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休憩時間未払賃金等請求訴訟について

2004年4月29日掲載

休憩時間未払賃金等請求訴訟について
2004年4月21日

 4月21日(水)、高槻市の教員5名が下記の趣旨で大阪地裁に提訴いたしました。本件は休憩時間未払賃金等請求訴訟で、弁護人なしの本人訴訟です。

■ 提訴の趣旨 ■

 今年1月30日の大阪高裁判決(公務外災害認定処分取消請求控訴事件)にも見られますように、教員の超過勤務の実態はひどいものです。今般、高槻市の教員5名により、労働基準法に違反した学校現場での休憩時間中の勤務の継続に対して、大阪府にその未払賃金の支払いと高槻市及び当該校長に損害賠償を求めるものです。

■ 本件の内容 ■

 学校現場では労働基準法に保障された休憩時間は子どもが相手の仕事である労働の性質上ほとんど取ることができません。子どもが学校にいる時間帯には休憩できないのが実態です。

 5名の原告の2002年度及び2003年度の2年間に休憩時間が取れずに発生した未払賃金は合計360万円余、各原告それぞれが2年間で休憩時間が取れなかった日数は300日を越えます。

 本来、「働かせてはならない時間」(休憩時間)に労働が継続する実態は憲法違反であり、労働基準法違反であります。教員は生涯にわたる労働で、自由な休憩を与えられず、勤務する約束のない時間に勤務させられています。このことによって受ける肉体的疲労、精神的損害は甚大なものです。毎日、休憩時間や有給休暇を取らず、延々と40年近く働き続ける事は、健康に良いはずがなく、昔は、定年で退職し、ろうそくの火が燃え尽きるように死んでいった教員たちがいましたが、今は、定年まで待たず、体を壊したり、精神疾患をおこして辞めていく人、あるいは現職で病死・自死する人が大幅に増えています。私たち教員は使い捨ての機械でなく、人間であります。そして、子どもたちは何よりも、元気で、気持ちに余裕のある教員に教えられたいのではないでしょうか?

 そのような労働実態のなかで、私たちはこの2年間、休憩時間が取れなかった事実を記録し続けました。そして、休憩時間にただ働きをさせた被告大阪府に対し、未払賃金を支払うように求め、提訴しました。また、このような実態を引き起こし、さらに労働基準法に保障された原則である休憩時間の文書明示義務と「一斉付与」及び「自由利用」の不履行に関連しての休憩時間取得の損害に対して、高槻市と各校長に国家賠償法により損害賠償を求めました。

 教員による休憩時間未払賃金等請求訴訟は全国的にも初めてのものであり、画期的訴訟と考えます。