憩時間を明示した文書を所属職員に交付したうえ、①休憩時間内に会議・打ち合わせをしないようにすること、②生徒指導等を休憩時間に行った場合は学校長に対して休憩時間の振替を申し出ることの2点を伝え、当該文書を職員室に掲示し、(以下、中略)休憩時間の周知と休憩取得のために会議時間の設定に関し配慮するよう伝えているところである。」(3頁4行目ー12行目)と述べている。また、同「準備書面(3)」においても「被告竹下は、会議を休憩時間に入れないように指導していたことを補足しておく。」(2頁13行目ー14行目)とも述べている。そのことは事実であるが、言えばいい、伝えればいいというものではないだろう。それによって管理職の職責を果たしたことにはならない。現実の学校運営は職員の休憩時間中である昼休みに臨時職員会議や各種会議等が入ることによって成り立っているし、被告竹下校長と昼休みの会議に同席したことがあったという事実からして、「黙示の命令」下に労働が続いていたことは言を待たない。竹下校長が休憩時間に会議が実際に入っているかどうかの確認行為をせず、また、会議を止めさせる措置を取っていなかったことは、労基法違反であり、犯罪行為である。管理職の指導力とは、昼休みに会議を入れなくとも学校運営が回っていくような学校体制を作ることである。また、昼の休憩時間に生徒指導等が入り、休憩時間が取れなかった時に、その日の午後の別の時間帯に休憩時間を振替で取ることなどは生徒との関係や実務上不可能であるため、職員からの申し出がないのが現実の学校の日常態である。柳川中学校では2002年度に振替でその日の内に休憩を「ほぼ取得できた」率が0%であったことにその事実が如実に現れている。(甲2-1号証)

 さらに被告高槻市外「準備書面(3)」では、「生徒に対する昼食指導及び生活指導、進路相談等生徒への対応、授業の準備、教育実習生に対する教材研究・特別教育活動の指導、臨時職員会議等への出席のため、休憩時間を取得できなかったと主張する部分は、『黙示の命令』があったとの点も含め、すべて否認ないし争う。」(2頁8行目ー11行目)としているが、柳川中学校において明示された休憩時間は、生徒全員が在校しており、勤務時間そのものである。また、明示された休憩時間が「手待時間」であり、労働時間となっていたのが実態であることは、後述の判例の法理でも例証される。よって、被告竹下の以上の論拠は成り立たないと言え、失効である。
 とくに被告竹下が述べる「上記情緒情緒障害がある生徒への対応は、養護教諭や心の相談員が専ら行っていた」(2頁12行目ー13行目)は虚偽の主張である。クラスの問題を抱える生徒への対応は、担任から心の相談員あるいは養護教諭、またはその逆と相互に情報交換や指導のための意見交換をなしつつ為されるものであり、どちらかが「専ら」関わるというものではない。あえてこのような原告への「誹謗」や「貶め」を書き込む被告の真意は、休憩時間が実質は「労働時間」として厳然と存在することを隠蔽するためと思量される。
 以上の反論は、元同僚であった山本武志氏の「意見書」(添付資料2)の証言によって事実であることが例証できる。山本氏は『このように学校現場に「休憩時間」は、有名無実というのが実態』と言う。



<求釈明>

①高槻市外「準備書面(1)」(2頁23行目)の「原告松岡以外の教員は、これらの事務を勤務時間内に休憩時間を使わないで処理している。」に対して、原告「準備書面(2)」で求釈明をしたが、被告の答えがないので再度釈明を求める。
②「上記情緒情緒障害がある生徒への対応は、養護教諭や心の相談員が専ら行っていた」とあるが、その論拠を答えられたい。

《原告家保の反論》

 被告高槻市外「準備書面(3)」の「不知ないし争う」という項目に反論する。(今回の訴訟に関する事実は2年度にわたるものなので、年度別の反論となる。)

①「『T.T(チームティーチング)授業の実施』、定例会議や臨時会議への出席等の校務分掌事務に費やした時間」について。(T.T授業については③で反論する。)
 「校務分掌表で25ある各代表(長)のうち11に位置づけられていたこと」は認められているが、とりわけ、「児童会」・「集団部」・「生活指導」の三部門については、概ね、月に1回~2回という会議が持たれていた。その会議を取りまとめ、校内研究会や職員会議に原案を提示するのは、代表である私の校務分掌事務となる。会議は原則として休憩時間枠には組まないが、上記のような事務をこなすのには残念ながら休憩時間を利用せざるを得ない。何故なら、休憩時間以外は日常的に学年会や外部会議(出張しての会議)、あるいは他部門の会議が入り、そうした会議の無いときは、当然、教材研究・授業の準備・プリント、ノート類の点検といった業務が山積している。持ち帰り残業もしばしばというのが実態であった。
 具体的に言うと、休憩時間を除くと、水曜日・金曜日は3:10~5:15が放課後の業務時間で約2時間となる。ただし、通常、月2回は外部会議が入り、あとの2回は職員会議と校内研にあてられる。月・火・木曜日は4:10~5:15が放課後の業務時間であるが、通常、月曜日は学年会、他の曜日はその他、別の会議が入るといった状況であった。

②「日常的に児童や保護者と対応するために費やした時間」について。 準備書面(2)の7ページ・4項目に述べた通りであり、尚かつ被告が「不知ないし争う」というならば、その根拠を示して頂きたい。1年生に関わる具体的な事象としては、例えば、放課後に忘れ物を取りに来たり、子どもたち同士のトラブルの解消に時間をかけたり、電話で宿題の確認をしたり、電話や面談での教育相談などが挙げられる。
再度述べるが、諸会議や教材研究・授業準備等、他業務が山積する日々の中で、さらにこうした対応に時間を取られるという実態が「休憩時間」を取れなくしてしまっていることを認識していただきたかったわけであり、訴状の主旨を理解されたい。

③「5・6年の「T・T(チームティーチング)授業」の実施の準備・点検に費やした 時間」について。
これについても準備書面(2)で陳述している通りであり、二日に一度は朝学習用プリントを準備し、毎日のようにプリント点検・ノート点検を行っていたわけで、5・6年(合計60名)のプリント点検は、点検時間を1枚につき1分としても1時間を費やすこととなる。つまり、「算数」のプリントやノートの点検・テストの採点などの作業だけで、少なくとも毎日2時間は費やしていたということである。5時間/週の空き時間ではとてもまかなえるものではない。

④「理科実験の準備・後片付けのために費やした時間」について。
これについても準備書面(2)で陳述した通りであるが、具体的に5年の1単元と6年の1単元を扱う場合の準備・後片付けについて詳述する。
5年の「もののとけ方」は1月~2月に扱う単元である。学習内容は、A.水溶液と水溶液の重さ、B.水に溶ける物の量、C.溶かした物の取り出し方である。当時、5年は36名であったため9グループで学習活動を行った。A.については、g単位での測定実験が最低3種類の水溶液について行われねばならない。つまり、この実験にあたっては9グループ分、3種類の「水に溶かされる物質」の準備をすることとなる。事前に27検体のそれぞれの重量を計測し、時計皿やパラフィン紙に取り分け、ビーカーや秤量計を9グループ分準備しなければならない。記録用紙も準備し、準備実験をした上でやっと授業準備が終わるのである。27検体の取り分けだけで最低30分、9グループにわたるビーカー等の洗浄・準備にも最低30分、事前の準備実験でも最低30分は必要であった。合計すると、少なく見積もっても90分は必要だったわけである。さて、次にやらねばならないのは後始末である。9グループ分のビーカー・ガラス棒等の洗浄には、やはり最低30分は必要であった。子どもたちに後片付けさせる時間的余裕はなかったので、これも理科専科の仕事となる。結局、このA.だけで少なくとも2時間が費やされることとなるのである。
 B.では、これもg単位で27検体の準備が必要で、これに30分、さらに9グループ分のアルコールランプにアルコールを補充したり、三脚・三角架等の準備に約1時間、準備実験に30分、ビーカーの洗浄等の後片付けに30分をそれぞれ費やし、それらを加算すると2時間30分になる。
 C.では、27検体の準備には、A・B同様最低30分は必要であった。アルコールランプのアルコール補充も必要で、20分ほどの時間を費やした。さらにロート台と濾紙等の準備に少なくとも20分は費やした。さらに準備実験30分と後片付け30分を加算すると少なくとも2時間10分費やしたことになる。
つまり5年の「もののとけ方」の単元で、準備・後片付けに費やした時間は、少なく見積もっても6時間40分(約7時間)ということである。
 6年の「水よう液の性質」は10月~11月に扱う単元で、学習内容は、A.酸性・アルカリ性・中性の水溶液、B.水溶液と金属、C.気体の溶けている水溶液である。
 当時、6年は24名であったため6グループで学習活動を行った。A.については、1グループで最低8種類の水溶液について実験するため、48検体の準備が必要であり、薬品以外の検体(炭酸水・酢等)の購入で少なくとも1時間30分は費やし、その他各検体(塩酸・水酸化ナトリウム水溶液・アンモニア水・石灰水等)の濃度調整には、少なくとも1時間30分を費やした。6グループ分のリトマス試験紙の準備、48本の試験管の準備と洗浄、試験管立ての準備等で40分は費やした。さらに準備実験で30分、洗浄を含めた後片付けに40分で、合計4時間20分費やしたことになる。
 B.では新たに塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の濃度調整のため30分、金属検体の6グループ分の取り分けに15分、試験管等の洗浄も含めた準備で15分、準備実験に30分、後片付けに30分、合計2時間費やしたことになる。
 C.では検体2種類とリトマス試験紙(6グループ分)の準備に10分、6グループ分のアルコールランプ・蒸発皿・三脚・三角架等の準備に40分、準備実験に30分、後片付けに40分、それぞれ費やし、合計2時間を費やしたこととなる。
 つまり6年の「水よう液の性質」の単元で、準備・後片付けに費やした時間は、少なく見積もって8時間20分ということである。
 試算した単元は、5・6年で授業時数にずれがある。5年の授業時数は14時間であり、週5日として7週(35日)にわたる。単純に計算すると6時間40分÷35日で、1日あたり11分ということになる。6年の授業時数は11時間であるので約5週(25日)にわたる。単純計算で、8時間20分÷25日では1日当たり20分となる。そこで、6年の授業時数を5年に合わせるように1日当たりの時間を比例計算すれば、6年の1日当たりの時間は25分となる。つまり「理科実験の準備・後片付けのために費やした時間」は1日当たりの合計で36分であった。ただし取扱い時期がずれていることを考慮し、下方修正をして1日当たり30分程度が妥当であろう。
何故に、こうした計算をして「理科実験の準備・後片付けのために費やした時間」を算出したのかというと、2003年度当時に2学年にわたり、「算数」と「理科」の授業を進めるためだけに費やした時間を理解して頂きたいためである。1日当たりの時間数は、算数2時間と理科30分の合計2時間30分となる。週当たりに換算すれば12時間30分である。週5時間の空き時間を差し引くと、残り7時間30分を確保せねばならない。1日当たりに再換算すれば1時間30分となる。
 ①で述べたように水・金曜の放課後に確保できる約2時間の業務時間を活用できるのは、月に多くて5日ぐらいなので10時間、月・火・木曜の場合の約1時間を活用できるのは多くて5日ぐらいで5時間、合計して15時間となる。1日当たりで計算すると約45分である。これで回るわけがなく、最低確保せねばならない時間、残り45分は「休息時間」30分と「休憩時間」45分を取り崩さざるを得ない。これは諸会議が、全て時間内に終わると仮定した場合であり、現実にはあり得ないことである。さらに諸帳簿の作成・整備、教材研究・教材準備等の業務をこなさねば日々の授業が成り立たない。結果として「時間外勤務」「超過勤務」「持ち帰り残業」の実態を生み出してきたのである。




(求釈明)
 原告の準備書面(2)で、被告高槻市の準備書面(1)の4ページ17行目~18行目に記されている「誇張以外何物でもない」に対してその根拠を示して欲しいという求釈明に何ら返答がないので、改めて、その解釈にどんな根拠があるのか釈明されたい。

《原告志摩の反論》

①市教委に対する休憩時間施行結果の意見について
 「児童への対応や教材研究等で、なかなか取得できない現状。時間変更等の工夫をしても子どもとの対応が長引き取得は厳しかった。」との意見を被告は認めた。これは2002年度休憩時間明示に伴う休憩時間試行結果実態調査結果から、高浜校長が高槻市教育委員会にあげた意見である。
 校長の意見は教職員の勤務状況をよく把握し得る立場の校長が、教職員の休憩時間中の勤務実態を把握しきった上で「なかなか取得できない現状」「取得は厳しかった」事実報告を市教委へ上げた公文書である。教職員が提出したアンケートの単なる集約結果に対する意見ではない。これは休憩時間中の業務が土室小学校で日常的に為されていた事実を校長が認めたことになる。
 また校長は休憩時間中の業務について「休憩中に必要ない業務である」という指示を教職員にしていない。これは以下②の松江地裁判決で定義している「黙示の命令」下の勤務である。

②職員会議等の会議について
 原告の準備書面(2)の「職員会議等の会議が休憩時間中にかかって行われていたことを黙認していた。『黙示の命令』である。」への反論として被告は準備書面(3)にて「被告高浜は、職員会議が休憩中に行われる場合、必ず出席者の同意を求めていた」と記している。
 松江地裁判決('68年4月10日)では「校長の超勤命令は『勤務時間外の時間に勤務せよ』という意思表示であるが、その意思表示には明確性の程度によっていわゆる明示の意思表示と黙示の意思表示とがあり得る。超過勤務すべき時間を特定して命じた場合には明示の意思表示として超勤命令の存在が明確である」「どのような場合に、黙示の意思表示があったとみるべきかを一般的に考えるに、(-中略-)校長自身が出席して主催する会議が勤務時間外に開催されまたは勤務時間内から勤務時間外にわたって続行される場合においては、その会議終了後までの勤務時間外の時間については、いずれも校長の黙示の超勤命令がなされたものと解するのが相当である。」と定義している。
 校長が記している「出席者の同意を求める」発言は、教職員の服務監督権者であり職員会議の主催者である立場の校長が発言する場合、職場の力関係実態を鑑みると単純なる「同意を求める」行為ではなく上司からの「明示の意思表示」行為と等価であり、休憩時間中の「超勤命令の存在が明確」なことを被告自らが証言したことになる。
 因みに、被告が「職員会議が休憩中に行われる場合、必ず出席者の同意を求めていた」発言を、過去4年間原告は一度も聞いたことがない。被告がいくら心の中で「同意を求めて」も周囲の者にはその声は聞こえてこない。この場合「黙示の命令」行為は明らかである。
 また「明示・黙示」いずれの場合でも、大冠小の山口被告が準備書面(3)で主張している「職員会議の時間が休憩時間に食い込む時は、休憩時間の変更を指示」すべき職務を高浜被告は担っているにも拘らず、何の措置をも講じず原告を含む多数の教職員の休憩時間取得を侵害した。他の被告が行っている最低講じねばならない措置さえ怠ることを職務怠慢というのである。

③2003年度の休憩時間の文書明示について
 高浜校長は、組合による校長交渉の席でも文書明示を求めたにも拘らず、被告校長らの中でただ一人2003年度の休憩時間の文書明示を為していなかった。高槻市準備書面(3)にはこの件についての見解を述べていない。
 他の校長が為しているにも拘らず、なぜ休憩時間施行の根幹となる文書明示を為されなかったのか、如何なる考えに基づく不作為か明らかにされたい。原告は職務怠慢と考えるが。

④情報主担者会議の出張について
 被告は「原告が情報主担者会議に出席のため月一回教育センターに行く際には、学校側は6時限目を空きにする等、休憩時間の取得のために配慮していた」と主張している。
 これについても被告の明らかな誤りである。
'03年度当初に、教員の授業持ち時間数が職員会議で決定された。理科専科の授業時間としては5・6年の理科とクラブ活動が確認された。
 情報主担者会議のあった木曜日の6時間目はクラブ活動の時間であり、コンピュータクラブの担当として指導し、クラブ活動がない日は5・6年生が行うボランティア活動の指導に当たった。金曜日の6時間目は理科の授業があった。
 被告が主張する「学校側は6時限目を空きにする等、休憩時間の取得のために配慮」がいつ・いかなる形でなされたのか明らかにされたい。

⑤始業・終業時刻記録の提出要求について
 原告の残業実態を証明するために、2002年度と2003年度の原告の始業・終業時刻記録を証拠書類として提出することを再度要求する。

求釈明
②で、被告が、いつの職員会議で、だれに向かって、どんな言葉で「職員会議が休憩中に行われる場合、必ず出席者の同意を求める」発言をしたのか釈明を求める。また、他の被告校長が為した「職員会議の時間が休憩時間に食い込むときには、休憩時間の変更」の指示を、何故高浜被告はせずに、原告を含む多数の教職員の休憩時間取得を侵害したのか釈明を求める。
③で、2003年度になぜ休憩時間施行の根幹となる文書明示が為されなかったのか、如何なる考えに基づく不作為か釈明を求める。
④で、被告が主張する「学校側は6時限目を空きにする等、休憩時間の取得のための配慮」が、いつ・いかなる形でなされたのか釈明を求める。

《原告末広の反論》

 原告末広は前回までの陳述書や反論書で、勤務校であった竹の内小学校での仕事量がいかに多く、多忙を極めていたのかを詳しく述べ、その結果、休憩時間にも仕事をしなければならない状態が常態化していることを明らかにしてきた。それは、権利として認められているはずの休憩時間が奪われているということに他ならない。しかし、被告らは休憩時間における原告末広の勤務実態についてことごとく「不知 」とし、「黙示の命令」については「否認」としている。以下、上記の「不知」「否認」について反論する。

◎(1)①について反論する
・被告らは原告末広が2002年度におけるNIE(「教育に新聞を」の英語略)の公開授業の準備やそれにかかわる業務の内容、またそれに費やした時間について「不知」としている。しかし管理職は公開授業を引き受けることで、それにかかわる時間や内容が増えることや、職員が多忙になることを当然認識していなければならない。2002年度の公開授業では、公開月は2学期の11月であったが、社会や総合的な学習を中心に既に1学期から取り組みを始めている。新聞を身近なものとするため児童の興味のある記事を切り抜きして掲示物を作ったり、校区をめぐって公園を調べるため校区地図を作ったりしている。公園めぐりに向けては、まずは教員が下見に出かけた。子どもたちの活動と同じ方法をとるので歩いていく。休憩時間が終わってから出発していては勤務時間内で終わることはもちろんできない。(実際には休憩時間から出発しても勤務時間をオーバーしている)次に行き先を決め、児童をグループに分ける。校外に出るので安全のためグループごとに大人の付き添いが必要になる。保護者に頼み、その連絡や説明をする。それは各保護者の都合に合わせて休憩時間や勤務時間外にも連絡を取った。その後アンケートを取ったり、調査したことをまとめたり、新聞記事から考えたりして最終的には、グループで理想の公園を発表した。発表の仕方は模型、新聞、ペープサートなど様々な方法をとった。二人の担任でやり方の違う各グループを指導するので、仕上げるまでには多くの時間がかかった。児童が帰った後も時間的なことや発表の仕方や内容について遅くまで相談した。この発表を公開授業でするので、特に時間をかけてやらねばならなかった。また、授業以外にも指導案などの書類作成もあった。公開授業にかかわる仕事は長期間にわたり、多忙であった。「公開授業」という外部に向けての取り組みは、休憩時間にも仕事をし続けなければとうていやり遂げられるものではないことは明白である。

・「その活動の中心的役割を担っていたのは八尾教諭であった」について
 八尾教諭は校内のNIEの取り組みの代表者(とりまとめ役)であった。学校全体の取り組みを把握したり、まとめたり、外部との連絡等を担っていた。これは校務の分担の一つである。しかし、公開授業は代表者だけが取り組むものではない。今回は原告末広の所属した3年が担当の学年であり、3年の学年の取り組みとして行ったのである。従って、原告末広がNIEの代表者ではないことが、休憩時間にNIEの公開授業にかかわる業務をせざるを得ない状態であった事を否定する根拠にはなり得ない。

◎(1)②について反論する
・被告らは2003年度、原告末広のクラスにさまざまな課題のある児童が在籍していたことを認めている。にもかかわらず、そのことに起因する出来事に対する取り組みや、児童や保護者への対応についてはすべて「不知」としている。しかし、これは考えられないことである。なぜなら課題のある児童については校内で実態を交流し、職員は共通認識を持っていた。そして、このことに起因する出来事についての取り組みは校長にも報告をしていたし、いっしょに取り組むこともあった。従ってこの一環の対応等についてすべて「不知」ということは無い。また、このような取り組みは休憩時間や、勤務時間外であることも多々あった。なぜならば、児童にかかわることについては何か起こった時に即対応することが重要だからである。後に回すということはできない。例えば、けんかが起こればその時にすぐ事情を聞いたり、話し合ったりする。また、保護者には電話をしたり、家庭訪問をして話をする。電話や家庭訪問は1時間2時間に及ぶこともある。即対応するためには休憩時間にも動かなければならないのである。従って原告末広が多くの場合、休憩時間にも児童や保護者にかかわる業務をしていたことは明白である。それを「不知」ですまそうとするのは無責任と言わざるを得ない。

・「電話対応は、長谷川教頭がほとんど行っていた」について
 職員室の電話は2台あり、校長と教頭の机上にあった。休憩時間の電話対応を教頭がするのは当然であり、2002年度、2003年度について長谷川教頭が職員室の席に着いていればそれを行っていた。しかし、教頭の手がふさがっていたり、教頭が不在の時も多々あるわけで、本来なら校長が対応するべきものである。しかし、校長は職員室で仕事をすることはほとんどなく、たいていは校長室にいた。従って職員室での電話対応を校長がすることはほとんどできないし、誰が対応していたかを把握することもできにくかった。職員の休憩時間を保障すべき立場にある校長の対応としてはきわめて無責任であったと言わざるを得ない。結局、休憩時間の電話対応は 職員室にいる職員、とりわけ電話の近くに席のあるものが対応することになる。電話に一番近い席にいた原告末広に負担がかかり、休憩時間が取りづらくなったことは明白である。

◎「黙示の命令」否認について反論する
 休憩時間に原告末広はほとんど教室か職員室(前述したような事情で校外で勤務していた場合もある)にいて、どうしてもその日にやってしまわなければならない仕事をしていた。教室にいる場合は掲示物を貼る、片付けをする、児童の補充学習をするなどである。
 職員室にいる場合は、テストの採点や書類作り、教材研究などである。仮に手を休めていたとしても、何かあれば必ず対応している。例えば、電話がかかって来た時、来客があった時(教材店などはこの時間をねらって来校することが多い)、また、運動場で遊んでいた児童がケガをしたと来れば手当をする、忘れ物をした児童が来れば鍵を渡したり、教室までついて行く、時には非常ベルが鳴ったりする。そうすれば、その場所に出向いていって確かめるなどである。すなわち、休憩時間であっても何かあればすぐに対応できる状態でスタンバイしているのである。こういう状態を「手待時間」という。「手待時間」は勤務時間である。従って被告らが求釈明している「具体的に休憩時間のうち何時何分から何時何分まで、いかなる事務に従事し、休憩を取得できなかったのかについて、全く明らかにしておらず云々」は意味をなさない。なぜなら休憩時間に教室や職員室にいる事自体が「手待時間」であり、勤務時間になっているからである。それは教職員が仕事を自主的にしたとか、各自の創意工夫で何とかなるという次元の問題ではない。まさに「黙示の命令」下におかれているのである。

◎求釈明
 原告末広の場合、休憩時間は仕事量の多さのため勤務している実態がある。また、実際には「手待時間」になっている。被告らは原告末広が休憩を取ることができるよう、どんな配慮や方策をとられたのか釈明を求める。

《原告長谷川の反論》

 被告高槻市は、準備書面(3)において次のように主張する。

5,原告長谷川の主張について(5頁)

(1) 学校間の電話連絡、養護学級在籍児童の連絡帳作成、家庭訪問及び、JICAからの研修生との交流会等学校行事のため、休憩時間を取得できなかったことは、不知ないし争う。なお、メールやファックスでの連絡を選択せず、電話での連絡によっていたとしても、それはあくまで同人の判断によるものであり、「命令」によるものでないことはいうまでもない。

・・・・・(A)

 因みに、被告山口は、休憩時間に業務を行っている教員に対して、休憩時間を取るように言ったことがあること。             

・・・・・(B)

・・(中略)・・JICAの交流は、学校全体の取り組みであったうえ、その対応はほとんど校長がやっていたことを補足しておく。          

・・・・・(C)

 原告長谷川は以下のように主張する。

(A)02年4月30日(火)、5月2日(木)(1年担任)、03年9月22日(月)(3年担任)の記録(添付資料3)を証拠として提出し、以下主張する。

ア)02年4月30日は、5時間目終了は午後2時半、それからお帰りの用意をし終礼をして1年生の下校は3時前となる。原告はこの年、高槻市教育研究部会の生活科の部長を務めており、同日3時半開始予定で、大冠小学校会議室において生活科役員会を行った。原告一人で会議室の設定・準備をせねばならなかったので、養護学級在籍児童の連絡帳記入と会議室準備・設定を30分間で手早く行った。
 役員は遠隔地の方々(日吉台小や三箇牧小など)が多く、開始時間3時半になっても始められず、15分以上開始時間が延びた。
 会議の内容は、生活科の年間活動内容について、各役員の仕事内容・分担を細かく確認するものであった。5月8日の市教研の部会に向けての準備である。開始時間が延びたので、終了が5時過ぎになった。その後、同校で原告が担当していた体育委員会の活動の一つである全校のボールの空気入れのために、担当児童が使うボール入れを校内で探し、1年担当の仕事であった「入学式反省」の文書に、未提出であった2年とフリー(担任外の教員団)の反省を書き加えて完成、印刷した。勿論勤務終了の5時15分を優に超える時刻に勤務を終了した。
イ)同年5月2日は、1年児童は4時間目と給食のみであったが、昼休みに体育委員会(原告、福井教諭、戸田教諭で指導)の児童のボールの空気入れ・各クラス配布活動の指導をし、昼休み終了後(午後1時45分)、1年生の終礼をした。午後2時すぎに子ども達が下校。
午後2時15分から3時40分まで、学級委員さんとの話し合いがあった。出席者は、原告(2組担任)と1組担任(田邊まり子教諭)、1組2組の学級委員さんたちである。内容は、顔合わせと学年親睦会の打合せである。学年親睦会として5月30日(木)のミニ運動会の時期が近づいていたので打合せを綿密に行った。
3時40分から5時15分まで、校内で教育部会の会議が行われた。ウ)03年9月22日(月)。原告は3年担任であった。3年生は同日、5時間目(体育)終了(午後2時半)、着替えの後、終礼を行い、3時前に下校した。
 その直後から4時半まで、4日後に近づいた体育大会の応援団練習の指導(原告、葛葉教諭、戸清教諭、畑中教諭4名で赤白団を指導)を体育館で行った。練習後、応援団児童を地区別に整列させ下校をさせた。 その日は学年会の日になっていたので、それからすぐ1組担任の原田加代子教諭と学年の打合せをした。
 間近にせまった体育大会(9月27日(土))に向けて、3年生団体演技「高槻ウエーブ」の細かい最終打合せ。例えば、具体的に言うと、「24日4時間目には、高槻ウエーブで児童が着るハッピに名前を書かせ、着る練習をしてから踊りの練習をしよう。」とか「体育大会当日、本番までのどのプログラムの時にハッピに着替えさせるか。」「2人の担任は高槻ウエーブでどの仕事を分担するか。」といった細々した手順である。 
 そして、JICAとの交流会(9月30日(火))の打合せである。具体的に言うと、「体育大会の練習と並行しながら、今週はどの教科の時間を使って、学年でJICA交流のための英語のあいさつ、各発表の練習をするか。」「当日の準備物は何か。」「何をポイントに練習させたらいいか?」などの打合せである。
 同学年会は勤務終了の5時15分までかかった。

 以上のように、休憩時間を取ろうと思っても、取れない状況である事を確認して頂きたい。
 尚、ア)、イ)は、被告山口前校長が大冠小において休憩時間を明示した02年6月初旬より以前の事項であるが、休憩時間を取らせる事が監督者の義務であることを謳っている労働基準法に照らし合わせて、被告山口前校長が、原告のア)イ)の日時において、大冠小教職員に休憩時間を取らせなかった事実は動かし難い。
エ)「メール・ファックスでの連絡を選択せず・・」の高槻市の主張について
 例えば、ア)の市教研生活科役員会の日程調整はすべて電話で行った。 4月に入ってすぐ、以下の小学校すべてに電話連絡し、役員会の日程を決めようとした。<三箇牧小(高谷教諭)、寿栄小(4月当初は役員は決まっていなかった)日吉台小(同)北清水小(河南教諭)。>
 なぜなら各学校とも4月は新年度の体制を決めるために会議が大変多くなり、新年度の子ども達への取り組み準備もあり、超多忙になる。すでに原告「準備書面(2)」の添付資料3、4として提出した大冠小の02年、03年4月行事予定表をご覧頂きたい。
 その間をぬって、5月14日の市教研の第1回部会をめざし、5校が集まり4月下旬までに役員会を持たなければならないのである。4月終わりから家庭訪問がはじまる学校もあるし、春の遠足は必ずある。ゴールデンウイークもあるので5月上旬は役員会は不可能である。
 5校が集まることのできる日を設定するためには、迅速な日程打合せが必要なのである。実際電話をかけた時、確認やお願いのために同じ学校に2度電話せねばならぬ事もあった。そして、同日のうちに4月30日を決定する事ができた。ファックスや、メールアドレスを各自持っていない高槻の教職員の場合、このように同日のうちに5校が集まる日にちを決定する事は不可能である。
 受信されたファックス用紙がいつも教職員の手元にすぐ届くわけではないし、メールに至っては、各学校の各教諭に迅速に届けられるシステムにない事はご理解頂けるであろう。
 教頭がパソコンをメールアドレスを市から支給されているが、勿論、教職員は、自校の教頭に支給されたアドレスを知らないし、全市の教頭に支給されたアドレスも知らない。教頭に支給されたアドレスを教職員が使うシステムになっていない。コンピュータルームにあるパソコンのアドレスがあるが、教職員間で使うシステムにはなっていないので、教職員はわざわざコンピュータルームまで行き、自分あてのメールをチェックしない。
 現在、学校という職場では、電話連絡でないと円滑かつ迅速な業務がこなせないのである。2年前から高槻市で始められた「評価育成システム」においても、「学校運営」→「校務分掌等への参画」→「様々な教育課題の解決に向け、校務分掌や学年等の取り組みに積極的に参画し、主体的に行動している。」という評価観点がある。教員は、積極的・主体的に行動することが育成者(校長)に求められているのである。原告の行動は、校長に求められた行動であって、黙示の命令といえる。「教職員の評価・育成システム(平成15年度 試行実施)手引き②」を証拠として提出する。(添付資料4)

(B)について
 原告は休憩時間に被告山口前校長の目の前で仕事をしているのに、「休憩時間を取るように。」など、一度も言われたことがなかった。言われていない教職員はいっぱいいる。一部の教職員に伝えた事があっても、全員に伝えないと意味がないし、休憩時間を一斉に取らす校長の仕事を果たしたことにならない。失当である。取り消して頂きたい。

 また、大冠小学校の休養室は、教職員全員が休憩できるスペースではない事を準備書面(2)の23頁で述べさせて頂いた。
 事実で有ることを現場検証していただきたく、検証申出書を後日に提出しますので、よろしくお願いします。

(C) また、ウ)を見ておわかりの通り、被告山口前校長が、JICAの対応をほとんど自分でやったというのは失当である。取り消して頂きたい。
 証拠として、原告が3年のJICA交流のために作った冊子を提出する。(添付資料5)これは被告山口校長が作ったものではないし、参考資料さえ頂けなかった。大冠小の佐藤教諭から英語の部分を教えて頂き、それに基づいて原告が作ったものである。その他にもJCA職員のためのネームプレートを作ったり、交流当日の各クラスの仕事分担を決めたり、給食交流のために児童にスペイン語のあいさつを教えるプレートを作ったり、校長がやっていないJICA交流の仕事はたくさんあり、各クラス担任が引き受けていったのである。

(D)求 釈 明
 準備書面(2)の22頁で述べたとおり、被告高槻市の準備書面(1)の事実誤認が2カ所ある。(8頁の終わりから5行目から最後まで)

・大冠タイムは02年、03年度は実施していなかった事実を、「実施していた」と誤認。
・4月当初から「脅迫電話事件」発生時まで原告がたびたび補習をし、「脅迫電話事件」以降、校内で補習禁止になった事実を、03年度は4月当初から放課後補習は禁止されていたと誤認。

 被告高槻市は、上記2点を至急に調べられ、同市の誤認か否か釈明されたい。
また、誤認を認められた時、ただちに誤認箇所を取り消されたい。

<以上、原告の反論終わり>

 これほど原告らの小中学校現場の実態を無視した事実上・法令上の主張はないと思われる。
 児童生徒に対して、指導や相談が必要なとき一定の創意工夫によって、休憩時間は確保できるであろうか。児童生徒を待機させて教員は休憩時間を取得できるであろうか?休憩時間とは、管理職を除く全教職員が、校外に出ても、業務に一切支障を生じない時間帯をいうものである。
 また被告ら(高槻市外7名)は、「市勤務時間規則第3条ただし書きによって、休憩時間の振替が可能」(高槻市外7名「準備書面(2)」の4頁21行目)と述べているが、同規則第3条は、「宿泊を伴う学校行事において児童又は生徒を引率する業務を行う職員の勤務時間の割振りについては、前条の規定にかかわらず、校長は、教育委員会が定める基準に従い、別に定めることができる。」と規定されており、[宿泊を伴う学校行事で、かつ教育委員会が定める基準による]場合にのみ休憩時間の振替が可能なものである。もともと労基法上休憩時間の振替はできないものである。

ところで、高槻市立学校の府費負担教職員の勤務時間、休日、休暇等に関する規則(丙第1号証)第4条は、『条例第5条第1項本文に規定する休憩時間は、校長が、午前11時から午後2時までの間に置くものとする。ただし学校運営上必要があると認める場合は、他の時間帯に変更することができる。』ーーーと規定している。
 ところが原告らのうた小学校勤務の家保・志摩・末広・長谷川の4名は、いずれも休憩時間帯が上記規則にある『原則として「午前11時から午後2時まで」』に入っておらず、すべて例外に属しているものである。
 原告らにとって重要な勤務条件の一つたる休憩時間帯が、年間を通じて、上記勤務時間規則の例外に属していることは、違法性あるものと思量することができる。いずれにせよ、不当なものであることは明らかである。

【 原告らの休憩時間帯 】
 原告らの請求に係る休憩時間帯は以下のとおりである。(訴状・6ー7頁)
☆松岡 勲   0時45分 - 1時30分 (月・火・水・木・金)
☆家保達雄 3時25分 - 4時10分 (月・火・木)
2時25分 - 3時10分 (水・金)
☆志摩 覚 3時30分 - 4時15分 (火・木・金)
2時40分 - 3時25分 (月・水)
☆末広淑子 3時35分 - 4時20分 (6校時まである日)
2時45分 - 3時30分 (5校時まである日)
☆長谷川洋子 3時30分 - 4時15分 (月・火・木・金)
2時40分 - 3時25分 (水)
※ 松岡の勤務時間は8時25分から5時10分(2002年度は8時半から5時15分)
※ 家保・志摩・末広・長谷川の勤務時間は8時30分から5時15分

Ⅳ、被告(高槻市外7名)準備書面(3)(平17.1.7)〈第3「求釈明」について、6ー7頁〉に対して

《被告(高槻市外7名)は以下の求釈明をなしているが、前節での反論で充分であると考えるが、判例を上げ反論し、かつ主張する。》

 被告ら(高槻市外7名)は次のごとく述べている。
 『原告らは、同人らが担当した校務分掌や担任学級での勤務等を殊更に強調し、休憩時間が取得できなかった旨を主張しているが、いずれも抽象的に「忙しかった」というにすぎず、具体的に休憩時間のうち何時何分から何時何分まで、いかなる事務に従事し、休憩を取得できなかったのかについて、全く明らかにしておらず(中略)、本件は、休憩時間が保障されなかったことによる国家賠償法による請求であることに照らし、休憩時間が取れなかった具体的な年月日、時間(何時何分から何時何分まで)、従事していた事務の内容をそれぞれ特定されるように求める。』【被告・高槻市外7名・準備書面(3)5頁18行目ー6頁5行目】

 すでに原告「準備書面(2)」で原告らの休憩時間の労働は「黙示の命令」下のそれであったと主張しているので参照されたい。
 ここでは原告らに明示された休憩時間は「手待時間」であり、それらは全て労働時間であることを(被告高槻市外7名は「手待時間」の概念を理解されていないと推量されるので)、以下に判例を上げて論証する。

 このことに関して、名古屋地裁、昭50・12・15判決(住友化学名古屋製造所事件、甲20号証)は次のように述べている。
 『労働者は、労働契約に基づいて労働力を一定の条件に従って使用者に提供することを義務づけられ、その限りにおいて拘束されるのにすぎず、したがって、右契約により定められた範囲内の時間だけ労働力を使用者に提供するのが労働者の義務であって、それ以外の拘束時間、即ち休憩時間は使用者の指揮命令から解放されたまったく自由な時間であり、この時間をいかに利用するかは使用者の施設管理権等による合理的制限を受けるほかは労働者の自由な意志に委ねられているのである。(休憩時間自由利用の原則ー労基法34条3項)ーーー右のように常にフンケンを覚知しうる範囲に留まっていなければならないとすることは、到底休憩時間の利用につき労働者に課せられた合理的制限とみることはできず、操炉班員は食事時間を除いて終期が定まったうえ労働から解放され使用者の指揮命令から離脱できる時間を与えられなかったというほかない。15分程度の食事時間についても、その間現場に残った班員は他の班員の分までフンケン作業に従事しなければならず、食事に出た班員も急いで現場に戻らなければならなかった実情からして休憩時間とみるに値するものかは疑問である。以上のとおり、会社は原告が操炉班に所属していた間一貫して前記一勤務一時間の休憩時間を与えるべき債務を履行しなかったと解するほかない。』〈甲20号証、29頁ー30頁〉
この判例は「手待時間」(昭22・9・13発基17号)が「労働時間」とされることに対比して、住友化学名古屋製造所の休憩時間の実態は「労働時間」に該当するとしたものである。この認定判断は最高裁で確定された。(甲21号証)原告らの学校での休憩時間の実態も、同様の結論、すなわち「労働時間」ということができ、被告高槻市外8名の求釈明の論拠が崩れる。

 さらに判例を上げる。東京地裁、平5・6・17判決(大星ビル管理事件)では、
 『労基法にいう労働時間とは、労働者が使用者の拘束下にある時間(いわゆる拘束時間)のうち休憩時間を除いた(同法32条参照)時間、すなわち実労働時間をいう。そして、ここにいう休憩時間とは、就業規則等で休憩時間とされている時間を指すのではなく、現実に労働者が自由に利用できる時間を指す(同法34条3項)。すなわち、現実に労務を提供している時間だけでなく、現実に労務に従事していなくても使用者の指揮監督下にある時間(いわゆる手待時間)であれば、たとえこれが就業規則等で休憩時間または仮眠時間とされているものであっても、なお労働時間に当たり、賃金支給の対象となるというべきである。』
(甲54号証、労働判例629号、13頁)
 本判決は、ビル管理会社において24時間勤務で警備、設備運転保全等の業務に就く労働者の「仮眠時間」を使用者の指揮監督下にある「労働時間」と認めて、時間外・深夜業務手当が認められたものであり、たとえ就業規則等で休憩時間または仮眠時間とされていても、なお労働時間に当たり、賃金支給の対象となると原告らの請求を容認した。この認定判断も同様に最高裁で確定した。(甲24号証)

 このように休憩時間等の「手待時間」は「労働時間」であるという法解釈が最高裁判例となっているが、最高裁、平12・3・9一小法廷判決(三菱重工長崎造船所事件)はその代表的なものである。
 『労働基準法(昭和62年法律第99号による改正前のもの)32条の労働時間(以下、「労働基準法上の労働時間」という。)とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解するのが相当である。そして、労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事務所内において行うことを使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても、当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められものである限り、労働基準法上の労働時間に該当すると解される。』
(甲55号証、判例タイムズ1029号、164頁)
 以上、判例を見てきたように被告高槻市他7名の求釈明は、原告らに明示された休憩時間が使用者の指揮命令下における「手待時間」=「労働時間」であることの認識に欠けており、求釈明自体が失当であると断定できる。

Ⅴ、被告(高槻市外7名)準備書面(3)(平17.1.7)〈第2「被告らの反論」について、5ー6頁〉に対して

《2002年度の休憩時間試行実態調査についての被告(高槻市外7名)の見解を批判する。》

 被告ら(高槻市外7名)は次のごとく述べている。
 『しかし、実態調査は、高槻市が、教職員に対し、休憩時間の実態を把握すべく、他の市町村にに先駆けて実施したものであるが、アンケートの質問事項が「ほぼ」、「50%程度」、「ほとんど」というような極めて抽象的かつ概括的なもので、しかも匿名による回答形式をとっているため、その回答は、教職員各人の主観的判断に左右されるところが大きく、単なる意識を表記したものに過ぎない面があるのみならず(以下、中略。この分は求釈明する。)、個々の教職員の勤務実態が正確に反映されているものとはいえないことは明らかである。したがって、原告らが、被告各校長の市教委に対する2002年度休憩時間試行結果の意見を根拠として、休憩時間を取得できなかったとの主張は我田引水、牽強付会の誹りを免れないものと言わなければならない。』
【被告・高槻市外7名・準備書面(3)5頁23行目ー6頁12行目】

 被告高槻市の主張は自らが実施した施行時の休憩時間調査を貶めるものである。高槻市は2002年度に大阪府下に「先駆けて実施した」休憩時間試行(大阪府の休憩時間・休息時間の試行は2003年度である。甲29号証参照。)を本格実施に向けて取り組むために(残念ながら、2004年度においても「試行」のままであるが)、2002年度の3学期に休憩時間の取得実態調査を為したものである。高槻市としては校長等の管理職が休憩時間の取得実態を日常的に把握・現認できていないため、教職員へのアンケート調査という手法で行ったものであり、現時点ではこの手法以外に実態把握の方法はないと考えられる。この休憩時間調査は高槻市立学校の休憩時間取得の実態を正確に反映したものである。また、校長に対する意見を求めたことにより「ほとんど取得できていない」実態が明らかになったものである。休憩時間が取得できなかった実態を作った被告高槻市及び各校長らに対する国家賠償法による損害賠償請求の根拠として極めて重要な証拠となると考えられる。同様の理由で、「吹田市の休憩時間試行実施モデル校の取得実態に関する調査結果」(甲30号証)もその実態を明確に表しており、被告高槻市らの「吹田市が実施したとする休憩時間取得実態に関する調査は、高槻市と同様の方式で行われたものであることに照らせば、吹田市の実態調査の結果をもって休憩時間を取得できなかったことの間接事実にならないことは言うまでもない」(高槻市外「準備書面(3)」6頁12行ー16行)という主張は論拠がない。

 高槻市において、休憩時間取得実態調査は施行時の2002年度に行われたのみで、2003年度以降為されていない。原告らの所属する組合である学校労働者ネットワーク・高槻は高槻市教委に対してその実態調査の要求を市教委交渉で行ってきた。今年度(2004年度)の市教委交渉の回答は「現在のところ休憩時間取得について実態調査をする予定はない。」(甲56号証、要求事項B(2)の回答)であった。
 大阪府教委は2005年度に休憩・休息時間の完全実施の予定であるが(甲29号証)、そのために、大阪府教委は府下各市町村教委に対して、「休憩時間・休息時間の所得状況調査について」(甲57-1~4号証)を2005年1月7日付で依頼した。ところが、高槻市教委はこれを拒否した。2005年2月16日の市教委交渉で、その理由を問うたが、上記引用の理由にあわせて「係争中」がその理由であった。休憩時間が取得できていると被告高槻市らが抗弁するのならば、実態調査を為し、自信のほどを示すべきではないだろうか。服務監督権者の怠慢によって日々常態的に原告らの休憩時間取得の権利が侵害されているのが現状である。

 大阪府教委の調査で注目される点が2点ある。
①休憩時間の取得状況の調査中、「※一斉休憩除外の場合は、一斉休憩除外許可承諾書のコピーを添付してください。」とあるが(甲57-2号証)、高槻市教委はこの除外のための規則が存在せず、「許可証」もないまま校長の申請を認めている。(原告「準備書面(3)」3頁ー4頁)②休憩時間調査項目中の付与形態「3、一斉休憩除外(分割付与)」を→「分割付与」と訂正し、「※一斉休憩除外を行った後に、さらに分割付与することはできず、この記述は誤りですので訂正願います。」としている。(甲57-4号証)高槻市教委は「一斉休憩除外(分割付与)」を認めている。(甲8号証、甲41号証。「一斉付与除外(職種別等休憩)」に分割の事例がある。)これは労働基準法34条違反である。

 休憩時間を完全に保障するには、職員が休憩時間が取得できているかどうかを管理職が日々注意を払い、実態把握をし、現認している必要がある。高槻市立学校の管理職には、高槻市教委の指導の不充分さがあり、その認識が希薄であり、現認が為されていず、職員の権利侵害を引き起こす原因となっている。そのことと関連して、原告の所属する組合では、厚生労働省の勤務時間管理に関する基準(通知)の周知徹底と退勤時間及び超過勤務の調査を求めてきたが、今年(2005年)2月16日の高槻市教委の回答は「平成13年の厚生労働省通知を各校長に下ろす予定はない。現在のところ実態調査をする予定はない。」というあきれたものであった。(甲56号証、要求事項Aの回答)

 大阪府豊中市教委は高槻市と比べて積極的な姿勢で厚生労働省の勤務時間管理に関する基準(通知)に対応し、取り組んでいる。2004年6月30日付で豊中市教委は「府費教職員の勤務にかかる実態調査について(通知)」(甲58-1号証)を各学校長に発し、時間外勤務の解消のための取り組みを提起し、2004年7月5日~7月20日まで「勤務にかかる実態調査」を実施し、「校長は、教職員の退勤時刻を確認、記録する。」とした。
 同6月30日の校長会でその趣旨を説明をしたときの「勤務にかかる実態調査・校長会説明骨子」(甲58-2号証)では、厚生労働省の勤務時間管理に関する基準(通知)を詳細に説明し、『教員の自発的勤務の遂行であっても、適切な対処をおこたった場合は、「黙示の時間外勤務命令」となる。→「教員が勝手にやっていることだから」、「係が提案したことだから」はだめ。校長の管理責任の範囲』と法令遵守の立場を明確にしている。このことは注目に値し、高槻市教委の姿勢とは大いにちがう。
 その実態調査の結果をみると、超過勤務の実態が浮き彫りになり、大変驚かされる。「終業時刻調査解析」(甲59号証)によると、定刻終業は、「小学校ではわずか1.8%、中学校は0.16%」、5時15分以降の残業率は、「小学校で94.6%、中学校で95.78%」であった。小学校職場では「過半数が1時間半~2時間の時間外労働」、中学校職場では「過半数が2時間超の時間外労働」の実態であることが判明した。豊中市教委はこのように実態調査を行い、超過勤務実態を把握して、超過勤務解消のための取り組みを開始している。

 さらに2005年2月4日、静岡県人事委員会は厚生労働省の勤務時間管理に関する基準(通知)に関わって、「勤務条件ついての措置要求に判定に伴う勧告」(甲60号証)を静岡市教育委員会宛に発している。そこでは、『平成13年4月6日付け基発第339号厚生労働省労働基準局通知「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」に従い、労働時間を確認し、記録するなど、教職員の労働時間をより適切に管理すること。』としている。
 厚生労働省の勤務時間管理に関する基準(通知)について以下の点を確認しておく。(甲9号証、甲10号証、乙14号証)
1.151回参議院-文教委員会-09号(2001年5月24日)
  政府参考人 総務省自治行政局公務員部長 板倉敏和氏の答弁
  「4月27日付『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について』の通知も、地方公共団体に対しまして同様の主旨で通知もし、周知を図ったものであります。各地方公共団体におきましては、公立学校の教職員にも労働基準法が基本的に適用されるということでありますので、教育委員会も対象になるものと考えております。」
2.同151回参議院-文教委員会-09号(2001年5月24日)政府参考人 文部科学省初等中等教育局長 矢野重典氏の答弁
  「ご指摘の基準は、先ほどの説明がございましたように、(中略)公立学校教職員にも、基本的には適用されるものというふうに考えております。」
3. 教職員の場合、「基準」の2の(2)始業・終業時刻の確認および記録の原則的な方法のうち、『ア.使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること。』に基づく記録を指すものである。
 また、労働時間の記録文書を作り、保存することを怠った使用者は、労働基準法109条違反に違反し、また、第120条により「30万円以下の罰金」に処せられる。
※労働基準法
<記録の保存>
第109条 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇人、解雇、災害補償、賃金その他の労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければならない。

 被告高槻市が、休憩時間取得実態調査を2003年度より行わず、また、厚生労働省の勤務時間管理に関する基準(通知)を管理職に下ろさず、退勤時間及び超過勤務実態調査を拒否している。このとは行政の不作為・怠慢という他ない。また、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」第25条の法令準拠及び遵守の義務に反している。
※地方教育行政の組織及び運営に関する法律
<事務処理の法令準拠>
第25条 教育委員会及び地方公共団体の長は、それぞれ前2条の事務を管理し、及び執行するに当たっては、法令、条例、地方公共団体の規則並びに地方公共団体の機関の定める規則及び規程に基かなければならない。

 以上、縷々述べたように高槻市教委の行政的怠慢により、原告らの休憩時間取得の権利が侵害されており、国家賠償法による損害賠償の請求は法理において当然のものである。

Ⅵ、被告高槻市外7名への求釈明
1)原告5名の求釈明に答えられたい。
2)原告らの明示された休憩時間帯が、年間を通じて、勤務時間規則の例外に属していることは、違法性あるものと考えるが、釈明されたい。3)大阪府教委の調査依頼にもかかわらず、休憩時間時間取得調査を拒否されたのはなぜか答えられたい。
4)休憩時間取得実態を把握しようとして自ら実施した調査を、意味のないものだと述べているが、他に実態調査の方法があったと考えられるのか答えられたい。
5)高槻市外準備書面(3)7頁の5行目~9行目の「高槻市立小中学校の教職員のうち、日教組傘下の高槻市教職員組合、全教組傘下の高槻教職員組合、大阪教育合同労働組合高槻支部、学校労働者ネットワーク・高槻の各職員組合への加入率が70%余りを占めることを考慮すれば、個々の教職員の勤務実態が正確に反映されているものとはいえないことは明らかである。」の意味が不明である。労働組合加入率とアンケート調査の結果にどういう関係があるのか釈明を求める。
6)厚生労働省の勤務時間管理に関する基準(通知)を各学校に下ろされないのはなぜか答えられたい。また、退勤時間と超過勤務実態調査及び勤務時間に関する記録を現在まで為されていないのはなぜか答えられたい。
                             

以上

添付資料
1、1日の教職調整額は超勤手当何分に相当するか?(2002年度)
2、原告松岡に関わる「陳述書」(山本武志)
3、原告長谷川の日程記録
4、「教職員の評価・育成システム(平成15年度試行実施)手引き②」 (抜粋)(写)
5、3年生JICA交流会(冊子)