2006年11月11日掲載
東京都足立区の学力テスト結果による予算格差付問題についての続報です。足立区は学力テストによる予算のランク分けを撤回しました。あまりにも露骨な差別主義的教育施策であるので、足立区民の批判が区教委に集中したようです。なお、区教委は住民の目に見えないところで予算の差別的配分をしたいようですので、監視が必要と思います。(一作)<新聞記事のため転載禁止>
学力テストで予算ランク分け撤回 東京・足立区教委
(朝日新聞 2006年11月08日08時44分)
東京都足立区の07年度予算で、学力テストの成績に応じて各区立小中学校をランク付けし、学校への配分額に差をつける方針を固めていた同区教委は7日、この方針を撤回することを明らかにした。同区教委は、新たな方針として、各校からの申請に基づく予算査定では、「ランク付け」はせず、テスト結果の伸び率を大きな判断材料にすることにしている。
同日開かれた区議会文教委員会で、内藤博道教育長が明らかにした。
区教委の当初方針では、年に1回ずつ行われている都と区の学力テストについて、(1)都の学力テストで学校平均の正答率が都平均以上の科目数(2)区学力テストの成績が前年度からどれだけ伸びたか――などの項目を設けて査定。学校をA(全学校数の10%)、B(20%)、C(30%)、D(40%)にランク分けし、「特色ある学校づくり」予算の額に差をつける案をまとめていた。金額は中学校でAランクが約500万円、小学校で約400万円、Dは小中学校ともに約200万円、としていた。
新たな方針では、A~Dの4ランクに分けるのをやめ、各学校から提出される予算の申請に基づいて1校ずつ査定する方法に改めるという。学力テストの結果は、伸び率によって学校に加点する形で予算を上乗せする。加点の点数はあらかじめ決めずに1校ずつ判断する。学校へ配分する予算に学力テストの結果を反映する点は変わらないという。同区教委は、さらに具体的な方法を詰める。
ランク付けする案が明らかになったあと、区教委には「学校格差を生む」などの意見が多く寄せられた。撤回した理由について、内藤教育長は「Aは良い学校でDはダメな学校などと、誤解されやすい制度だなと思った」と語った。
東京都足立区:学力テストで予算格差の方針撤回
(毎日新聞 2006年11月7日 20時53分)
学力テストの結果で区立小中学校の予算に差をつける方針を示していた東京都足立区は7日、テスト結果を反映させないことを決めた。同日開かれた区議会文教委員会で内藤博道教育長が明らかにした。同区には「学力でランク付けするな」など反対意見が70件以上寄せられ、区教委は「実施するのは困難」と判断した。
これまでの方針は、07年度から従来の学校への予算とは別に、学校独自の取り組みを支援する「特色ある学校づくり予算」を活用。都と区が年1回実施する学力テストの平均点を中心に、学校をA~Dの4段階にランクを分け、Aは約500万円、Dは約200万円と最大約300万円の差をつけ、外国人講師派遣などへの支援をする予定だった。
今後は、ランク付けや金額の設定もやめ、代わりに、学校から申請された特色ある教育内容や金額を1件ずつ評価・審査する。
区教委によると、先週末から「学力の格差が広がる」「学力の高いところではなく、低いところを手厚く支援すべきだ」など反対意見が相次ぎ、6日までに電話やファクスで27件、電子メールで46件が寄せられた。賛成意見は数件だった。
根本優・教育政策課長は「学力の低いところに予算をつけないわけではないが、誤解が広まってしまった。今後もテストを基準に予算配分することはない」と話した。【森禎行】