学校から

子どもの心を盗む「心のノート」
見るほどにアホくさいその中身

2003年7月27日掲載

 検定をへた教科書でもない、また、副読本でもない「心のノート」。

 7億3000万円もの予算を使って、全国の小中学校に配った「心のノート」。
 
 この「心のノート」は文部科学省の「活用状況調査」などを通して、強制が強められて、「国定教科書」化しつつある。じわじわと学校のなかで、「心のノート」使用の圧力が強まっている。
そこで、「心のノート」(中学校用)を内容を追いながら、そのねらいをあきらかにしていこうと思う。 

 「心のノート」を開くと・・・・
「自分さがしの旅に出よう」とじゃらじゃらとして、べたついた言葉があり、「心のノート」に名前つけようとよびかけている。最初から 教師がよくつかう常套手段だ。「このノートはあなたがつくる、あなた自身の記録です。自分の心と語り合うかけ橋になるこのノートに、あなただけの名前をつけましょう。」

 私も(「班ノート」は好きでないので)「個人ノート」を子どもに使わせていたことがある。そのとき、ノートに「名前」をつけようとよびかけたことがある。でもね、クラスの3分の1程度しか「名前」をつけはしなかったよ。子どもの欲求と教師の意図とはもともとずれているんだよ。

 次のページは「あなたがしるす心の軌跡」(P4)で「中学生として送る3年間 いつもかたわらに置いてほしいこのノート」だそうだ。「10年20年たって思い出す中学生のころ」のことが「このノートとあなたの心に刻まれる」だって。
冗談じゃない。子どものころに自分の心の動きを教師にべらべらと話したり、書いたりするもんか。そういう子には「それはよくないよ」といってあげよう。その上、それを後生大事に10年も20年も持ちつづけるものか。実際は「心のノート」を一度配れば、「持ってきなさい」と言っても、なくしている子が多いはずだ。

 お次は、「My Portrait 私の自我像」(P5)
「自画像」じゃなくって、「自我像」とい造語だ。中学1年生に「自我」を描かせ、それを教師に見せろっていうんだ。気色わる~
「一生の中でこの瞬間はいましかない。今の自分は何を考え、何を思っているのだろうか?いまの自分の一面を描いてみよう。」という呼びかけで、次のようなことを書かせる。
「最近いちばん楽しいこと」
「最近いちばんよく抱く感情」
「いちばんほっとするとき」
「自分に腹が立つこと」
「印象深いできごと」
「自分のテーマソング」
「うらやましいと思うこと」
「学校について思うこと」
「最近いちばん感動したこと」
「自分の好きなところ」
「目標にしたい人」
「自分の改めたいところ」
「モットー」
「将来の夢」
「夢中になっていること」
「いちばん大切なもの」
 おまけに「このノートに向かって自己紹介をしよう」ですって。馬鹿じゃない~。さらに「私の自画像」の欄まである。(写真やイラストを入れるんだって)

 次のページは「はじめの一歩」(P6、7)

 「中学生であるということ」というタイトルで、「あなた自身、小学生のころと何がどんなふうに変わっただろうか?」と問いかけ、「環境・くらしの変化」「自分の生活について、これから変えたいと思うこと」「自分自身について、これから変えたいと思うこと」などを書かせる。よけいなおせっかい!それに「あなたのいまの気持ちを、漢字1字で表してみよう」だって。くだらん!