2004年12月29日掲載
大阪府の高槻市で2学期制が導入されようとしています。
高槻で2学期制が導入されるという噂が今年の夏休み前より校長の発言を通じて予測されました。
それで、2学期になっての9月末に私たちの組合は2学期制導入に関する交渉を市教委に申し入れました。(もうひとつの独立組合である教育合同労働組合高槻支部も同時期に申し入れをしました。)
さて、10月19日に第1回目の協議になりましたが、すでに校長会、教頭会で2学期制実施についての素案を下ろしていたという驚くべき事実が明らかになりました。また、校長会より前に連合系の市教組には素案の説明が行われていたことも分かりました。これで協議は紛糾し、その後、延々と謝罪を求めての協議が続きました。
11月29日の第5回目の協議には、学校教育部長・学校教育部次長・教職員課長出席のもとに謝罪の場が設定され、学校教育部参事兼指導課長から謝罪文が読み上げられました。謝罪文の内容は以下の通りでした。
学校労働者ネットワーク・高槻 様
謝 罪 文
1、貴組合に対する説明前に、10月7日校長会、10月18日教頭会において、2学期制の素案を説明したことは、貴組合に対して結果的に差別的な取り扱いとなり、大変申し訳なく、深く謝罪をいたします。今後、このようなことを二度と起こさないようにいたします。
2、2学期制について、組合との協議が一定終了するまで、素案についての現場での検討を始めません。
3、今後、長期休業中などの「労働条件の変更」があるときは、必ず組合との事前交渉を持ちます。
平成16年11月29日
高槻市教育委員会 学校教育部参事兼指導課長
金 築 明 夫(印)
*この謝罪文の獲得は2学期制に関して組合との協議の上で取り組むという有利なルールを確立したことになりました。
続いて、2年前より教職員研修において「教務主任等研修」が実施されており、それが組合への説明ぬきに行われていたことが判明しました。この問題が2学期制協議の間に入りました。
そして、指導課長等が出席した12月20日の2学期制に関する7回目の協議での前段で、教務主任等研修に関する謝罪文を教育センター所長より獲得しました。その謝罪文は以下の通りです。
学校労働者ネットワーク・高槻様
謝 罪 文
1、主任等研修を含む「高槻市教職員研修基本方針」(平成15年(2003年)2月)の施行に際し、他組合に説明したにも関わらず、貴組合に対して説明を行わず公平性を欠き、組合差別であったと反省し、深く謝罪いたします。
2、教育内容及び教育課程に関わる教職員研修内容の変更につきましては、組合との事前協議を適切に行います。
3、労働条件に関わる件等につきましては、組合との事前協議を適切に行います。また、労働条件の変更に関わる事項につきましては、誠意をもって協議します。
2004年12月20日
高槻市教育センター所長
入 江 和 男(印)
*この謝罪文は教職員研修に関する組合との事前協議制を確認できた画期的なものでした。
その間の2学期制に関する協議で焦点になっていたことは、素案の最初の文面にはあった保護者・市民への「パブリックコメントの実施」が途中で削除されていたことでした。この件について12月20日の協議で復活させることができました。復活された内容は以下の通りです。
1)「はじめに」の章でパブリックコメント実施を明記する。
2)「今後のスケジュール」になかった予定を新たに付け加える。
・H18年1月~3月 「保護者・地域等への説明」「保護者・市民への情報提供(ホームページや広報への掲載等、以後随時実施)」
・H18年10月~3月 「パブリックコメント等による意見集約」
高槻では、全市の小中学校で12月24日の終業日に素案が下ろされ、3年計画で本格実施の持って行こうと市教委はスケジュールを立てています。(今年度は幼稚園を含んだ2中学ブロックの調査モデル校の決定と研究開始、2005年度は3学期制のままで調査モデル校で調査研究、2006年度は調査モデル校で2学期制試行、2007年度に全市学校園で完全実施のスケジュール。)
2学期制は先行実施の教育委員会が「ゆとりができる」「授業時間数が増加する」「学びの連続性の確保」「長期休業中の活用」等と喧伝していますが、その実、先行実施された地域では子どもと教職員の超繁忙化を引きして起こしており、2学期制というより「4学期制」になっています。今後、教職員・保護者・市民による2学期制に関する開かれた討論の場を計画し、取り組んでい行こうと思っていますので、2学期制が先行実施された地域の情報と批判の視点をお教えいただけますように願いします。
(2004年12月24日)